人並み…というか普通のオタク並みに漫画好きな管理人だが、コミックスの新刊が出るたびに買い揃えている作品は
「シグルイ」と「でろでろ」のふたつだけと少なかった。…のだが、最近新たに「新刊買い」するようになったのが、
上の画像の
「へうげもの」(山田芳裕著・モーニング連載中)だ。
知っている人も多いと思うが、織田信長に仕えた実在の武将・古田左介を主人公にした時代物の漫画で、
「数寄者(すきもの)」を主題にした作品である。
数寄者とは茶の湯などの芸能に堪能な人を指す。茶の湯の様式を学び、
茶器やその他の美術品の美しさを知る、一種の教養人と言ってもいい。
主人公たる古田左介は使い番(一種の連絡将校)として働く一方、名物に目を輝かせる数寄者ぶりを発揮する。
第一話で左介は信長に敵対する松永久秀へ降伏を進める役を任されるが、その任務よりも、久秀が持つ伝説的な茶器「平グモ」
を目にすることができるやもしれぬ、という喜びに激しく興奮する。
この名物に対する興奮っぷりは左介…というよりこの漫画に登場する数寄者たちに共通する部分であり、
そのオーバーアクションが笑いを誘う一方、名物の持つ「美」への希求心に憧れに似たものを感じさせる。
数寄者とは一種のオタクと言うこともできるだろう。
平グモを目にして感涙に咽び、久秀とともに爆散した平グモの、せめて蓋だけでも手中にせんと身を投げ出す左介を見ながら、
管理人に囁きかける内なる声――
『自分はこれまでのオタク人生の中で、どれだけ左介のように感動してきただろうか?』
『どれだけ真摯に“美”に向かい合ってきただろうか?』
男装した美少女が時折のぞかせる恥じらいの表情萌エ――――――!!
っててめぇその記号がそろってりゃなんてもいいんじゃねぇかよボケが!という自己批判の声が脳内に。
いや、違うんだよ。何でもいいってことじゃなくてやっぱり見た目は清楚な感じでね?
そんでもってサラシで隠してるけど実は巨乳ってのはやっぱりちょっとドリームすぎるから胸は控えめで
なおかつ本人はそれを気にしてる風などがいいかな、なんて…とグダグダな弁解を脳内で始めそうになる。
文章にすると予想以上にキモいなこれ。
話を戻そう。
同じ時代を描いた漫画に「花の慶次」があるが、あちらが「いくさ人」という観点から人物を描いているのに対し、
「へうげもの」は「数寄者」という観点から人物を描いている。その違いが如実に表れているのがこの人物だ。
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