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16.01/24 その235
Fallout4――タワーディフェンスのジレンマ






 最近、我が天空のマイホームにもお客さんが来るようになりました。

 先日無線ビーコンを設置したのでぽつぽつと入植者が増えていたのだが、まさかこんな高い所まで上がって来るとは思わなかった。ここまで堂々とくつろがれると文句を言う気も失せるね。
 もともと空けていることの多い我が家だし、好きに使ってもらってもいいだろう…ということで、今は床も拡張してベッドも増やし、入植者たちの宿泊施設にしている。夜になるとみんなしてゾロゾロ階段を登っていく光景はなかなかシュールだ。

 基本的に創るより壊す派の管理人だが、環境を整備するに従って人口が増えていくのを見るのは案外悪くない。住まいも人が住んでこそで、自分ひとりだけのマイホームを作っている時より格段にやりがいがある。
 今ではちょくちょくメニューから各コミュニティの様子をチェックし、自分のクエストもそこそこに「住みよい村づくり」に励んでいる。水が不足すればポンプを増設し、食料が足りなければニンジンやスイカを植えて回り、レイダーやスーパーミュータントの襲撃を知らせる救援無線があれば速攻で駆けつける。手間はかかるが、入植者たちが幸せなら俺も幸せさ…と思えるようになった。
 時には管理人に対して「ここをスパイしに来た人造人間じゃなければいいけど…」などと疑いの目を向ける入植者もおり、俺様を知らねえのか苦笑することもあるが、それも含めてコミュニティに住む人々は家族みたいなもんだと思っている。


 レイダーやスーパーミュータントを退治するのはいわばケンシロウのロールプレイだが、コミュニティの整備はさしずめ「奇跡の村」を作ったトキのロールプレイといえるかもしれない。
 これまで多くのRPGが「世界を救う」ことを目的にしていたが、Fallout4は戦うことに加えて“創る”ことでも世界をより良くできる。悪人どもに鉄槌を下し(具体的にはスレッジハンマーで)、善人に安住の地を与える。これほどやりがいのある世直しもそうあるまい。
 本心を言うとレイダーどもを従えて世紀末覇者を目指す拳王プレイもしてみたいが、本作の主人公は良きパパさんっぽいのでヒーロープレイの方がしっくりくる。それに悪玉より善玉の方が敵に事欠かないから、管理人的にはこれでいいのだと思う。


 そんな村おこしライフで最近特に熱を入れているのが、タレット設置による防御力の向上である。
 単に防衛のパラメータを上げるだけならどこに置いても関係ないようだが、実際に襲撃があった場所で「今度来たら返り討ちにできるように」と配置を考えると俄然ヤル気が出てくる。
 わざわざ高床式の足場を設置してタレットを置き、「ここなら裏の斜面は全て射界に入るな」とか「よーしここは奮発してヘビータレット置いちゃおう」とかてやってると時間があっという間に過ぎる。
 つまるところタワーディフェンスですな。タレットの配置を工夫し、敵がノコノコと殺傷地帯(キル・ゾーン)にやってくるのを舌なめずりしつつ眺める愉しみです。





入植者を監視してるっぽい配置だが、高い所に置くことで射線が通りやすくなるのだ。




 管理人はもともとSLGの類が苦手なので、タワーディフェンスもアクションorシューティング要素のあるものしか手を出していないが、Fallout4のコミュニティ襲撃はそんな管理人にちょうどいい塩梅である。
 だが…困ったことに襲撃はめったに起きないのだ。水と食糧の値より防衛値が低いと襲撃されやすいと聞いているので意図的に低く抑えてあるのだが、それでもなかなか“来客”は訪れない。防御力低めでこれだから「俺様の考えた最強の要塞村」なんて作ろうものなら戦いとは一切無縁の安全地帯になってしまうのは間違いない。タワーディフェンスっぽく遊ぼうとすると、かえってそういう要素が失われてしまうというジレンマがここにはある。

 いや、それが防備のあるべき姿だというのは分かるんだよ。管理人がレイダーでも案山子の代わりにタレットが立ってる農場なんて襲いたくないし、防衛力がちゃんと平和につながっていると評価すべきだろう。

 だがドンパチ大好きな人間としては、自ら築いた防備の出来を実地で確かめてみたくなる。心血を注いで創り上げたアート・オブ・アーマメンツが、どれほどの力を発揮するのか見てみたい。できれば自分も現場に居合わせて、なるべく高い場所から観戦したい。切実に。

 どうにかして防御の高いコミュニティに所に敵におびき寄せる方法はないものか。もし可能ならレイダーに金を渡して襲撃を依頼したいくらいだ。そこらの木っ端レイダーなら100キャップだが、スーパーミュータントなら500キャップくらい払ってもいい。三途の川の渡し賃みたいなもんだから、前払いで全額くれてやろう。キャップだけ持ち逃げしようとしたらとっ捕まえて現代アートの素材にしてやるけどな。



※現代アート…レイダーの拠点周辺によくある串もの




 割と切実にですね、これクラフトに加えてほしいんですよ。示威効果が期待できる防衛設備としてね(本心:オシャレなアートとして)。もちろんそこらで拾ったモノを再利用するのではなく、自前で獲得したものをトロフィーとして飾りたい。
 スーパーミュータントの串焼きを垣根がわりにズラッと並べたりしたらきっと壮観だぞ。あ、でもこれにビビッて敵に避けられたりしても困るんだよな。むしろテディベアを並べて平和な雰囲気を醸し出した方がホイホイつられてやって来るかもしれない。
 完全に食虫植物の発想だが、まぁウェイストランドではよくある話だ。



追記:
 Fallout4の村おこしはあくまでもオマケ要素だが、思い切ってこれをメインにしても面白いゲームになりそうな気がする。
 レイダーの拠点を乗っ取って入植者を住まわせ、コミュニティが栄えるよう建築や農業に精を出しつつ、敵が来たら戦って追い払う。つまり「戦ったり創ったりして世界を平和にする世直しゲーム」ですな。やりがいありそうでしょ?……と思ったら最近体験版が配信された『ドラゴンクエストビルダーズ』がまさにそれにだった。





 見た目から「Minecraft風ドラクエだろう」と思ってノーチェックだったが、マイクラの亜流というより「戦って創る世直しRPG」だと思えば俄然面白そうに見えてくる。
 早速体験版を触ってみたが、ブロックを組み上げて部屋を作るなどし、こつこつ安住の地を築いていくのはなかなか悪くない。Minecraftのようにイマジネーションの赴くまま天地創造したり、Fallout4のように面白建築に走ることはできそうにないが、町おこしで世界を救うという明確な目標がある分、遊びやすいのは間違いない。
 また「世界を復興させつつ自分が何者であるかを探る」というストーリー導入にも惹かれるものがあるし、DQのスピンアウトとして十二分に楽しめるゲームになるような気がする。

 この手の「戦って創る」ゲームはまだまだ裾野が広そうだが、個人的にはタワーディフェンス的要素を色濃くしたゲームを期待したい。
 守るべきタワーの内側に平和な集落があれば、防衛する手に今以上にも力がこもるのは間違いない。ましてやその集落が自分が発展させたものなら尚更だろう。

 あ、閃いた。エルフの集落をオークの軍勢から守るって設定でいこう。
 1匹でも討ちもらして侵入されたら大変だぞー。洋ゲー基準のエルフだと逆にオークの方がなぶり殺しにされそうだけどな!



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