ケンカが最大の娯楽となっている最後の楽園「ラストリゾートアイランド」を舞台に、男たちが己の欲望のおもむくままに拳ひとつで闘う…という何とも頭が悪く、しかしピュアな男心をくすぐる背景設定。いいんじゃないでしょうかコレ。
「フルボッコ系モテモテアクション」なるIQの低そうな謳い文句がちょっと気になるが、このくらいの茶目っ気はあってもいい。
驚かされるのが、このゲームの仕掛け人が『閃乱カグラ』のプロデューサーだということ。美少女のおっぱいがボインボインする萌えゲーから一転、荒くれどもが拳骨でゴツンゴツンやり合うバイオレンスアクションに宗旨替えですよ。急にどうしたの? 頭に銃弾食らって洗礼でも受けたの? と一瞬疑念が湧いたが、おそらく一般向けにシフトしたということだろう。
男性の中でもいわゆる萌えゲーに拒否反応を示すゲーマーは少なくないが、マッシヴな益荒男がマッスル全開でブン殴り合うシチュエーションが嫌いという男性はあんまりいない。いないんじゃないかな。多分そんなに多くはない気がする。
つまりバイオレンスアクションは萌えとかエロよりパイが大きいって話だ。いやオッパイじゃねーよ。ちゃんと話を聞け。
管理人はVitaを持っていないのですぐ買おうとかいうわけではないが、PS4でも発売されるなら食指が動いていたかもしれん。徒手格闘のウエイトが大きいのアクションゲームは今の所『MADMAX』くらいしかないし、この『UPPERS』は男と男が拳で語り合う貴重な…
………。
………………。
………ごめん。情報集めてたら、想像してたのと違うゲームだった。
公式サイトを見るとこのゲーム、バトルの最中にギャラリーの女子に
ラッキースケベをかましてパワーアップしたりするらしい。
パンチラスロットルというのは露わになったパンツの柄をそろえ、“役”をつくることで何らかの効果が得られるシステムとのこと。ワーオ、こいつぁファッキンなアスホールだぜ。
……いや、管理人だって萌えとかエロとかラッキースケベは嫌いじゃないけどさ…ちょっと騙された気がしないでもないよな。
「硬派だと思った? ハードなバイオレンスだと思った? そんなワケねぇだろバアァ――――――カ!!(爆笑)」って感じに。クソが! 俺をナメやがって! フザけんなオラッ! どうだオラ!(←傍らのテディベアに稲妻のような目突き)――
ん゙ゔんッ…!(←突き指して悶絶)
――冷静になった頭でよく考えると、アイデア的には面白いではある。
「ラッキースケベ」をシステムとして採用したのは「エロ+アクション」の融合としてユニークな切り口だと思うし、近年過激化の一途をたどる萌えエロ系アクション――
バレットガールズとか
閃乱カグラとか
ヴァルキリードライヴとか――と比較して、どこか少年漫画っぽくて安心できる。
どっちを向いても美少女ばかりという世界観は一見華やかだが、実際はあれで結構落ち着かないものだ。書店で少女漫画のコーナーに迷い込んだ時の気恥ずかしさ、といえば分かりやすいだろうか。
ハナからそういうのを求めているならドンと来いオラッ!てテンションになるだろうが、「アクションゲームがしたい。でもちょっぴりエッチな要素があっても嬉しいかな」という程度に(ごまかしではなく)思っているなら、美少女ばかりを前面に押し出されるのは少々具合が悪いのだ。
そこへいくとラッキースケベは便利なもので、美少女が下着をのぞかれたり胸をもみしだかれたり、あられもない痴態を晒すのを傍観者の視点で愉しむことができる。
その行為の主体である男性キャラクターもスケベ心ではなく不幸な事故でやらかしているだけだから、彼に感情移入している我々も「これはラッキーな事故だから」と無意識のうちに自分のスケベ心を免罪できる。
で、男性主人公が美少女のビンタやぐーぱんちでお仕置きされるのを見ることで、自分も“禊ぎ”を済ませた気分になる。ラッキースケベの後味の爽やかさはそんなところに起因するのではあるまいか。『UPPERS』が他と比べてエロの敷居が低そうに感じるのもそのせいだろう。
「免罪なんぞいるかボケ! 俺は俺の思うままエロを堪能して地獄へ行ってやるわ!」というくらい開き直れる人は閃乱カグラでもやって、ぷるぷるフィニッシュのコンプリートでも目指せばよろしい。
だが、そうではない人…
「ゲームは好きだけど、閃乱カグラ?みたいなのはちょっと、ね…(笑)。まあこの雪泉ってキャラは悪くないかな。可愛いとかじゃなくて、雪女の一類型として民俗学的興味が湧くよね」というめんどくさい系ムッツリスケベには『UPPERS』がお勧めかもしれない。
ほう、よく「雪泉(ゆみ)」ってすんなり読めたな。きさま隠れギャルゲーマーだな? おい、このマヌケを連行しろ。PS4も押収だ。どんなトロフィーを取得しているか、特別室でじっくり調べてやる。
そんなわけで『UPPERS』には注目したいと思います。
いや純粋にバイオレンスアクションとしての興味でね?
追記:
管理人は本作の「筋骨逞しい男同士の殴り合いとラッキースケベ」という悪魔合体みたいなコンセプトに魅力を感じるが、今のトレンドに合っていないのではないか、という疑問も残る。
変に男臭い要素など持ち込まず、美少女同士のバトルアクションにラッキースケベを追加した方が安定したセールスを期待できたのではないか。
女の子が女の子の胸にうっかりダイブしたとして、それが「ラッキー」で「スケベ」なのかは疑わしいが、理屈は抜きにその絵面で喜ぶ男性ユーザーは多いはずだ。『閃乱カグラ』シリーズに関わってきたプロデューサーがそれが分からないはずがない。
にもかかわらず「男同士の殴り合い」を表に持ってきたのは、きっと本心ではそういう蛮性の高いゲームを作りたかったのではないか。
Wikipediaによれば彼が最初に手がけたのはPS2の忍者アクション「紅忍 血河の舞」らしい。海外で発売されたバージョンでは敵のワイヤーで輪切りにするなどのゴア描写が盛り込まれていたそうなので、この想像はそれほど的外れでもあるまい。
しかし日本市場で売るにはバイオレンスなど二の次でエロを優先させねばならない。それでひとまずはそっち方面で結果を出して社内での立場を固め
「やっと念願の益荒男ゲーが作れるぜ! さらば巨乳! よろしく大胸筋!」と走り出そうとしたら会社の上層部に羽交い絞めされ、「何でもいいからとにかくエロを入れろ」と説得されて現在のような仕様になったのだろう。なんと痛ましい。管理人は同じバイオレンスアクション好きとして落涙を禁じ得ない。
もちろん冗談ですけどね。「紅忍」にしたって主人公はくのいちで、「お色気」で敵をおびき出すという要素もあったから、首尾一貫してエロにこだわる人物なのだろう。
ステルス+ワイヤーアクション+お色気とキャッチーな要素を詰め込んだゲームで、謳い文句は「超絶セクシーワイヤーアクション」。こう聞くとすんごい面白そうなんだが、出来はあまりよろしくなかったようで、発売後はほとんど話題になることもなくひっそりと消えた。
考えようによっては、この『紅忍』のバイオレンス面における再挑戦が『UPPERS』と言えるのかもしれない。もしこっちが好調なセールスを記録したら、またバイオレンス多めなゲーム作ってくれるかもしれんね。
あるいは閃乱カグラの次回作で登場人物を軒並みガッチリした体格の男子高校生(の忍者)にする手もある。あのゲーム、美少女版「風魔の小次郎」みたいなものらしいし、そんなに違和感はないと思う。ごつい得物持ってるやつは軒並みマッチョに変えていいんじゃないかな。あ、でも雪女っぽい子はそのまま残してあげて。露出度は下げていいからさ。
和ゲー[1]へ
TOPへ戻る