07.07/28 その25 PS2は死んじゃいない。暴動鎮圧FPS「アーバンカオス」






 一部のゲーマーの間では「PS2時代にゲームがつまらなくなった」と言われることがある。
 確かに初代PS時代に比べると中堅どころの佳作が減り、ヒットしたのはシリーズ物の続編かキャラゲー、 そしてたっぷり金をかけて広告を打った「話題作」がほとんどで、 ラインナップにマンネリ感が出てきたのは否めない。
 しかしそういったものの影に隠れてはいても、面白いゲームがないわけではない。 管理人が現在も遊んでいるものを抜き出してみよう。

 洋ゲーアクションの進化ぶりを知らしめた「ゴッド・オブ・ウォー」
 優れたAIに裏打ちされた分隊指揮TPS「フリーダム・ファイターズ」
 PS2屈指のビジュアルで魅せる破壊系FPS「BLACK」
 時速300kmで突っ走るクラッシュ上等レース「バーンアウト3テイクダウン」

 このほかにも地球防衛軍2、ゴッドハンド、エースコンバットシリーズなどがあり、 ゲーマーとしての軸足が完全に360に移った今も、PS2をしまい込む気になれないでいる。 そんな管理人のPS2ソフトに、新しいお友達ができました。





「アーバンカオス」



 上の絵で予想がつくと思うが、洋ゲーのFPSである。
 特殊部隊「T-Zero」の隊員となり、街を荒し回るギャングどもをブチ殺せ!というバイオレンス洋ゲーのテンプレートのようなゲームだ。

 PS2のFPSとしてはすでにBLACKという傑作があり、それと比べるとアーバンカオス はビジュアル面でやや貧弱に感じる(といってもBLACKのそれはPS2最高峰であるため、 これが水準以下ということはない)が、 撃って倒すというシングルFPSの基本的な面白さは達成しているし、ステージも多彩で飽きさせない。
 また盾で攻撃を防いだり、敵を射殺するだけではなくスタンガンで痺れさせて逮捕したりと (『T-Zero』は警察機構所属の特殊部隊)、独特の要素を盛り込んでいるのも好印象だ。

 また、ストーリーといえるものは希薄ながら、ステージ間に挟まれる「チャンネル7ニュース」 の報道がなかなか凝っていて面白い。
 主人公が所属する特殊部隊・T-Zeroの動向が主なニュースだが、 その働きぶりを絶賛してくれるのかと思いきや、 どういうわけか過剰な武力行使を糾弾するのが主な論調なのである。
 一応主人公のニック・メイソンはヒーロー的な扱いをされるものの、 全体的には 「T-Zeroの無分別な制圧により、居住地区の一部が破壊されるという衝撃的な結末を…」 という具合に、活動への批判をはじめ部隊設立に尽力した市長のスキャンダルを報道したりと、 先行き不安にさせてくれる。

 そしてもうひとつ。これが管理人の心を鷲掴みにした重要なポイントなのだが、 敵であるギャング軍団「バーナーズ」の面々が最高に輝いているのだ。





 どうです、このほれぼれするような悪党っぷり。

 やっぱり本場の連中は違うね! 「洋ゲーはキャラデザがイケてねぇんだよなぁ〜」 などと知った風なことを抜かす輩はこのゲームを刮目して見るがよい。
 破壊・殺戮衝動を悪徳の鋳型にはめ、血と汗とガソリンを塗りたくってほどよく熟成させた臭気と存在感は、 昨今の和ゲーにはない独特の…あぁ、こんなんだから売れないんだよね。うん。分かってる。
 スゲェかっこいいと思うんだけどなぁ。悪党的な意味で。

 ゲーム中ではこの連中がショットガンや火炎瓶、 はてはロケットランチャーやミニガンまで持ち出して破壊と殺戮の限りを行っている。 現代アメリカに北斗の拳的悪党をムリヤリ突っ込んだ世界観といえばイメージしやすいと思う。 もはや暴動というより都市ゲリラ相手の戦争といった感じだ。

 管理人がこのシチュエーション&悪党デザインにどれほど興奮しているか、 バイオレンスアクションに興味のない人に説明するのは難しい。
 強いて言うなら、猫好きな(でも諸事情により飼えない)人がふわふわ子猫の画像を見て「ああぁぁぁ可愛いぃ―! 頭なでてぇぇぇ! 指先噛まれてぇぇ―!!」 と興奮しているそれに近い。
 管理人の場合は上のギャングどもに興奮して、 頭をなでるかわりにショットガンで吹っ飛ばしてやりてぇというパッションに身悶えしているわけだ。 もちろん口には出さないけど。

 例によって日本語版は残虐描写が規制され、ショットガンによるヘッドショットでも頭が飛ばない、 スタンガンを喰らわせ続けても炎上しないなど色々マイルドにされているわけだが、まぁなんとか許容範囲内だ。
 そもそもPSのゲームはCEROのレーティング審査に加えてソニー独自の倫理規制があるそうで、 Xboxや任天堂ハードに比べてエロ&バイオレンスに厳しい。 その枠内でこれを――暴力とそれ以外の比率が8:2くらいのゲーム――をローカライズした会社、 スパイクには賛辞を送りたい。


 …でもな、その昔スパイクがローカライズした傑作TPS「サイフォンフィルター」 ではスタンガンで敵を炎上させることができたのに、なぜ今回は無理だったのか少々疑問が残る。
 あとアレだ。日本語版パッケージがダサくなっているのはいただけない。→

 海外版パッケージは上に挙げた画像中央のT-Zero隊員(おそらくは主人公)を大写しにしている→のだが、 日本語版はなぜかその右端、「隊員を足蹴にするバーナーズ」をメインに持ってきている。
 銃で狙っているようなデザインにしたのは面白いといえば面白いが、 それならいっそのこと「デッドライジング」みたくバーナーズの萌えキャラどもを画面いっぱいに出してほしかった。 そしたらバイオレンスジャンキー的ゲーマーがすごい勢いでパケ買いしたろうに。 …いや、管理人がそうだってわけじゃないけどね?


追記:
 洋ゲーのローカライズでパッケージの絵柄を変えるのはよくあることで、 中には「サイオプス」「スパルタン〜古代ギリシャ英雄伝〜」「ライオットアクト」のように日本のイラストレーターを起用するケースもある。 個人的にはオリジナルをそのまま持ってきてほしいが、市場開拓のためにはそういう措置もありだろう。
 そこで思いついたのだが、タイトルも映画みたく邦題をつけるってのはどうだろう。 アーバンカオスなら「こちらホープストリート警察署前T-Zero」とか。
 いやもちろん冗談だけどね。でもこれネタに使えるな。いつかやろう。



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