08.01/02 その34 COD4――特殊部隊で行こう!







今日も元気だ、世界がヤバい。




 時は2010年…ロシアでは超国家主義グループが台頭し、現政権と争う内乱状態へ突入。中東某国ではクーデターによって親米派の大統領が処刑され、 国際社会は再び危機的な状況へ陥りつつあった。そんな中、ロシアの核弾頭が極秘に持ち出されるという情報が飛び込んでくる。
 こりゃもう魂斗羅の…じゃなくて特殊部隊の出番だねヒャッホウ! というわけで、イギリス陸軍特殊部隊SASアメリカ海兵隊武装偵察部隊フォースリーコンが出動する! ロックンロール!! グリーンライッ! GОGОGО!!

 戦争したい人にお勧めの危険なハードXbox360において、 昨年ラストを飾った超話題作「CALL OF DUTY4 Modern Warfare」だが、閲覧者諸氏も元気にドンパチってらっしゃるだろうか。 管理人はもちろん絶賛ドンパチ中です。いやぁ、やっぱ現代戦はいいね! 第二次世界大戦(以下WW2)も大好きだけど、 アサルトライフルが火を噴き、RPGが飛び交い、攻撃ヘリが暴威を振るうド派手なコンバット・シューティングは近代戦ならではの魅力にあふれている。
 ちなみに「ロックンロール」は「戦闘準備」を意味する軍隊用語なので覚えておくといい。 DS版魂斗羅でも使われてるからね(少なくとも海外版では)。
 CODは軍隊モノだから当然だが、あっちのゲームはわりとこういう用語を多用するようだ。 GEARS OF WARでもKIA(作戦中死亡)なんて専門用語が説明なしで出てきたし。

 で、現在難易度ノーマルでクリアした感想としては、期待に十二分に応えてくれる傑作に仕上がっている。 今回制作を担当したのはCOD2を作ったInfinity Wardということもあり、プレイ感覚はかなり近い。 2が好きだった人間なら違和感なしで入り込めるだろう。 CODシリーズの特徴である、スクリプトを使いまくった演出もパワーアップしており、 一本道のゲーム展開も飽きさせない出来になっている。
 中でも海兵隊が中東に攻め入るステージはブラックホーク・ダウンそのまんま。 「ア――ルピージィ――!!」という絶叫とか(しょっちゅう)聞こえてくるし、 味方のヘリも墜落するしで、あの映画が好きな人なら血液温度上がること間違いなし。

 あと、あれだ。今作はストーリーの盛り上がりが凄いよ。
 前作までは複数の主人公による戦闘記録を淡々と綴った感じだったが、 今回は山あり谷ありといった、かなり衝撃的な展開が用意されている。 WikipediaのCOD4のページにおいて、 登場人物の欄のほとんどに「ネタばれに注意」の項目があるところからもそれが分かるだろう。
 …これからプレイする人は見ないようにね。初っ端からラストシーンのネタバレになってるから。

 「ゲームは映画に追いつかねばならない」と言ったのはメタルギアシリーズの監督である小島秀夫だが、 COD4は「映画的なゲーム」としての、ひとつの到達点ではないかと思う。 一人称視点…FPSというスタイルを崩すことなく、ここまでドラマチックな演出を盛り込んだ作品は決して多くはないだろう。
 同じFPSでもムービー内で主人公の姿が出てくるものはいくらでもあるが、 CODはその手法は使わず、プレイヤーはいついかなる時も「観客」ではなく「登場人物の一人」としてその世界を体感するようになっている。 CODシリーズの伝統でもある、場面によって主人公が変わる方式も、 今作ではストーリーをより深く描くために活用されている。
 特にSASのプライス大尉は、COD2(のエンディング)でその不死身っぷりを見せ付けたくれたが、 人気キャラだけあって今回はストーリーに深く関わってくる重要人物にランクアップ。 最初っから最後まで魅せてくれるイカしたヒゲオヤジになっている。 ヒャッホウ! S・A・S! S・A・S!(←後ろ手にブラのホックを外しつつ)。

 …大変失礼しました。
 エロネタは控えるって方針の割には「姉DVD」ネタやたら多いよなこのサイト。


 SASつながりで少し話を変えよう。 現在「SAS戦闘員(アンディ・マクナブ/ハヤカワ文庫)」を読んでいるのだが、 どうもこれ読んでると「SAS=プロ中のプロ・世界最強の特殊部隊」というイメージが崩れてきて困る。
 かつてSAS隊員としてイラクでも戦った、マクナブ自身の軍隊生活を記したのが本書なのだが、 過酷な選抜試験や危険に満ちた任務の一方で、「仲間うちでバカ騒ぎして大目玉を喰らった」みたいな記述が妙に多い。
 なんかね、待機中は退屈らしいのよ。いや、ちゃんと訓練はこなしてるんだけど。
 中でも笑えたのは、チームが基地の訪問客相手に装備品の展示を行うくだりだった。 お客相手のデモンストレーションにうんざりしたSASの精鋭たちは、 退屈しのぎにお互いイタズラをするようになる。 チームの担当(急襲グループ等)がそれぞれの武器や装備を並べて解説する時に、余計な物をこっそり混ぜておくのだ。

私は狙撃グループのパレットのところへ行き、連中のいないときを見計らってテニスのボールを展示しておいた。 イーノーが様々な弾薬の説明をするとき、どうやって切り抜けるか見たいものだ。 戻ると、私もいたずらをされたことがわかった。
(中略)
武器の説明に移ったとき、プラスチックの水鉄砲があった。これには困った。さいわい、 だれもなんに使うのかときかなかった。もし質問されたら、「ひとを撃つんです」と言って、 ぴゅっと水を飛ばすしかなかっただろう。


 極めつけは、かのダイアナ妃が見学に来た際の不手際談。
 これは管理人の師である鬼首毒虫さんが過去にサイトにて紹介されていたので、 その部分を(無断ながら)引用させていただく。



 偏執狂的ともいえるほど、細かく、リアリティに富んだディテールが売りのアンディ・マクナブですが、 彼の隠れた魅力はその(いかにもイギリス人らしい)ひん曲がったユーモアのセンスです。 この作品だけでなく、『ブラヴォー・ツー・ゼロ』『リモート・コントロール』もかなり笑える描写が連発。
 本作で一番笑ったのが、皇太子夫妻がSASの演習を見学に来た時のエピソード。 誤ってスタン・グレネードの火の粉でダイアナ妃の前髪を焦がしてしまったマグナブの心境―――

“髪とヘアスプレーの整髪料の焦げるにおいがして、 陸軍の年金の額のすくなさが急に気になった”
 ・・・・・・“急に”ってのがワザとらしくてサイコーだと思います。


深夜プラスONE エッセイ 2002年の過去ログ 3より



 あれかなぁ。プライス大尉も若いころはこんな感じでハメ外してたんかなぁ、 などと妄想しつつ、ハード攻略に行ってきます。マルチ対戦も盛り上がってるし、 3月のARMY OF TWO、魂斗羅DUAL SPIRITSまで退屈せずにすみそうだ。
 …っていうか消化できるかどうか心配したほうがいいな。いつもこんな調子だが。

 

追記:
 前作から引き続き登場のプライス大尉だが、当然ながら同一人物ではなく (なんせ舞台設定に半世紀以上の開きがある)、同名の別人である。Wikipediaのネタばれ項目中に 「開発側の設定によると『転生した姿』らしい」との記述があるが、そんなオカルト裏設定などどうでもいい。 いつの時代にもイカしたタフガイはいる。それ以外に理由など必要だろうか。

追記2:
 プライス大尉と同じくCOD2の人気キャラであったマクレガーだが…アイツひっそりと再登場してないか? 序盤で出てきたニコライさん、顔立ちがよく似てると思うんだけど。

追記3:
 発売前から不安視されていた日本語訳だが…やってくれましたよ。
 オン対戦で選択できるパーク(追加装備&能力)なんだが、 そのうちパーク3にあるひとつ…昇順安定」て何だよ。照準”だろうが!
 ある意味誤訳よりひどいぞ! 校正してんのか!!

追記4:
 今気づいたんだが…パーク2の「動力を止めろ」って「ストッピング・パワー」のことか!! ああもう…こりゃ他にもいろいろ珍訳ありそうだな…。
 ちなみにストッピングパワーとは、銃撃において標的を行動不能にさせる威力のこと。 口径の大きい弾丸の方がこのパワーが大きいとされるが(9mmより45ACPという風に)、 異説もある。それにしても「動力を止めろ」は直訳にもほどがある。 ほんの少しでも銃や銃撃戦に興味のある人間がスタッフにいればこんなことにはならなかったろうに…。



洋ゲー[1]へ   TOPへ戻る