09.03/28 その74 「Cat Shit One」アニメ化! …猫は? ねぇ猫は?







「先輩! ニュースっスよ! ニュース!…あれ、アニメ見てんスか?」

「うるせぇ! パンツじゃねーから恥ずかしくねぇんだよ! 文句あんのかコラァ!」

「ちょっ、俺は何も言ってないっスよ。何でキレるんですか」

「どいつもこいつも『またパンツか』『パンチラか』みてーに言いやがるんだよ。パンツじゃねーって言ってんのに聞きやしねぇ。ナメやがって…」

「はぁ…。だから先輩も今パンツ一丁なんですか?」

「おう。俺は身を持って『パンツじゃないから恥ずかしくない』を実証してるワケよ。
現に今、お前に見られても全然恥ずかしくねぇ!」

「いや恥ずかしがられても困るんスけど。俺はてっきり服全部洗濯中で着るモンがないのかなーと」

「ホントの理由はそれだけどな。で、オメーの“ニュース”って何だ」

「そうそう! “Cat Shit One”がアニメ化するらしーんスよ!」

「あ? てめーまたいい加減なコト…おお!?」







「おう! おう! おぉぉぉう!!

「…先輩、興奮すんのは分かりますけど、パンツは脱がなくていいっスよ」

「おう、つい興奮しちまってよ。でもコレいいな! アニメ化しねーかなーとかずっと思ってたけどまさか実現するとはな!」

「でしょ! CGだとあのフサフサ感がいい感じに出てるっすよね!」

「ただ、これオリジナル設定だよな。原作じゃベトナム戦争メインなのに、こっちは冷戦終結後か。パッキーとボタも民間軍事会社の傭兵らしいし、かなり変わってんな」

「そういやそーっスね。アレじゃないスか? ぶっちゃけベトナム戦争って今さら感がありますしー…」

「(ビキッ)あ…!?」

「えぅ…あ、いや…アレですよ! 商売的に今風のトレンドを入れざるを得なかったんじゃないスか? ほら、萌えアレンジっつーか、そんな感じで!」

「萌えアレンジなぁ…。ま、イマドキのワカゾーにベトナム戦争や冷戦の妙味ってのは分かんねーだろーな」

「そうそう、そーっスよ」

「そーっすよじゃねーんだよ。オメーも『地獄の黙示録』くらいは観てんだろーな?」

「あ、いやその、なかなか時間がなくて、まだなんスよ。へへ…」

「しょーがねぇな。後でDVD貸してやるよ。それよりこのアニメ版Cat Shit Oneだけどよ、ちょっと気になることがあるな」

「何スか?」

「ラッツがいねぇ。チコもいねぇ」


ラッツとチコ



「あ、ホントだ。でもパッキーとボタが傭兵になってるわけだし、あの2人も同じ様に出てくるんじゃないスかね?」

「それもそーだな。とりあえず現代の地域紛争について予習しながら続報待つか」

「勉強熱心スね、先輩」

「お前はとりあえず『地獄の黙示録』観ろ。あとこの『本当の戦争の話をしよう』も読んどけ。そんで明日感想文提出な。両方とも2000字以上で」

「………」




 グッモーニンベトナム。管理人の味之介です。
 冒頭の小芝居の通り、動物キャラによる戦争劇画、小林源文「Cat Shit ONE」がアニメ化するらしーっすよ奥さん。パンツはないけど恥ずかしくないもん! ってヤツだ。
 いやー嬉しいっすよマジで! 管理人も動画見るまでちょっと信じられなかった! 2chにスレが立ったのは3/24みたいだが、あと1週間ほど遅かったら誰も信じなかったと思うよ!

 アニメ化といってもTVアニメとかOVAとかそういう記述がサイト内に見当たらないので、どういう形式になるのかはまだ不明だ。ただ「ジ・アニメイテッドシリーズ」と銘打たれているので、何らかの形で1本のストーリーとして発表されると期待したい。
 でもあれだね。パッキーらの毛並みを見るに、CGという手法を選んだのは正解だったように思える。見事なふさふさっぷり。おもわず顔をうずめたくなるような質感をみごとに表しているではないか。けしからんね!
 原作も、キャラこそデフォルメされているとはいえ細かい筆致で描かれているので、その意味でも雰囲気の再現としてちょうど良かったのではないだろうか。

 このCat Shit ONE、ミリタリー関連に詳しい人には有名な作品だが、そうでない人のために説明しておくと、最初に書いた通り人物を軒並み動物に置き換えた戦争劇画である。
 現在6巻まで発売中であり、1〜3巻、及び外伝の0巻ではベトナム戦争を描き、新シリーズ「Cat Shit One'80」の1・2巻では80年代の東西冷戦の中、アフガンなどの地域紛争やイラン大使館占拠事件などの対テロ作戦に話が進められていく。
 なお、題名であるCat Shit One(猫の糞1号)とは、パッキーを隊長とした米陸軍偵察チームの名前である。以下、主な登場人物。



・パッキー 
 軍曹。米陸軍特殊作戦群(SOG)の偵察チーム「Cat Shit One」の隊長。COD4のプライス大尉でお馴染みのブーニーハットがトレードマーク。寝かせた耳が可愛い。慎重かつ勇敢な楽天家で、優秀な兵士。ラッツやボタらチームメンバーはもとより、傭兵たちからも信頼されており、上官からの信任も厚いナイスガイ。上司にしたいウサギNo.1。
 「'80」では交換将校として英国陸軍特殊部隊SASへ出向。新世代の戦争である「対テロ戦」の数々を経験することになる。



・ラッツ 
 伍長。プアーホワイト(貧乏白人)の家の出で、パッキーの良き相棒。バンダナがトレードマーク。ベトナムでは優秀な兵士であり、パッキーをはじめ仲間にも恵まれたが、帰国後はうまく社会になじむことができず苦しむ。
 幸いにもその後CIAに就職。日本勤務を経てアフガンへ渡り、ソ連と対立するイスラム勢力のムジャヒディンに訓練を施す任務に就く。ベトナムから引き続き、またしてもアメリカの暗部にどっぷりとつかる形になった。



・ボタスキー 
 通信兵。SOGの制服に憧れてチーム参加を志願したお調子者。陽気な反面臆病でもあったが、ベトナムから戻って後はハンバーガー店のビジネスで成功し富を築く。大のアジア人嫌いであり、当初はチコ(↓)にも軽蔑の念を露にしていたが、作戦をともにするうち徐々に薄らいでいった。



・チコ 
 ベトナムの少数民族であるノラ族の傭兵。ベトナム戦争では彼のような傭兵たちがアメリカ軍に協力し、北ベトナムと戦ったとされる。アメリカのベトナム撤退後はラオスの反共勢力に身を投じて戦うが、ベトナム共和国の敗北によって難民となり辛酸を嘗める。
 基本的にカタコトしゃべりで台詞も多くはないが、外伝(0巻収録)でパッキーらと再会した際の「家ない。家族ない。俺たち難民。俺死にたくなった」という述懐には彼の悲哀が込められている。ネコ好き(管理人含む)には特に人気が高いと思われるナイスキャット。



 人物紹介を見ても分かる通り、キャラの見た目に反して相当にディープな戦争モノである。劇中で描かれる各種兵器や戦術、軍内で交わされる用語に始まり、戦争の背景となる当時の国際状勢まで事細かに解説してある。
 また、劇中にはパッキーら架空の人物だけでなく、(動物とはいえ)実在の人物も時おり姿を見せる。アメリカ陸軍特殊部隊「デルタフォース」創設者であるチャールズ・ベックウィズはベトナム時代からパッキーらの上官として登場するし、「'80」ではドイツの特殊部隊「GSG9」創設者ウルリッヒ・ヴェーゲナーや、英国首相の“鉄の女”サッチャーも顔を出す。

 これらのアニマライズは人種に関係なく国家別に分けられている。そのせいで、同じアジア系であるベトナム人、日本人、中国人、韓国人が、それぞれ猫・猿・パンダ・犬と全く別物になっているのだが、そのおかげで国際政治の複雑な絡まり具合が分かりやすくなっている。

 ベトナム戦争にしても、南北ベトナムの争いに米ソ両大国をはじめ中国や韓国などが介入し、資本主義陣営vs共産主義陣営の代理戦争という様相を呈した。80年代に入るとイスラム原理主義が台頭し、国際社会はさらに混迷を深めていく。
 その複雑怪奇な舞台において「誰が、誰と、どんな関係にあったか」を分かりやすくする意味でも、このアニマライズという手法は実によくできていると思う。

 さて、一方でアニメ版はどのような展開になっていくだろうか。

 冒頭のテロップで名前の出る「民間軍事会社」は、2005年にイラクで起きた「ハート・セキュリティ社」所属の日本人兵士の戦死により、日本でも注目を集めるようになった。
 従来の“傭兵”――「傭兵の誇り」などで日本人傭兵・高部正樹が赤裸々に語った、食うや食わずの戦争屋とは異なり、れっきとした企業として活動するこの戦争請負業者は、正規軍、それも特殊部隊で経験を積んだベテランを多数擁し、戦闘や警護、訓練から兵站まで「戦争周辺のサービス」を幅広く提供しているという。
 アメリカのブラック・ウォーター社、英国のアーマー・グループなど、大規模なものは大国の活動にも深く食い込み、巨額の利益を得ているそうだ。

 今もなお続く「対テロ戦争」と並び、現代戦を構成する大きなファクターとして興味の尽きない代物だ。
 アニメ版「Cat Shit One」がうまく料理してくれることに期待したい。



追記:
 このニュースを取り上げた2chの某スレで、キャラのアニマライズに関して次のようなやりとりがあった。


32 : キバナスミレ(東京都):2009/03/24(火) 22:01:25.34 ID:Fp4AB7UF
  * アメリカ人 - ウサギ (由来は米兵―USA GIから)
  * ヴェトナム人 - ネコ
  * フランス人 - ブタ (由来はフランス料理のトリュフを取るブタから)
  * 中国人 - パンダ
  * 日本人 - サルまたはゴリラ
  * ロシア人 - クマ
  * 韓国人 - イヌ (由来は韓国料理の「ポシンタン(犬鍋)」から)
  * イギリス人 - ネズミ (由来は「砂漠のネズミ」から)
  * オーストラリア人 - カンガルー もしくは コアラ
  * ドイツ人 - キツネ[1](由来はエルヴィン・ロンメル元帥のあだ名「砂漠の狐」からと思われる)
  * アフガニスタン人 - ヤギまたはヒツジ[1]
  * アラブ人 - ヤギまたはラクダ[1]

69 : キエビネ(神奈川県):2009/03/24(火) 22:39:23.36 ID:M04BZRKw
  >>32
  このキャラ設定でCoDの新作をIWに作って貰いたい




 それはすごい興味あるけど! 英国人のアニマライズは上で書いてある通りネズミさんなんだよなぁ。プライスもギャズもちょっと可愛くなりすぎでないかな。「Cat Shit One'80」のSAS隊員もこんな感じだし↓



イラン大使館占拠事件を解決するSASの精鋭たち



 フードから耳が出てるのがキュートです。劇中ではベトナム人(猫)に並ぶ萌えっぷりですよマジで。



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