10.03/14 その107 EAT LEAD〜マット・ハザードの逆襲〜――ザ・楽屋裏大戦争






 今回は「EAT LEAD〜マット・ハザードの逆襲〜」のレビューだが、結論からいく。

 バカゲー好きでTPSが好きなら人なら買ってもいいけどどうせ品薄で手に入らないだろうからこのゲームのことは忘れてBFBC2でもやってろ。


 以上!



 いや、だって今EAT LEADのレビューって需要あるかどうか微妙じゃん。もうBFBC2が出て、今月中にはGod of War3も出るって時期にさ。

 …まぁ、一応いろいろ言いたいことはあるので続けるが、ページの最後に「こんな人にはお勧め」というまとめを書いといたので、長話に付き合う気がない人はそこだけ読んでもらえばOKだ。

 では始めよう。
 D3Pが販売を担当したネタ満載のTPSとして、日本でも(一部で)話題になったEAT LEAD。管理人も多少は注目していたが、海外版をプレイした人の評価は「並かそれ以下」。しかも難易度が高いそうなのだが、それも「操作性の悪さが難易度を上げている」というアクションゲームとしてかなりまずいケースだという。

 普通ならそのレベルのゲームを購入リストに入れないのだが、こういうパロディ満載の悪ノリゲーというのはなかなかお目にかかれない。しかもTPSという好物ジャンルとくれば、とりあえず抑えたくなるのが人情というやつだ。
 でもね。例えこのゲームのことを全く知らなかったとしても、ショップでパッケージ見たら衝動的に買っていた可能性が非常に高い。





 どうです、時代錯誤的な男くささ全開のこのカバーアート。加えてパッケージ裏面のコピーには「笑いと暴力のパロディシューティング」「マスター○ーフも出るよ!」と来たもんだ。こんなの見せられて管理人のピュアハートが反応しないわけがない。
 そんなわけで管理人は「たとえ金もらってもクソゲーはやらない」という主義を一時棚上げし、購入に踏み切ったわけだ。

 レビューの前に、本作の舞台設定について解説しておこう。
 「EAT LEAD」に登場するゲームのキャラクターたちは「アーカイブ」と呼ばれるある種の電脳世界の住人であり、ゲーム会社と何らかの契約を結んでゲームに登場している。いわゆる役者のような存在だ。
 主人公のマット・ハザードは80年代には超売れっ子として一世を風靡したが、伝説的クソゲー「マットカート」への出演を境に人気が急落、今やSIMPLEシリーズのエキストラなどで細々と食いつなぐまでに落ちぶれた(日本版限定のネタだけど)。
 そんな彼に、ある日「マラソン・メガソフト社」というメーカーから新作ゲームの主演の話が来る。久々の主演に張り切る彼だが、その裏にはマラソン・メガソフト社社長の陰謀が隠されており、マットは謎の美女Q.Aやかつて共演したゲームキャラクター達の助けを借りつつその野望を打ち砕くべく戦う。
 そういう、架空の「楽屋裏」を舞台にしたゲームだ。

 パロディゲームと銘打っただけあって、ニヤリとさせられるネタが随所に仕込まれている。マリオのそっくりさんやJRPGのお約束を体現したキャラなどは(一部で)話題になったし、それ以外にもゲーム業界ネタがちょこちょこと入ってたりする。
 例えば序盤で登場するカンフー使い「ソーリー・ホワッチャ」。アフロヘアの黒人で、アメリカ人的なイントネーションで「○○アルヨ!」というエセ中国人的なしゃべりをする。非常にウザい感じなのだが、それに対するマットの突っ込み。

「そのしゃべり方はよせ。最近は本当にクレームが来るんだぞ」

 近年のゲーム業界、とくに欧米ではこの手のクレーム話が多いことを知っていればニヤリとできる小ネタだ。
 あと、ロード画面だな。最近のゲームはロード画面で操作法法の説明やゲームのちょっとしたヒント等が表示されるのが普通だ。EAT LEADにも同じようにものが出るのだが、まっとうなヒントは全体の2割かそれ以下で、あとはどうでもいいような小ネタが展開される。


「ロード画面を見るのって楽しいよな!」

「道に迷った時、敵に質問できたら便利だよね。
 まぁ、そんな機能はついてないけど」

「ロード中のメッセージはひまつぶしなんかじゃない。
 人生における大切なヒントなんだ」



 あと、マットの決め台詞「ハザード・タイム」の由来とか、Twitterでやってろ! と言いたくなるようなものが大半だが、こういうノリは嫌いじゃない。てか、もっと数あってもよかったように思う。毎ロードごとに違うメッセージが出て、一度のプレイでは網羅できないくらいでちょうどいいと思うのだが。
 ローディングの退屈さを軽減するのにいい方法だと思うので、これは他のメーカーも見習ってくれればと思う。


 それにしても、ローカライズの丁寧さにはうならされる。パロディゲームとはいえ、元が海外のゲームだけに日本人には理解できないネタが多いのでは? という懸念があったのだが、そこらへんをうまくアレンジしているのだ。

 例えば劇中で登場する水鉄砲を撃ってくる敵は、オリジナル版では「SOAK'EM」という水鉄砲シューターからの出演となっている(Soak=ずぶ濡れ)。これは明らかに「SOCOM」のパロディだが、日本では洋ゲー好きでもない限り分からないタイトルだ。そこで日本語版では「ウォーター・ギア・リキッド」に差し替えられている。つまり邦題というわけだ。

 他にも、ドットで描かれたドイツ兵が登場するゲームがある。これはFPSの始祖とも言われる「ウルフェンシュタイン3D」のパロディだと思うが、やはり日本のコンシューマでは通じにくいネタでなので、戦場の狼をもじって「戦場の餓狼シリーズ」と変えられている。これなどは苦肉の策と言うべきかもしれないが、翻訳家の努力が感じられる。
 ネーミングでいえばJRPGのパロディであるボスキャラ「クモーリ・アメモヨウ」などその最たるものだろう。台詞回しもやたら大仰で、「JRPGへの皮肉を体現したキャラ」として笑いのこみ上げてくる代物になっている。戦闘前の台詞から一部抜粋してみよう。


「私を知らぬのかッ? 遥か昔の千九百八十七年、
 白い鳩のときと呼ばれた黄金時代より
 私は長き年月を生きてきた。わが名は
 アルトス・トラトス・クモーリ・アメモヨウ…ッ」



 「白い鳩のとき」という言葉の元ネタは分からないが、1987年とはファイナルファンタジーが発売された年である。ちなみにこいつの台詞、マットにも突っ込まれてるけどやたら「…ッ」が多いです。
 登場時のカメラワークもいかにも和ゲー的というかアニメ的。いろんな意味で期待通りのキャラで、このボスに限って言えば、日本語版こそが最終完成形といっても過言ではないだろう。

 そんな感じでパロディに関してはオリジナル版のこだわり具合もさることながら、ローカライズもその旨味を十二分に引き出している。思うに、上で褒めたパッケージイラストも、FPS/TPS黎明期の洋ゲーに捧げるオマージュではないだろうか。
 ローカライズ含めた細かいネタについては、攻略以外の記事がやたら充実していると評判な「Eat Lead @ ウィキ 」を参照されたい。



 さて、肝心のTPSとしての評価だが……最も低い難易度でやった感じだと「なかなか遊べる」というレベルには達している。
 カバーシステムは煩雑で洗練されていないが、そこそこ有効に機能している。
 敵の動きは短調で変化に乏しいが、一部の障害物は敵の攻撃を受け続けると消滅するので、なんとか立ち回りの緊張感は出している。
 低難易度だけにある程度のゴリ押しは可能だが、十字放火の中に飛び出すとあっという間に死ぬので、後半になるとそれなりにスリリングな戦いになってくる。

 「そこそこ」「なんとか」「それなり」……。つまりそういうことだ。

 管理人は「結構悪くないな」と思ったが、それははなから期待してなかった故の感想であり、TPS部分だけ抜き出してみれば「プレイがストレスにならない」というギリギリの線を守っているだけに過ぎない。
 すでに方々で指摘されているように、カバー時の当たり判定がおかしいとか作りの甘い部分もあるのだが、個人的には小さくまとまりすぎているのでは、と感じた。いや、まとめきれてないんだけどさ。

 そういやアレだよ。パッケージでマットが手にしているミニガンとごっついアサルトライフル。あれゲーム中では全く登場しなかったんだよな。
 パロディゲームとして敢えて既存の「それっぽいTPS」を目指したのだと思うが、むしろああいう大火力の武器でバリバリ敵をなぎ倒すようなノリにするのが正解だったんじゃねぇか?
 そっちの方がバカゲーっぽいし、何よりノーマルなガンシューティングなんて巷にいくらでもある。半端にカバーなど入れて劣化GOW呼ばわりされるより、全くの別路線で勝負した方が良かったように思う。


 以上、こんな感じだ。
 総括として、タイプごとのお勧め具合を述べておく。


★こんな人にお勧め!「EAT LEAD〜マット・ハザードの逆襲〜」★

★FPS/TPSが好き! バカゲーも好き! 少々クソゲーでも許すよ!という人
 ↓
あなたのためのゲームです。迷わず買いましょう。まぁ品薄だから入手は困難だと思うけど。

★小山力也が好き! あの声がたまらん! 少々クソゲーでも許すよ!という人
 ↓
あなたのためのゲームです。迷わず買いましょう。まぁ品薄だから入手は困難だと思うけど。

★AK47が好き! あの銃が出てたら少々クソゲーでも許すよ!という人
 ↓
あなたのためのゲームです。迷わず買いましょう。まぁ品薄だから入手は困難だと思うけど。

★D3Pが好き! SIMPLEで慣れてるし少々クソゲーでも許すよ!という人
 ↓
ドリクラ買え。





 最後に2chのEAT LEADスレから抜粋。「これ買いかな?」という問いに対し、非常に的確なレスがあった。管理人のお勧めガイドよりよっぽど的を射ている。


[PS3]EAT LEAD〜マット・ハザードの逆襲〜[X360]

203 :なまえをいれてください:2010/02/18(木) 17:31:48 ID:bbH5KW4v
  これ、速攻買って売れば手を出すのもアリかな?
  …ただなんとなく箱版だとすぐさま売っても2000円くらいで買いたたかれそうで怖い

204 :なまえをいれてください:2010/02/18(木) 17:48:57 ID:1/Qmw0x2
  >>203
  悩むくらいなら買わない方がいいかもしれん。
  他にいいゲームもたくさんある

  だがしかし

  こんなバ神ゲーそうそう出るもんじゃない。
  テイストが好みなら「買って損するのもこのゲームの醍醐味」くらいの
  気持ちで買っちまえ。




 パロディ満載のバカゲーってのは他にもありはするが、洋ゲー的観点で作られたバカゲー、それも丁寧なローカライズが施されたものとなると貴重だ。ぶっちゃけお勧めはしないが、個人的にはずっと手元に置いておきたいゲームである。

 …あ、言い忘れた! 本作でマットをサポートしてくれるオペーレター役の「Q.A」、ビジュアル的にHALOのコルタナが元ネタではないかと思うが、こっちは眼鏡の似合う正統派の美人だ。声も可愛いので、これからプレイする人は全力で萌えればいいと思うよ!


追記:
 ちなみにXBLAで配信中の「マット・ハザード:Blood Bath and Beyond」(“殺戮の果てに”みたいな意味だろうか)は本作の続編に当たる。「EAT LEAD」が発売後半年してワゴン行きとなったという設定っつーかあるていど現状に基づいた舞台設定で、「EAT 〜」でも登場したニュートロノフ将軍を倒すため奮闘するゲームだ。
 これは2Dの横スクロールアクションなのだが、「EAT 〜」でなし得なかった「痛快撃ちまくりシューティング」をあるていど実現している。管理人もプレイしてみたが、なかなか悪くない。
 …いや、まだ1面もクリアできてないから適当なこと言うのはやめよう。とりあえず管理人は買った、というだけにとどめておく。

 ただ「Shadow Complex」をプレイして「なんだよ魂斗羅かと思ったら探索ゲーじゃねぇか」と肩すかしを食らった人にはこっちの方が合うかもしれない。あくまで可能性としてはね! またクソゲーかもしれないから買うときは腹くくれよ!


追記2:
 本作のタイトル「EAT LEAD」とは「鉛弾を食らえ!」というような意味らしい(Lead=鉛)。タイトルはオリジナルの「Eat Lead: The Return of Matt Hazard」の直訳になっているのだが、サブタイトルだけでもよかった気がする。




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