08.12/08 その61 FALLOUT3――ひとりで殺れるもん






 一晩考えた末に、俺はコリン・モリアティを殺すことに決めた。

 俺の外見――モヒカンにスパイク付きアーマーといった出で立ちにはそぐわないかもしれないが、俺はこの荒みきった世界で正義を行おうと努めてきた。困った人間がいれば助けてやったし、そのために危険も冒した。この掃き溜めの町「メガトン」の住民ともおおむね良好な関係を築いてきた。そんな俺が殺しを決意したのにはそれなりの理由がある。

 コリン・モリアティ。メガトンで酒場を営む、ずる賢い情報通。到底好きにはなれないタイプだが、奴の握っている情報には失踪した俺の父に関するものも含まれている。その情報を得る交換条件として使い走りもしてやったのに、奴はその上さらに100キャップを要求してきやがった。
 その時の奴の顔、物言いは明らかに俺を馬鹿にしていた。口先だけでどうにでも転がせる、格好だけ粋がっている若僧だと。
 正直に言って、俺は父の捜索についてそれほど必死になってるわけじゃない。だが、俺の金玉を握ったつもりになっているあの間抜けに舐められるのは我慢ならない。奴がしゃべれなくなっても、酒場のターミナルにはアクセスすれば欲しい情報が手に入るはずだ。奴を消してからゆっくりパスワードを探すなりハッキングを試みるなりすればいい。

 それにコリン・モリアティは皆の嫌われ者だ。酒場で「特別なサービス」をさせられているノヴァ、雇われバーテンとしてこき使われている哀れなグール。奴が消えたところで悲しむ者は誰もいない。
 しかし嫌われ者とはいえ正式なメガトン住民に手をかけたとなれば、俺も重犯罪者として処刑されかねない。奴を殺すならひっそりと、誰にも知られずに片付ける必要がある。

 俺は奴の酒場で、1対1になるチャンスを待った。
 深夜、店内から人の姿が消えるのを待ち、2階にある奴の部屋をのぞいた。入口に背を向けた姿勢でベッドに横になっている。
 振り返り、人の姿がないことを確認すると部屋に入って扉を閉めた。ベッドの側に歩み寄る。寝息を立てている間抜けなモリアティ。なるべく音を立てずに済ませたかった。スーパーマーケットの廃虚で、レイダー…ならず者からぶんどった中国軍将校の剣を抜く。
 人生で初めての殺人を犯そうとしている。ふと、そんなことを思った。これまで1ダース以上のレイダーどもを始末してきたが、それは数に入れていない。なぜなら、奴らはけだもの同然のクズどもだからだ。そうだ、このコリン・モリアティだって奴らとそう変わらない。良心の呵責を感じる必要はない。
 俺はこの荒れ果てた世界で、悪党を始末し弱い人間を助ける生き方をしてきた。今からやろうとしていることだって、それと似たようなものだ。俺は間違ったことはしちゃいない。
 この酒場で働くノヴァのことを思った。「私はここに終身刑よ」と言っていた彼女。モリアティが消えれば、きっと彼女も新しい人生を始められる。
 俺は剣を振り下ろした。




 というわけで世紀末サバイバルRPG「FALL OPUT3」(以下FO3)プレイレビューでした。やりたい放題のバイオレンス世界で敢えてケンシロウ的いい人プレイを心がけていたのに、気が付いたら非の打ちどころがないくらい小悪党なロールプレイになっていた。

 ちなみに管理人が上のあとでどうなったかというと、斬りつけた瞬間にコリンが目を覚ましてしまい、大立ち回りの末にどうにか息の根を止めた。…と思ったらいつのまにか住民の一人が部屋に入ってきており、ショットガンをブッ放してきたのでそいつも殺さざるを得なかった。
 部屋の扉を閉め、この状況を整理しようとする管理人。
 予定ではコリンをあっさりと片付けて今頃は自宅で寝ているはずだったのに、現実には反撃を受けてかなりの痛手を負い、余計な死体がひとつ増えている。
 とりあえず死体は隠した方がいいかもと思い、身ぐるみ剥いだ後でベッドの下に突っ込んでみた。しかしここでまた問題発生。2人分の死体を入れるには若干スペースが足りず、コリンの体が半分はみ出ている。1体は別の部屋に隠すか? 幸いこの階には部屋がいくつもある。しかし死体を引きずって廊下に出て、誰かに見られたら今度こそおしまいだ。
 辺りは静まり返っており、人の気配はない。他にこの騒ぎを聞きつけた奴はいないのか? いや、一歩外に出ると武装した住民や保安官が俺を蜂の巣にするんじゃないか?
 暗澹とした気分で死体処理の方法を考えていると、突如として画面にXbox360のお知らせが。


 ピコン♪  《佐々木ケイジさんからメッセージが届きました》


 「FALLOUT3買ったんですね! どうですか?」


 どう言ったものだろう。死体を前に頭を抱えているこの状況を。
 結局正直に告白した。現在の状況を。レベル4、序盤もいいところの駆け出しプレイヤーが殺人を犯し、犯罪小説の主人公さながらに追いつめられつつある現状を。
 一拍おいて、「序盤から満喫してますね」と何やら含みが感じられる返信が。ち、違います! 基本的にはいい人プレイなんです! と説得力がゼロどころかマイナス(おまえは自分が『悪』だと気づいていない最もドス黒い『悪』だ )の釈明をしたが、果たしてどのように伝わったろうか。

 で、ベッド下に死体2つを突っ込んだまま階下に降りると、バーテンが異様に取り乱して店の外へ逃げてしまった。まさかと思い自分も外に出ると、案の定住民全員が殺す気マンマンで発砲してきやがる。結局屋根を伝い裏路地を走り、命からがらメガトンから逃げ出すはめになった。
 一晩たって戻ってみたら皆いつもの対応だったけど。


 というわけで、それなりに世紀末ライフを満喫しておりますよヒャッハー。
 考えてみれば管理人はこの手の洋モノRPGって初めてなんだよなぁ。手探りで始めてみたわけだが、これはなかなか面白いかもしれん。
 タイトル画面から開始5秒で戦場に放り込まれ、以後ずっと緊張感が持続するようなゲームを好んでいた…言うなれば「ずっと殺し合いだけしていたい」というタイプの管理人だが、凶暴なモヒカンや怪物を銃や鈍器でやっつけることが奨励される世界観は、比較的慣れ親しんだ雰囲気がある。

 作り込まれた箱庭世界も新鮮な驚きだった。例えばメガトンの町における住民の行動パターン。最初管理人は、敵でも味方でもない有象無象どもがどこで何をしようが知ったことじゃないと思っていたが、上で書いたような「モリアティ暗殺」という具体的な目標を立てると、そのリアルさがゲームと関連してくることに気付かされる。
 暗殺計画を立てるために一日酒場で人の出入りを観察していたのだが、入れ替わり立ち替わりいろんな人間がやってくる。カウンターで食事をして去っていく奴もいれば、椅子に座って時間を潰している奴もいる。面白かったのが傭兵のジェリコ。こいつは酒場で働く売春婦(?)ノヴァにご執心らしく、ちょくちょく口説きにやってくる。
 背後で聞き耳を立てていると、以下のようなやりとりが聞こえてきた。

「ノヴァ、この前断られた話だが、もう一度聞きてぇ。俺と付き合うつもりはないか」
「ごめんなさいジェリコ。コリンが貴方とは商売上の付き合いだけにしておけって」

 こんな感じでいつもソデにされつつしつこく言い寄っているのが微笑ましい。これはほんの一例だろうが、FO3の世界の深さを垣間見たような気になった。今後また消えてもらいたい人間が出た場合に備え、他の人間の行動もチェックしておくのもいいかもしれん。
 結局モリアティの始末はやや残念な結果に終わったが、この「暗殺」は管理人にとって序盤の大きなイベントになったと思う。

 ここまでの感想のまとめとしては、この世界の正義は“暴力”――例え正気でいられなくとも、生きるためには強くなくてはならない。
 その流れで、2chのFO3スレより管理人の琴線に触れたレスを紹介。


【Xbox360】Fallout3 フォールアウト part23

386 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/12/05(金) 14:57:12 ID:V6OC4Rz1O
  ずっといい人としてやってきたが、この乱世には巨木が必要な気がしてきた




 ラオウ誕生!





 コリン・モリアティは死んだ。俺が殺した。
 俺の処刑リストには少なくともあと一人、死なねばならない人間が記されている。
 Vault101、俺が育ったシェルターの監督官だ。
 父の友人であり、俺にもよくしてくれたジョナスを殺した…少なくともその死に責任がある男だ。
 いつか故郷へ戻った時、必ずそのけりをつけてやる。
 俺はいつだって正義を貫いてきたし、慈悲の心も十分に持ち合わせている。だから、監督官にも自分の罪を償う時間をたっぷりとくれてやるつもりだ。
 体の各部位に鉛弾を撃ち込まれて死ぬまでの間、奴がどんな贖罪の祈りを捧げるのか、今から楽しみでならない。





追記:
 そういえば以前、FO3スレで以下のような話題があった。

○● Fallout 3 その3 ●○

9 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 09:32:57 ID:5LTb6MzF0
  fallout3をいろんなとこで宣伝しようぜ
  まず知らないやつが多すぎる、知ればなんとかなる

16 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/09/07(日) 12:49:10 ID:AL0Kkv6P0
  >>9
  北斗の拳2オープニング風で作ってくれる神MAD職人が降臨すれば
  ねらーとおっさんがホイホイ釣れると思うぞw



 北斗の拳2の主題歌「TOUGH BOY」ではないが、「愛をとりもどせ!」のMADならすでに作られていた。もう皆知ってるのかな?


FALLOUT3「愛をとりもどせ!」




 いやー、これ見ると人体破壊のゴア描写が削られたのはまことに残念と言う他ない。それなしでもFO3が十分魅力的なゲームであることには変わりないが。



洋ゲー[1]へ   TOPへ戻る