「尻尾を出す」という慣用句もあるように、狐が正体を見破られる原因として「尻尾が出てしまう」というケースは多い。民話や伝承でも居眠りしていたら尻尾が出ていたとか、梯子を昇っている際に下から覗かれて見られたとか、知らずに出ていた尻尾を踏んづけられるとか、尻尾で座敷の掃き掃除をしているところを見られるとか、バリエーションも豊富だ。
最後の狐は緊張感なさすぎだろと言いたくなるが、それも含めてユーモラスですな。ていうか可愛らしいですな。少なくとも化け猫のように鼠を食ったり行燈の油を舐めたりして発覚するよりは親しみがもてる。そもそもあんな大きくフサフサした尻尾を完全に隠すのは無理があるし、いっそ「ファッションです」と割り切って露出させた方がまだいいように思う。狐本人にも我々人間にとっても。
時には満員電車の中で尻尾をまさぐられ、羞恥に涙ぐみながら
「や、やめてください…っ」と言う狐さんの耳元で
「クキキキ…口じゃあ嫌がってもココはこんなにフサフサじゃねぇか」と思ったらタヌキさんでしたぁ―――!!!バァアア――――カ!!! ってことになってもそれはそれで面白い。
「ごめんなさい緑のたぬきあげるから許して!」って懇願するんだけど、大勢の狸に囲まれて電車を降ろされ、駅員室に連れ込まれて美味しく食べられちゃうわけですな。いや文字通りの意味で。かちかち山式に人肉鍋にされるという意味で。
憎めないお間抜けキャラって印象の強い狸だが、奴らの本気は怖いよ。
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