14.02/25 ゴディバ夫人・2
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時は11世紀、イングランドの地方都市コヴェントリーは

酷薄な領主レオフリックの課す重税にあえいでいた

レオフリックの妻ゴディバは民の貧苦を見かね 夫の暴政を諌めたが…















































 こうしてレオフリックの行いにより、ゴディヴァ夫人の要求は退けられたのでした。めでたしめでたし。



参考:エドモンド・レイトン「ゴダイヴァ夫人」



 「もう2月も終わりなのにバレンタインネタ?」と思ってる人もいるだろうが、当サイト的には2月いっぱいまでバレンタインデーです。だから「味之介さんにチョコあげるつもりだったけど、渡しそびれちゃったなぁ…」という淑女の皆さんは今から送っていただいても一向に構いません。あ、チョコがなければ漬物でもいいです。

 冗談はさておきレディ・ゴディヴァについてもう少し詳しく知りたいと思っていたら、こんな本が見つかった。





ダニエル・ドナヒュー著『貴婦人ゴディヴァ: 語り継がれる伝説』


 ゴディヴァ夫人が領民のため裸で町を周ったという伝説は後世の作り話なわけだが、この本はさまざまな文献から実在のゴディヴァ&レオフリック像を解き明かしつつ、かの伝説がどのように生まれ、現在のように形を変えていったかを考察している。
 まだ読みかけではあるが、文中で述べられている史実と伝説の違いを簡単に紹介するとこんな感じらしい。


・ゴディヴァの時代のコヴェントリーに、圧政で民が苦しんだという記録は見当たらない
・当時のコヴェントリーは小さな農村であり、市に大勢の人が集まるような町ではなかった
・そもそもコヴェントリーはレオフリックではなくゴディヴァ本人の所領だった
・ゴディヴァとレオフリックの関係や税などの社会制度のほとんどが後の時代(伝説が生まれた時代)に準拠したもの


 冷酷な悪役として描かれるレオフリック伯も史料からはそういう側面はうかがえず。ノルマン征服(ノルマン・コンクエスト)という大きな時代のうねりの中で大過なく領土を治めたあたり、それなりに有能な人物だったともいえる。また妻(ゴディヴァ)と連名で修道院を寄進したりなど徳が高い行いが称えられているし、伝説とは全く違った人物だったようである。というよりあの伝説は史実に基づく部分がほとんどないというのが本当のところのようだ。

 『貴婦人ゴディヴァ』ではそれを踏まえ、なぜあの有名な伝説が生まれたかという考察に進んでいくわけだが…ここまででひとつ言えそうなのは、ゴディヴァ伝説で最大の犠牲者はピーピングトムではなくレオフリックだということだ。
 夫人は慈愛とエロスのヒロインとして今日まで名前を轟かせているが、レオフリックは領民を重税で苦しめる圧政者であり、弱い立場の夫人に「裸で町を周れ」と無理難題を吹っかけるゲス野郎という役どころである。管理人がレオフリックだったらヘソを曲げて嫌味のひとつも言い、布団をかぶって泣くかもしれない。

 そんなわけで「カウンターアタック・ザ・レオフリック」のつもりで描いたのが今回の絵です。裸一貫となっても己の意を貫こうとした男の潔さみたいなものを読み取ってほしい。



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