むしろなんで今までその魅力に気づかなかったのか不思議なレベルだ。管理人の趣味を考えれば当然のごとくストライクな種族なのに。
何が言いたいかというと、オークはファンタジーにおけるモヒカン悪党なのだ。残忍かつ暴力的な性向と、それに見合ったやられ役のオーラ。トゲ付き棍棒など物騒な得物が似合いそうなところも共通している。もともと「闇の軍勢の手先」として生まれただけあって、邪悪さのピュア度で比べればモヒカンよりも上ともいえる。
だが両者を比較すると、オークは様々な面でハンデがあることに気づく。
まず第一に「知能の低い種族」と見られがちなことだ。モヒカンはれっきとした人間だが、オークはしばしば文明の恩恵に預からない獣人のように描かれる。それに伴い、ことさら不潔に汚らしく描写されたりもする。これは悪党的にも残念という他ない。
同時にカッコ良さでも及ばない。モヒカン悪党は「毎日カラダ鍛えてます!」的なマッチョが多いイメージがあるが、オークは筋肉量はともかく腹が出た肥満体風に描かれることが多い。加えて足が短かったりガニ股だったり、マッチョではなくブサイク寄りである。悲しいことに。
これはファッション面にも表れている。モヒカンにはスパイク付きアーマーやタトゥーにピアスなどイメージ的に定着したお洒落要素があるが、オークにはそういったものがない。
これは知能が低いと見られることにも関係しており、いきおい彼らのファッションは雑兵チックなしょぼい鎧がせいぜい、ひどい時には腰まわりに獣皮を巻いただけというルックスにされたりもする。
まだある。
モヒカンの長所のひとつにバイクとの相性の良さが挙げられる。エンジンの鼓動と排気音は彼らの内より迸る攻撃的なエネルギーと一体化し、ビジュアル面でも凶暴さを底上げしている。
ファンタジー世界では騎馬がそれに該当するが、残念ながら馬を乗りこなすオークというのはほとんど見たことがない。つまりオークには悪党としての疾走感が乏しいのだ(『ウォーハンマー40k』はその固定概念を覆したが)。
では勝っている部分は何かというと…上にも挙げた「存在そのものから漂う邪悪オーラ」がひとつ、もうひとつは相方に恵まれている点だろう。つまりエルフですな。万人が認める美形種族であるエルフとの絡みが多いという点は長所と言って差し支えないだろう。
こーんな感じ↓のエルフと色々できちゃうわけですよ。具体的には殺し合いとか。
The Elder Scrolls V:Skyrim
…以前、エルフ少女の更新(→ )の時にモヒカンでマッチョなエルフがどうのということを少し書いたが、Skyrimのエルフはそれを地で行ってますな。
真ん中の人はダークエルフらしいが、北斗の拳でもこんなクレイトスさんみたいなモヒカンいねぇよ。
そして一番大きな長所が、人ではない怪物ゆえ「ブチ殺すハードルが低い」という点だ。
最も燃える戦いのシチュエーションは「人vs人」と信じて疑わない管理人だが、純粋にバイオレンスアクション的カタルシスを得るには、人間相手じゃない方が心理的にも良い場合がある。
例えばラッシュアワーのような密度で押し寄せるオークの群れを、削岩機に放り込むようなノリでミンチにしても胸が痛むことはない。だって邪悪な怪物だし、そうしないと人類がピンチだから! という理由で自分を納得させられる。じゃあモヒカン相手だと胸痛むの? と聞かれると言葉に詰まるが、一般論としてオークよりモヒカンの方がまだ分かり合えそうだと思う人は多いだろう。
こういう「人間っぽいけど人間じゃないから遠慮しなくていい」という需要はゾンビにも通じるが、オークはゾンビよりも邪悪でアグレッシヴで、エルフまでおまけに付いてくるという得がたい悪役なのだ。
ファンタジー系の悪役としては見慣れたオークだが、その実とても魅力的な、やっつけ甲斐のある悪役ではないかと思う。なので日本のサブカルチャー業界ももっとオークを前面に出していただきたい。
そして時にはオークを主人公にしたハーレムラブコメみたいな変化球もアリではないかな。冴えないオーク高校生(中つ国学園2年生)がある日突然エルフの美少女にモテモテになるという展開で。しかしそのオークは幼少時にエルフの幼馴染にいじめられたことがトラウマになっており、エルフが大の苦手という残念キャラ。そんで周りから羨望と嫉妬の視線を受ける中、クラスの地味な委員長(ドワーフ♀・髭モジャ)に安らぎを見出すという…。
いや待てよ。現代風アレンジならこういうのも捨てがたいね。