11.07/27 その150 F.E.A.R.3――もう夏だし恐怖でも克服するか





 管理人は毎年夏になると恐怖の克服を思い立つのだが、今年もその季節がやってきた。暗闇に怯える昨日までの自分よさらばというわけで、心霊ホラーFPS『F.3.A.R.』(日本語公式)を買ってまいりました。




 ご存知F.E.A.R.シリーズの3作目、超自然的な恐怖と激しい銃撃戦が精神を苛む、色々とハードなFPSである。
 今作では初代主人公だった“ポイントマン”が主役に返り咲き、また一作目のラスボスだった“パクストン・フェッテル”がもう一人の主人公として登場。もちろんシリーズの顔である“アルマ”も、FPS最恐ヒロインの名に恥じないホラーっぷりを振りまいてくれる。あと、前作で賛否両論だった二足歩行兵器・パワーアーマーも続投し、どう考えても心霊ホラーには過剰なドンパチぶりを加熱させている。
 ホラーが苦手な管理人でも、これだけ火力が充実してれば安心してプレイできる。もちろん幽霊を弾丸で穴だらけにするゲームではないのだが、気分転換に銃撃戦ができるってのは大きいですよ。身の毛のよだつ恐怖演出で冷えた体をHOTでHEATな銃撃戦で温め、それが終わればまたホラー描写に震えてクールダウン。
 これは初代から「ホラー要素とシューター要素が乖離している」と批判された点でもあるが、管理人的にはちょうどいい。ていうかド直球な超本格ホラーなんてやってられませんよ。怖くて。ホラー要素を色濃く持ちながらも撃ちまくりドンパチシューターであるからこそ管理人はF.3.A.R.(以下F.E.A.R.3)を買ったわけである。

 ちなみに今回は北米版を買った。
 前作の日本語版は大幅な表現規制が行われてユーザーから大不評だったのだが、今作は北米版にも日本語が収録されていると聞いて購入に踏み切った。で、プレイしてみると字幕はもちろん音声まで日本語吹き替え(もちろん日本の声優)になっていてびっくりした。
 一部ムービーは英語音声+日本語字幕だが、ゲーム中はザコ兵士のボイスに至るまで全て日本語。イイ仕事してんじゃねぇかワーナーブラザーズ……と褒めたいところだが、実はザコのボイスはあまり出来が良くない。ところどころ棒読みっぽいし、何より英語のスラング――「シット!」「ファック!」「サノバビィーッチ!」まで日本語で喋らせてしまうのはいかがなものか。おかげで戦闘シーンはいささか気の抜ける空気が漂ってしまっている。
 ていうか軍隊用語に限っていえば英語の方が分かりやすいぞコレ。日本語で「最前線!」とか聞こえてもなんのことかよく分かんねぇし。

 とはいえ戦闘そのものはとても楽しい。初代と比較して体力が自動回復制になったり、リーン(体を傾けて覗き込む動作)の代わりにカバーアクションになったりと変更点も多々あるが、シリーズお馴染みの時間の流れを遅くする特殊能力「Slo-mo」やスライディングキックやジャンプキックなどの格闘攻撃は健在で、慣れれば華麗に敵を蹴散らしていける。
 そんなスーパーソルジャーな主人公に合わせ、敵もかなり強い。一般的なFPSより耐久力は高めだし、かつアグレッシブに行動してくる。初代もそうだったがマップ的に篭れるようなポイントがあまりないため、前方だけ見て撃つ→隠れるを繰り返していると、あっという間に回り込まれてバシバシ撃たれる。なんというか、やる気にあふれていて大変けっこうです。最近腕がなまっていたこともあって「あれ? 難易度“コマンドー”ってノーマルだよな?」と説明書を確認してしまったほどだ。
 そしてペラ紙一枚という何の説明もされてない説明書にまたびっくり。本国の公式サイトからDLしてねということらしいが、それじゃ困るよ君。

 それとあれだな。北米版のM(MATURE 17+)指定だけあって、派手に頭や手足が吹っ飛ぶのが大変よろしい。首のない死体の断面から血が噴出するのを見ると……その…下品なんですが…フフ…… いや別に勃起とかしてないですよ! 失礼な! ただ苛烈な戦闘の演出としてうまく機能しているなぁと、そう感心した次第です。言ってる意味わかるよね?
 嫌な冗談はさておき真面目に言うと、身体欠損描写は「敵を倒せたか否か」が視覚的に一発で分かるのがありがたい。Slo-moを駆使して多数の敵を相手取るケースが多いゲームだけに、迅速な判断は時に生死を左右する。まぁそこまでシビアな要素じゃないけどさ。一番のメリットは武器の破壊力を実感できることです。
 戦闘面で難点を挙げるなら、カバーしている際などに「敵の射線が見えないのに攻撃を食らう」という困ったケースがちらほらあることだろうか。とはいえそれを差し引いても銃撃戦が楽しいことには変わりない。あまり熱いんで戦闘中はホラーゲームだということが完全に頭から消え去るほどだ。


 キャラクター面では、今回中心となるのは3人。
 1作目に続いて主人公となる「ポイントマン」、1作目のラスボスであり、ポイントマンの弟でもある「パクストン・フェッテル」、そして二人の母親であり、全ての災厄の始まりである少女「アルマ」。




 一部にひどいデタラメが混入されているが、おおむねこんな感じだ。
 ちなみに公式画はこれ↓。



おかあさんとぼくたち



 超かっけぇ。ポイントマン(右)がちょっと山賊っぽいが、 ワイルドな感じでカッコいいじゃないですか? これからはヒゲの時代ですよ。COD:BOとか主要キャラ全員ヒゲだったしな。

 で、もう一人の主人公たるフェッテル(左)。
 一作目でポイントマンに射殺され(額の穴はその時のものだとか)、以後幽霊として彼に付きまとっている。……初代ラスボスの幽霊が新パートナーとは斬新な設定だ。「なんだよもう! どうせならアルマたんとCoopさせろよ!」と憤慨したファンがいたかどうかは知らないが、確かに信頼できるパートナーとは言い難い。
 ポイントマンに殺されたことはあまり根に持っていないようで、劇中でもなれなれしく「ブラザー」と呼びかけてきやがるのだが、邪悪なオーラ剥き出しでそんなこと言われても警戒心しか働かない。





 ちなみにこの男、生前は人肉嗜食癖があった。無理。もう無理。「気やすく兄さんなどと呼ぶな!」と泣きながらジャンプキックしたい気持ちでいっぱいである。
 ゲームにおいて対立する兄弟という構図は珍しくないが、その中でもこのフェッテルは極めつけに凶悪な弟といえるのではないだろうか。

 だが困ったことにこの悪霊弟、使ってみると結構楽しいのだ。
 シングルプレイでも一度クリアしたステージはフェッテルでプレイできるようになるので別データで試してみたのだが、憑依能力を使った戦闘はポイントマンとは全く違う感覚で面白い。体を乗っ取って周りの敵兵を片付け、用済みになればさっさと消却。肉体を消耗品として扱う悪霊プレイがある種の解放感を与えてくれる。




LTでサスペンド(吊るす)したら、Yボタンで憑依。離れていても悪霊パワーからは逃げられない



 F.E.A.R.3のシングルプレイはボリューム少なめと言われているが、フェッテルを使った「ほぼ別ゲー」な2週目まで含めると十分なボリュームではないかと思う。
 聞けばマルチプレイの出来もいいそうだし、これは当たりと言っていいFPSではないかと管理人は思う。ていうかすごい気に入った。まだ未クリアだけどね。


 ところでホラー要素についてだが、このゲームはあんまり怖くなかったりする。ひとつには物語の核であり恐怖の源泉でもあった「アルマ」の正体が割れていることが挙げられよう。
 初代のアルマは正体不明の亡霊でありそこが恐ろしかったのだが、3作目では彼女の悲哀と苦痛に満ちた生涯や、主人公らの母親という数奇な身の上もとっくに知られている。謎がなくなれば恐怖も薄らぐのは当然のことだ。
 ところどころでドッキリ的に登場してこちらを驚かせてくれるが、その衝撃はワサビのようにさっぱり消えて後に残らない。暗闇を一人で歩くような不安と恐怖は今作にはない。

 あと、あいつ。フェッテル。
 ああいう人間臭い亡霊というか霊体キャラがしょっちゅう出てくるんでは、超自然的な存在への恐怖など感じようもない。しかもゲーム中で手助けしてくれる相棒とくれば尚更だ。
 ゲーム中盤(ごめん序盤だった)で体に爆弾をくっつけた暴徒が登場するのだが、感心なことにここで協力を申し出てくる。

「奴らは爆弾を身体に巻き付けている。俺が遠ざけてやろう、ブラザー」
(↑地獄の底から響くような声で)

 おお弟よ! お前単なるウザキャラじゃなかったのね! さあ兄さんを助けておくれ! と見ていたが、何も起こらず爆弾野郎の突撃を受けて大ダメージ。
 …どうやらCoopを想定した台詞だったらしい。そんなわけで管理人の中にはこの悪霊弟への不信感が更に強く醸成されたのだった。


 ごめん何の話だったっけ。
 ああ恐怖ね。うん。F.E.A.R.3は楽しいけどあまり怖くないよと。管理人にはこのくらいでちょうどいいけどね。

 まぁ恐怖を求めるんならもっといいのがありますよ。昔このサイトでも触れたFLASHゲームの「The House」だが、いつの間にか2作目が公開されていた。

The House 2


 前作に比べてロードが長いが、そのぶん怖さもパワーアップ。管理人は3番目の部屋(Bed room)までクリアしてギブアップです。つうかアレは反則だと思う…。
 そんなわけで「恐怖の克服2011」は諦めました。やめやめ! やってられっか! また来年ね!



追記1:
 海外のF.E.A.R.Wikiを(画像収集目的で)見ていたところ、面白いものを発見。


アメコミ版F.E.A.R.3




 ポイントマンの尋常でないやられ役顔など色々と突っ込みたくなるが、ちょっと読んでみたいぞ。Youtubeに紹介動画があったが、ゲームと同様にホラー部分よりアクション要素が重視されているようなイメージを受ける。



アルマさん怒りのポーズ



カッコよく活躍する(?)ポイントマン



 GOW3やCOD:MW2のコミックも日本で販売されないかなぁ。されないよなぁ…。
 つーか日本語版公式は「F.E.A.R.3からデビューされる方へ」を未だにほったらかしにしてるのをどうにかしろ。やる気あんのか。


追記2:
 これからF.E.A.R.3をやろうとする人に一言。コントローラーのキー配置だが、初期設定の「アサルト」では格闘攻撃がR3に設定されているため、ジャンプキックが非常にやりづらい。なので、「タクティカル」あたりに変更することをお勧めする。



※過去のF.E.A.R.更新
雑文その27・恐怖<FEAR>を克服せよ。心霊ドンパチFPS「F.E.A.R.」



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