洋ゲー[2]へ  
14.12/23 その217
Shadow Warrior――反逆の斬撃FPS




 もう2014年も終わるけど、皆は充実したゲームライフを送れただろうか。管理人はBF4、Titanfall、F.E.A.R. Files、Payday2など今年のゲームライフもFPS三昧でした。
 言いたいことも色々あるが、おおむねみんな楽しいゲームだったといえる。BF4は第一印象が悪すぎたが、PS4版を買ってから評価が持ち直した。やっぱり64人対戦は賑やかで楽しい。360版はちょっと広いマップだと閑散とした印象が拭えなかったが、ようやくBF4本来の楽しさを味わえたという気持ちですよ。フリーズもほとんどないしね。キャンペーンのセーブ消失は健在だったけど。もうキャンペーンなんてやらねぇよバーカ! Noob! チート野郎! バードウォッチャー!(思いつく限りの罵倒語)

 そんなわけで例年通りFPSまみれだった2014年だが、今年遊んだ中でベストFPSを挙げるならこれだ↓




 Shadow Warrior (PS4)。
 1997年に出た同名作品をリブートしたFPSで、PCでは2013年にリリース済みだが今年10月にPS4版が出た。もちろん海外版だが、PS4ではBF4以外これといったFPSを持っていなかったので試しに買ってみたところ、これが大当たりだった。
 新旧の名作を抑えて管理人的ベストに輝いた理由は、ハナからケツまで徹底して戦闘しかないこと、そしてそれが非常に爽快で楽しいことだ。刀と火器を駆使し、キュートなデーモン共を片っ端からブッた斬ったりブッ飛ばしたりブチ撒けたりする。ひたすらザクザク斬ってバンバン撃ってガンガン突き進む、サイコーにゴキゲンなFPSだ。





 サラッと言ったがこれは凄いことですよ。このご時世、こういうシンプルかつ痛快なアクションゲームは稀有な存在だ。カタナアクションは3種の必殺技(突き、回転斬り、飛び道具)を含め一般的な近接攻撃とは桁違いの爽快感を味わわせてくれるし、銃器類は拳銃からショットガン、クロスボウ、ロケランなど6種を同時に運用し、ド派手な花火で敵を肉片に変えられる。

 90年代のクラシカルなFPSがベースなのだから、こういう路線になるのはある意味当然かもしれない。だが過去作をリメイクする場合、どこかで“今の売れ線である要素”を入れてしまいがちだ。例えばマルチプレイを付け加えるとかね。
 しかしShadow Warrior(2013)を作ったデベロッパーはそんな浮気心を振り捨て、シングルプレイのみにリソースを全振りしてこのゲームを作り上げた。管理人は制作を担当したFlying Wild Hog及びパブリッシャーに惜しみない賛辞を送りたい。オイみんな拍手だ。(ぱちぱち)

 更にもう一つ英断として褒めたいのが、ステルス要素が一切無いこと。
 最近はシングルオンリーFPSも結構出ているのだが、どういうわけかせせっこましいステルスパートをやらせたがるゲームが非常に多い。威張って言うことではないが、それに嫌気がさして積んだFPSもいくつかある。
 まぁ理由は分からんでもない。「大勢の敵に1人で立ち向かう」というシナリオにリアリティを持たせるためには、敵の目を盗んで隠密行動する場面も必要ということだろう。
 そこをShadow Warriorはバッサリ斬り捨て、バトルは全て正面対決という男らしいゲームデザインに回帰している。何せ武器はたっぷりあるからな! ヤクザだろうがデーモンだろうがまとめてぴゅぴゅぴゅのぴゅーにしてやるぜ!(難度Bのファミコンギャグ)ってな感じだ。制作担当のFlying Wild Hogに惜しみない賛辞を送りたい。オイ拍手だ、拍手しろ。(ぱちぱちぱち)


 何から何まで時代に逆行する作りであり、存在そのものが現代FPSへの反逆といっても過言ではないだろう。
 PCはさておき、現代のコンシューマFPSは良くも悪くも「COD4以降のカジュアルFPS」の影響を受けている。CODコピーが乱発された一時期に比べればマシだが、今も新たな魅力を打ち出しきれず悪戦苦闘しているタイトルが多いように管理人には見える。そもそも当のCODが自分の敷いたレールから抜け出そうともがいているような状況だ。
 そんな中にあってShadow Warriorは、今のFPSが90年代に置き去りにしてきた要素を丁寧に拾い集め、再構築することで新鮮な面白さを実現した。マルチプレイも自動回復もなく、度肝を抜くような演出も多彩なビークルもない。シンプルなFPSだが、雑魚を蹴散らす爽快感や、難敵を攻略する楽しさはっしっかりある。
 このご時勢にこういうFPSを出してくれたFlying Wild Hogと、ここまでのプレイでバラバラになってくれた6000体のデーモンたちにありがとうと伝えたい。

 海外ゲームサイトのレビューでは、本作の懐古趣味的なデザインと爽快感を褒める一方で「バカっぽい」「薄っぺら」「空っぽ」と付け加えている。まるでこのゲームを楽しんだ自分自身に言い訳するかのように。
 確かにShadow Warriorのバイオレンスなノリは大人向けというより中高生向けだ。だが、だからといってアクションゲームとしての質が低いわけではない。刀の必殺技3種はどれも使い分けがはっきりしており、適宜に使い分けることで敵を膾斬りにする快感を味わえるし、火器もそれぞれ個性が際立っていて状況次第で絶大な威力を発揮する。
 またFPSでは珍しい短距離のダッシュ(踏込とかサイドステップ)もあり、攻防の両面で戦闘の幅を広げている。「何だよもう! 無理だろこんなの!」とシャウトしたくなるような難所も時にはあるが、そんな場面でも武器を変え戦法を変え、試行錯誤しているうちに攻略パターンが見えてくるのだ。これこそアクションゲームの醍醐味ですよ。

 余談だが管理人は2周目で「刀の攻撃にもヘッドショット判定がある」という事実に気づいた。今は3周目で難易度INSANE(HARDの上)にチャレンジ中だが、ザコ相手でもきっちり頭を狙っていかないと厳しいバランスになっている。でもすごく楽しいね。ここに来てようやく全ての技、全ての武器を活用できるようになった(せざるを得ないとも言う)し、刀と6種の火器がようやく自分の体の一部になった気がする。

 1周目で全てのスキルとアップグレードを身に付けるのは難しいかもしれないが、そのぶん能力を引き継いでの2周目(EX GAME)は楽しいぞー。カットシーンも全スキップ可能だから英語が分からなくても全く問題ない。
 まぁスキルやパラメータの説明文が読めないとアップグレードの効果が分からず苦労するが、ありがたいことに2chのスレでそのあたりのテキストを翻訳してくれた人がいた。Flying Wild Hogの次に惜しみない賛辞を送りたい。お前ら立て。立って拍手しろ。(ぱちぱちぱちぱち)


 今はPC版が安くなっているだろうし翻訳もされているので、PCでゲームできる環境の人はそっちを選ぶのがベストだろう。でもPS4やXboxONE持ちで、イキのいいFPSを求めているなら言語の問題を脇に置いてオススメしたい。
 特にPS4版はタッチパッドを使った簡単コマンド機能があるのでプレイしやすいぞ。刀の必殺技や防御関連の術は左スティックを前後左右の各方向に2回入力することで使用するのだが、これをタッチパッドのスワイプ(指を滑らせる)で代用できる。非常に出しやすいし、左スティックとは独立しているため後退しながら↑↑みたいなコマンドも入れられてお得だ。
 ただ、テンパってる時にコマンドミスする頻度はスティック使用時と変わらないんだよね。不思議だ。



追記1:
 ところで……オリジナル版のShadow Warrior(1997)は“勘違い日本”に代表されるバカゲー的なテイストが特色のひとつになっていたはずだが、このへんの再現度はどうなのだろうか。
 管理人はオリジナルをプレイしたことがないので比較はできないが、少なくとも2013年版のバカゲーテイストは薄めである。一部におかしな日本描写が見られるものの(この自販機とか)、全体としてはそこまで珍奇なものではない。
 むしろ術を使う際の漢字エフェクトやアップグレード画面の和風テイストなどは、いい意味で「ファンタジックな日本っぽさ」を演出している。



スキル習得画面




 ストーリーに関しては…どうだろう。英語なのでよく分からなかったが、主人公と相棒の掛け合いはユーモラスながら基本的にシリアスなストーリーだ。
 強大な力を持つ刀“ノビツラ・カゲ”を巡って、世界を支配しようとするオッサン“オロチ・ジラ”――この固有名詞だけで相当面白いが――と戦うのが基本の筋である。そこに「闇の領域」という魔界的な所からやってきた“ホージ”なる人物が主人公に手を貸し、いつしか彼らの戦いは闇の領域をも巻き込んだ壮大なものになっていく…という感じ。

 意外なことにエンディングが結構しんみりしてて良かった。
 ひたすらに斬光と血飛沫と肉片とスラングをまき散らすゲームではあったが、最後の最後“雨が降ってきたことの意味”が分かると、なんともいえない哀愁が漂ってくる。

 でも、オリジナル版のおふざけを忠実に再現している場面もあった。
 例えばこの「水浴び少女」は2013年版にも登場している。



1997




2013



 ワァーオ、すげぇ再現度だね。アンリアルエンジンも真っ青だよ。

 そこはもうちょっと頑張れよ! もう21世紀だろ! とシャウトしたくなったが、フォトリアルな3D美女にしちゃったら「シュールなギャグ」にならないからこれでいいのか…。ちょっと納得いかないけどな……。



追記2:
 本作のオープニングで主人公ロー・ワンが「You got the powerrrrrrr!!!」と熱唱する歌、ちょっと気になって調べてみたが、スタン・バッシュの『The Touch』といってかなり有名な歌らしいね。元は80年代の劇場アニメ版『トランスフォーマー』の挿入歌であり、最近だとセインツロウ4でも挿入歌に使われたらしい。
 それを踏まえてこの曲が使われたトレーラー(上に貼ったやつ)を観たら、出だしでいきなり吹いた。




“シャドウウォリアー? 聞いたこともねーよ!”


 こういうおふざけも含めて、この“The Touch”トレーラーはShadow Warriorの魅力を余すところなく伝えていると思う。
 ただ00:52の「刀による防御」は実際のゲームには無い。おそらく開発中の映像なのだろうが、ちょっと惜しいようにも思う。ガード要素があれば単なるカタナバトルにとどまらず、管理人が求めている「近接格闘FPS」に近づいたかもしれないのだ。もっとも本作はガードがないのを前提にデザインされているわけだから、続編での導入を望みたい。
 ……出てほしいなぁ、続編。



洋ゲー[2]へ   TOPへ戻る