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16.05/28 その243
DOOM――ウルトラバイオレンス火星の人





君は戻ってきた。
この世界と奴らの世界…
次元を超えて歩き回れる唯一の生身の人間だ。







FIGHT!





LIKE!!





HELL!!!




 皆、DOOMやってる? ドゥームってる?
 管理人ももちろんドゥームライフを絶賛満喫中で、火星と地獄を行ったり来たりしながらデーモン相手のドンパチに明け暮れております。
 もうね、「僕は君に逢うために生まれてきたのかもしれない」ってレベルで管理人のピュアハートを鷲掴み。ハイテンポで大火力のシューティング、残虐行為手当付きの処刑アクション。その2つが渾然一体となった戦闘は、エンドルフィンが耳から噴出するくらい刺激的な面白さに満ちている。
 控えめに言ってもクソ面白いですな。控えめでなく最上級の表現で言うとドゥーム面白い。撃って殴って斬り裂いて、踏んで抉ってブチまけて、今夜も火星で大暴れ。そんなテンションが発売日からずっと続いている。
 そんなわけで今回はDOOMの話をしようと思う。



●伝統のラン&ガン
 ゲームを始めてまず驚いたのが、移動スピードの速さだ。最近のFPSの基準でいえばダッシュのスピードで縦横に動くことができる。
 加えて本作の敵であるデーモン達は弾速の遅い火球や光弾を武器にしているため、それらを避けつつ接近しショットガンの一撃を叩き込むような戦法がメインとなる。またデーモン達は四方八方から湧き出て襲いかかってくるため、常に動き回りつつ戦わねばならない。
 本作はそのテンポを削ぐような要素はばっさりカットしている。銃はリロード不要だし、ADS(サイトを覗くアレ)も基本的にないし、カバーという概念もない。遮蔽物を利用して撃ち合う銃撃戦のシューターとは根本から違う。ゴリゴリの大火力と機動力で敵をなぎ倒していく、最高にマッシヴなFPSだ。



メイヴ(青画面)@Nymph_Angeloid
チェーンガンの砲身改造して更にアップグレードしてオーバーヒート無効化。ルーンでアーマー一定以上で弾数無制限を装備すると恐ろしいことが起こるwww プレイヤーの火力がおかしいとどこかの記事に書いてあったけど確かにそうですねと納得してしまう。 #DOOM




 管理人はオリジナルのDOOMにはほとんど触れていないが(ナウいヤングだからね)、このスピード感は初代DOOMから連なる「スポーツ系FPS」の系譜なのだろう。思えばDOOMは3作目(2004)でサバイバルホラー路線に転向し、自らスポーツ系FPSから退いたわけだが、12年を経て初代のスタイルに立ち戻ったということになる。
 この時代にCOD4以降のシューター文化に毒されていないFPSが誕生したことに驚きを禁じ得ない。「生まれてきてくれてありがとう」とディスクに接吻したい思いでいっぱだし、「表現規制なしで発売してくれてありがとう」と、ローカライズ担当者にも接吻したい。


●血まみれの処刑&回復
 表現規制なしという英断の恩恵を最も受けたのは、本作の処刑アクション「グローリーキル」だろう。弾丸をバリバリ撃ちこんで敵が青く光ったらグローリータイム。とっ捕まえてドゥームパンチでぶん殴ったり、ドゥームストンピングで頭を踏み潰したり、その他ドゥーム脛骨ひねりやドゥーム心臓を抉り出して口に突っ込みなどを繰り出してデーモンどもを血祭りにあげていく。
 人間と同サイズのポゼスド、インプといった雑魚はもちろん、マンキュバスやバロン・オブ・ヘルといったデカブツも例外はない。個人的な感覚ではデカい奴ほど惨たらしく殺されるような気がする。

 これがただ気持ちいいというだけでなく回復アイテムをひり出させる手段というのがよく出来ている。
 本作には自動回復がないため、隠れて縮こまっていても体力は回復しない。そもそも隠れる場所など存在しないので、果敢に攻めることでしか道は開けないのだ。これが先述したスピード感とあいまって、ひたすら動いて攻めまくるゲームデザインに大きく寄与している。

 また、みんな大好きチェーンソーも一撃必殺の武器であると同時に補給手段にもなっている。コレで敵を斬り裂いたり断ち割ったりかっさばいたりすると、大量の血しぶきに続いて噴水のごとく弾薬が湧き出てくるのだ。
 なおチェーンソーは燃料を消費するが、使う敵によって消費量が異なり、デカくてタフな敵を斃すとゴッソリと減る。ザコでも強敵でも得られる弾薬量はそう変わらないので、補給目的でザコ相手にチマチマ使うか、ここぞという時に強敵に使うかで戦略が分かれる。
 近年のFPSは近接格闘要素を色々と工夫しているが、DOOMのグローリーキルとチェーンソーキルは「補給」という要素を持ち込むことでシングルプレイならではの戦略性を加味することに成功している。

 そりゃあ凶暴なモンスターを残虐にブチ殺すのは理屈抜きに楽しいが、回復等のメリットがあると凶器を振り上げる腕にも力がこもるってもんだ。このへんはさじ加減を誤るとたちまち「作業」に成り下がるが、今のところ本作はうまい具合にバランスを取っていると感じる。


●まったく懲りない&悪びれない
 本作の主人公――ドゥームガイあるいはドゥームマリーン――は名前がない。劇中ではっきり顔が出ることもなく、台詞もない。外見もSF系シューターでよく見るアーマー兵士である。扱いだけみれば無個性だが、その実、初見のプレイヤーを唖然とさせるほどアクの強いキャラクターでもある。



アルティメットウォッカくん@Ultimate_Vodka
DOOM主人公の面白かったところ
・始まっていきなり全裸で暴れ始める
・味方からの通信が流れてるモニターをいきなり引き千切って投げとばす
・通信機をぶん殴ってぶっ壊す
・「やめろ!それはとても貴重なエネルギー源…」→グッシャアアア


春沢一実@masa589
DOOM
最初に拘束されてる主人公は今まで何人も居たけどいきなり筋肉で解決した奴は初めてだよ…

つかさ@六面祀リの『ツ』@kadoya_tukasa
DOOMの主人公のこと「DOOM全ギレおじさん」っていってたひといて草

アキヲ@ktk_akiwo
普通、ゲームの主人公って状況説明してくれるコンソールを殴り飛ばしたりしないよなァ… #DOOM

ヒロ筋肉痛@hirokin_niku
本当にDOOMが面白い。長ったらしい会話シーンやかっこいい映画的な演出とかほとんど無いから快適。単純に「ゲームをプレイする」のが楽しい。「安全に機械を停止するには…」みたいな長引きそうな事を言われて、主人公が容赦なく機械をぶっ壊すシーンなんか気分爽快だし笑える。



 ゲーム冒頭、「そんなこと説明されなくても分かるよ!」的なことをくどくど述べようとする博士(音声)の話をブッた切るのは痛快ですらある。これからFPSを始めようというのに長ったらしい状況説明を拝聴したがるプレイヤーなどいない。そもそもFPSファンにとって「火星にデーモンが出た」というのは「ディズニーランドにミッキーマウスがいた」というくらい当たり前の話なので、説明など不要なのだ。
 無論ストーリー的には「聞くのが面倒」というわけではなく、惨劇を引き起こしたくせに悪びれもしない博士に対する怒りと不信の表れでもある。そのへんをひっくるめて台詞ではなく行動で示すあたり、開始から数分で主人公の好感度はうなぎ上りである。


「えらいことになったけどリスクを冒す価値はあったんだよ?」などとぬかす博士(音声)への返答↓



 物語の背景のみならず主人公のキャラクター、ゲーム全体のノリまできっちり理解させる、秀逸なプロローグといえる。
 「暴力的な人ってキライ!」という人はともかく、わざわざDOOMを買おうという人ならこの主人公のスタイルはきっと気に入るに違いない。

 FPSのヒーローとしてすでに知らぬ人はいないドゥームガイだが、本作で新世代のヒーローに返り咲いたといえるだろう。


●まとめ
 戦闘に関しては見た目もプレイ感覚も派手な本作だが、ゲームそのものはシンプルなつくりである。基本的な流れは「マップ内を歩き回ってキーアイテムを探す」という地味なものであり、そこを補ってプレイヤーを惹きつける工夫――起伏に富んだストーリーや多彩な登場人物たちとの掛け合い、息を呑むような映画的演出などはほとんどない。またゲームの舞台も無機質な基地と岩だらけの地獄ぐらいで、目を楽しませるようなロケーションの変化とも無縁である。
 要するに初代DOOMのノリをそのまま受け継いでいるわけで、2016年のゲームとしては野心的ともいえるシンプルさだ。それでいてこれだけ楽しめるのだから、現代FPSが切り捨てたオールドスクールなシューターの中にはまだまだ面白い要素が眠っているということだ。

 探索部分が少々面倒なのが玉に瑕だが、オールドなFPSファンだけでなくナウいヤングにもオススメできる快作だと胸を張って言える。アドレナリン全開のバイオレンスシューターを求めている人、映画『オデッセイ』で火星に興味が湧いた人には特にオススメしたい。



追記:


あんずあんみつ@anzu_anmitsu
DOOMで一生懸命薄い本になりそうなネタを探したけど、普通に主人公総受けリョナ系BLしか思いつかなくてゴメンなさい


 いやー管理人も同じことが考えてあれこれ調べてたんだけどさ。やっぱりDOOMでエロネタなんて無理――と思いきやすでにありましたよ。
 その名も『H-DOOM』。オリジナルDOOMのWAD(拡張プログラム)のひとつで、登場するデーモンを軒並み悪魔っ娘に萌え化し、彼女らとえっちなことをしまくるというエロゲーになっている。言うまでもないがHとはHENTAIの頭文字である。





こう見えてサイバーデーモン


向かって左がインプ、右がヘルナイト



 プレイ画面はちょっとこのサイトでは載せられないが、検索すれば画像も動画も出てくるので興味があれば自分で見てほしい。
 幸いというべきかDOOMらしい残虐性はばっさりカットされているようで、悪魔っ娘を倒すにも枕でひっぱたいたり水鉄砲でずぶ濡れにしたりするのがメインのようだ。ここだけ見れば牧歌的でほのぼのとした雰囲気がなくもない。
 登場する悪魔っ娘が(オリジナルを尊重してか)一様にマッシヴなのは好みが分かれる所だろうが、ドット絵は案外カワイイ。それとは別にギャルゲー風の会話シーンまであったりするし、ちょっと興味が湧きますね。

 それにしても…「日本でFPSを流行らせるには?」という議論で必ず出る「エロFPSを作ればいい」という戯言が、FPSの金字塔たるDOOMを母体にすでに実現していたという事実には戦慄せざるを得ないね。
 こりゃ日本も負けてられんよ。新生DOOMで知名度も上がったことだし、同人作家諸氏は次の夏コミに向けてDOOMの薄くて高い本を作ってみてはいかがか。いや総受けリョナBLとかじゃなくてね?


追記:
 H-DOOM関連の情報を漁っている時に「IMPSE」というワードも目にしたが…これについては知らないままでも良かったな…。なんていうか、アメリカ人は日本とは違うベクトルですごい変態がいるよね。



※過去のオールドスクール更新

雑文その217・Shadow Warrior――反逆の斬撃FPS



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