11.06/15 その146 Red Faction:Armageddon――鉄槌の時代の終焉





 6月も半ばとなり、夏の気配が色濃く感じられるようになってきた。
 夏の風物詩といえば、皆は何を思い浮かべるだろうか。西瓜、風鈴、入道雲と色々あるが、管理人は花火大会を思い浮かべる。こう、ドッカーンとね。平素は心の奥底にしまいこんでいる破壊への渇望を呼び覚ますあの爆発音と衝撃が血を熱くするのだ。それは本当に花火か? とか突っ込まないように。俺が花火と思うんなら花火なんだよ。

 そんなわけで、夏の到来を心待ちにしながら『Red Faction:Armageddon』をプレイしている。
 物理演算を駆使しまくった破壊アクションで一世を風靡した……ってほどには売れなかったけど、ブッ壊したりブッ飛ばしたりするのが大好きなゲーマーから愛された『Red Faction:Guerila』の続編である。ゴキゲンなPVも公開されていたし、洋ゲーACTが好きな人ならある程度チェックは入れていたと思う。

 といっても年内にGOW3やMW3やBF3が控えている現在、ちょっぴり存在感が薄いのは認めないわけにはいかない。だが前作RF:Gは他のアクションゲームにはない破壊へのこだわりが、美学があった。今いち冴えないビジュアルも、ハンマーからサーモバリック爆薬(Wikipedia)まで駆使して建物を、橋を、塔を、装甲車をブッ壊しているうちに気にならなくなる。
 そんな破壊欲求を呼び覚ますゲームの続編として、我々はRed Faction:Armageddon(以下RF:A)を待ち望んでいたのだ。赤き火星の砂よ、風よ、再び吹き荒れよ! 破壊と混沌を今こそ我が手に! ヒャッホーウ!(マローダーのコスプレで大はしゃぎしつつ)


マローダー(火星の蛮族)



 …というテンションでRF:Aを買ってきた管理人だが、なんだか期待してたのと違った。連続した時系列の正統派続編なのだが、これはもうほとんど別物と言っていい。具体的にいうと横山三国志と天地を喰らうぐらいの違いがある。

 まず第一に箱庭形式ではなくなったこと。火星の大地をバギーで爆走し、ミッションを受けて破壊工作から拠点防衛、カーチェイスまでこなすスタイルではなく、オーソドックスなステージクリア型のアクションゲームになった。
 第二に、前作では頼れる武器であり、個人的に「TPS最強の近接武器」にノミネートされていたハンマーの価値がおそろしく下落したこと。個人的にこれは寂しい。前作ではパッケージにデカデカと出るくらい象徴的アイテムだったハンマーが「ないよりはマシ」なレベルに! ていうかなくてもそんな困らないんじゃねーのコレ!? などと思っていたら、カバーアートがすでにそれを暗示していた。





 ハンマーよさらば、というわけか…。RF:Aは前作の50年後が舞台なわけだが、ハンマーと爆薬の時代が終わったことを否応なく感じさせる。

 そして第三に、敵がエイリアンになったことも大きな違いだ。前作における敵は火星の圧政者たるEDF(地球防衛軍)の兵士たちだったが、今作は人間型の敵は少なめで、火星の先住生物であるモンスター共が主な敵となる。
 こういうノリも好きだけどさ……続編でここまで様変わりすると、やっぱりちょっと戸惑うわな。これがアイマスの続編だよとドリクラを出されるようなものだ(分かりにくいです)。


 てなわけで前作のノリを期待していた分には些かならず残念な面があるが……それでいてとても面白いのは確かだ。
 まず箱庭方式を捨てたことでアクションゲームとしてのテンポは格段に良くなっている。箱庭における自由度いう長所は、ある程度の「かったるさ」が常につきまとう。例えばミッションを受けるのに移動する距離が長いと、それだけでダルくなる。そういう部分も含めて楽しめる人なら何も問題ないが、アクションゲームならアクションだけやらせてくれよ! という類の輩はこれをテンポの悪さとして感じてしまう。管理人にもそういう部分が多少ある。
 RF:Aはそれを切り捨てアクションゲームに特化した結果、テンションを高く保ったままサクサク進むゲームになっている。やめ時が難しいのは良ゲーの証拠だ。

 そしてもうひとつ。前作の象徴ともいえるハンマーに代わり、今作を代表する武器になった「マグネットガン」の楽しさが挙げられる。
 はじめにアンカーを撃ち込み、次いで他の何かにアトラクターを撃ち込むと、アンカーを撃ち込まれた物体がアトラクターに向かって吸い寄せられる。この武器が色々と応用がきき、実に楽しい。
 例えば建物の壁か何かにアンカーをくっつけておき、次いで敵にアトラクターを撃てば建物の外壁が崩れて飛んでいき、敵を押しつぶす。その逆に敵を建物にぶつけて倒すこともできる。もちろん敵に敵をぶつけて倒すのもOKだ(実績名:火星のマッチメイカー)。
 状況によってはごくわずかにチャージ時間を要するものの、基本的に弾数等の制限はないためどんどん使っていける。というかむしろこれがメイン。たまに強敵が出たら殺傷力の強い武器に替えるくらいで、後は大体マグネットガンでなんとかなる。というか、なんとかしたくなる。使ってて面白いからね。

 ゲーム性は全く別物になってしまったが、シリーズの特色たる破壊描写のテクノロジーは健在である。マグネットガンによる攻撃も精緻な物理演算あってこそで、その意味ではRF:AはまぎれもなくRed Factionの系譜に連なる良作だと言うことができる。イキのいい破壊系アクションとしてお勧めできる一本だと思うが、それでも前作RF:Gにあった「素朴な破壊の味わい」が失われたのは少々残念だ。
 建造物をハンマーでコツコツ砕いて倒壊させる破壊の手応えや、爆薬を方々に仕掛けて「これで全部崩れるかな?」とドキドキしながらスイッチを押したりという喜びはなくなってしまった。建物の破壊にしても、前作は倒壊寸前になると鉄骨(?)が軋む音がしたりと演出面でも迫力があったが、今作はちょっと味気ない。

 前作は「箱庭型の破壊ゲー」という独自の魅力を打ち出していただけに、あの路線が消えてしまうのは惜しい。本当に惜しい。いつかまたあの路線で一本作ってほしいものだ。
 破壊可能な建物がドンと増えていれば最高だな。こう、摩天楼が立ち並ぶ未来的な大都会を更地にするような破壊劇をやらかしてみたい。具体的にはビルの支柱をひとつひとつハンマーで壊してですね…(日が暮れそうです)。


追記:
 今作で初めてRed Factionに触れた人は、機会があれば前作も遊んでいただきたいと思う。破壊のテイストはそのままに、全く違った面白さを味わえるはずだ。むしろ「ブッ壊す」というストレートな面白さなら前作の方が上とも言える。ビルの爆破解体の映像にワクワクするような人にはうってつけのゲームだと思う。あと「やっぱ鈍器が最強でしょ」という人に。
 それに加えて、世紀末系悪党が好きな人はDLCの追加キャンペーン「デーモン・オブ・バッドランド」も合わせて買うといいだろう。RF:Aにも登場する、独自の文化を持った凶暴な部族「マローダー」の若きリーダーとして大暴れできる。


マローダーの皆さん




主人公(ヒロイン)



 ほーら、ゾクゾクしてくるでしょ? スパイク付きアーマーと銃器と爆薬、エンジンの駆動音、火星の赤い荒野、そして美少女主人公に萌える人にならお勧めできる出来だと管理人は考える。
 そのヒロインにはちょっと萌えられないって? 大丈夫大丈夫。破壊活動してるうちにそんなのどうでもよくなってくるから。



追記:
 RF:Aを遊んでいて、過去にPS2/Xboxで出たサイキックTPS『サイオプス』を思い出した。テレキネシスでオブジェや敵を動かすシステムはマグネットガンに通じる部分があると言えなくもない。あれも続編がないのが不思議なほど面白いゲームだった。
 管理人の中では「銃撃がメインじゃないシューターには傑作が多い」というジンクスができつつある。サイオプスしかり、Red Factionしかり、PORTALしかり。フリーダム・ファイターズもプレイヤーの射撃より指揮の采配が求められるゲームだけに、これに加えてもいいと思う。日本のゲーマーからは新作が出るたび「またドンパチか」などと言われるFPS/TPSだが、まだまだ可能性は広がりそうだ。
 もっとも来月には“もうひとつのアルマゲドン”Earth Defense Force:Insect Armageddonが出るので、管理人のようなタイプはまた飽きもせずドンパチに溺れることになると思うが。



※過去のRed Faction更新
雑文その95・Red Faction:Guerrilla――デストロイ・オール・EDF!!



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