最近、管理人の中でアフリカがちょっとブームになってましてね。ネットで民兵画像を収集したり、今更FarCry2に手を出しそうになったり、変化球ゾンビ映画『ゾンビ大陸アフリカン』などを借りたりしていたのだが、そんな中で特に気に入ったのがこの映画。
南アフリカで製作された映画で、音声も英語・日本語に加えアフリカーンス語まで収録した本場モノの作品である。
「死にたい人にお薦めの危険な街」のガイドラインでお馴染み、南アフリカの犯罪都市ヨハネスブルグ!…と似たり寄ったりの南ア犯罪都市を舞台にしたクライムアクションだ。
主人公となるのは潜入捜査官のチリ(↑の右から2番目)。相棒の刑事シューズと共に犯罪の最前線で戦ってきたが、そのわりに給料は安く、どちらも豊かとはいえない暮らしを送っている。ただ犯人を逮捕し有罪が確定すれば報奨金が支給されるため、それが2人のモチベーションをかろうじて支えていた。
だがそんなある日、犯罪組織と癒着した上司に報奨金を握りつぶされたことで、チリは積年の不満を爆発させる。
「こうなりゃ俺らもギャングとつるんで金を奪ってやろうぜ。どうせ世間は汚職まみれだ」
チリはある強盗団が仕事の準備を進めていることを知っており、身分を隠して彼らの仲間に加わろうと画策。生真面目なシューズは最初は反対するものの、結局はバックアップとしてチリの片棒を担ぐことになる。
潜入時代の人脈を通じ、首尾よく強盗団に加わるチリ。だがメンバーの中に彼の顔を知る者がいたことから、警察のスパイではないかという疑惑(ある意味では事実)がかけられてしまう。それを裏付けるようにシューズが捕まってしまい、2人は絶体絶命のピンチに陥る…。
と、ここまでが前半部分。
チリはこの窮地をどうにか切り抜けて強盗計画は走り出すのだが、実は強盗団のメンバーも様々なしがらみや軋轢を抱えており、事態は思わぬ方向へと迷走していくのだ。
結論からいうと、この映画はかなり面白い。
潜入捜査官だけど警察にもナイショで強盗に加わってカネをせしめよう! という二重の意味でヤバい橋を渡る展開は終始ハラハラさせられるし、そこにアクの強い悪党連中が絡み、ストーリー展開をいい意味で引っ掻き回してくれる。
悪党がイキイキしている映画はいい映画、というのが管理人の持論だが、主役2人もいい味出してるんですよ。
チリは警官であることを一時棚上げして強盗に加わっているが、根っからの悪人ではない。カネは欲しい。でも本物の悪党に堕ちる気はないし、もちろん相棒を見捨てるなんてこともできない。劇中、相棒のシューズからの「お前はまだ警官か? それとも悪党か?」という問いにはっきり答えられないでいる、揺れ動くタイプの主人公だ。
一方でシューズは温厚篤実を絵に描いたような憎めない人物だ。顔立ちも丸っこく柔和で、女性も含めたすべての登場人物の中で一番の癒しキャラでもある。
中盤で強盗団にとっ捕って悪党たちの前に引き据えられるのだが、その時のビジュアルは肉食獣の檻に子豚ちゃんが放り込まれているようなハラハラ感がある。
しかし決める所はきっちり決める、頼りがいのある相棒なのも事実だ。
気ままな独身暮らしのチリと違って妻帯者であり、さらにもうすぐ子供も生まれるという大事な時期である。そんな時に危ない橋を渡るなよと思う反面、妻や子供のためにもっとマシな暮らしを手に入れたいという気持ちも分かる。怒りと欲望を原動力にするチリとは対照的に、この映画の良心を表す人物ともいえる。友達にするならチリより断然シューズだな。
とまぁここまで褒めちぎってきたが、実際のところクライムアクションとしては大雑把な代物である。
強盗団の仕事――現金輸送車襲撃計画が中盤の山場となるが、計画はずさんだし、土壇場でトラブルが起きたりと全体的に詰めが甘い。そもそも決行の直前までメンバーを集めているというのも乱暴な話だし、おまけに実行メンバーはどいつもこいつも(チリも含めて)粗野で荒っぽく、機転の利くやつはいても用心深い切れ者はほとんどいない。洗練された「アート・オブ・クライム」とは全く無縁な映画である。
だが、それがショボさや安っぽさではなく「リアルなアフリカっぽい泥臭さ」と感じられるのがこの映画の美味しい所だろう。欲望の赴くままに行動するチンピラたちや、薄汚れた街角、肝心な時に動かない車なども「南アフリカのリアル」を切り取っているのだろうと思わせる。
そのくせ映画自体のつくりはこなれているのがまた魅力だ。冒頭はチリがシューズの援護を受けつつ悪党を逮捕するところから始まるが、ここで2人のキャラクターと、舞台となる南アフリカの雰囲気がスッと頭に入るようになっている。
またここでは2人が電話で連絡を取りつつ、悪党たちの裏をかいて多対一の状況を覆すのだが、このクレバーな駆け引きも短いながら面白い。途中でシューズの電話のバッテリーが切れたりとハラハラする展開もありつつ(実はこれ伏線です)、悪党をとっ捕まえるため奔走する2人の姿を印象付け、その後の「警察への失望と背信」へと繋げているのだ。
さらにこの映画、カメラワーク含め画づくりにはかなり凝っていて、汚れて荒廃した街角やうさんくさい悪党連中をスタイリッシュに表現している。強盗団のアジトである廃工場も、くすんだ色合いや登場人物たちの存在感もあいまって、なんとはなしにカッコいい。こういう退廃的なビジュアルって大好きです。
見栄えのするシーンは多いが、個人的にはチリがシューズに強盗団のメンバーについて解説する場面が印象深い。壁に悪党連中の写真を貼っていくだけのシーンなのだが、リズミカルで妙にカッコいいのだ。
ロクでもない連中の泥臭い犯罪映画なのに、観終えた後にスッキリとした爽快さがあるのはこういうセンスの良さが随所に光っているからだろう。
ストーリー的には小さくない問題をうやむやにしたまま終わっており「え? それでいいの?」という疑問が頭をもたげるのだが、それを減点しても繰り返し観たくなる作品だった。
ここ最近、インドネシア発の格闘アクション映画『ザ・レイド』など、第三世界のアクション映画で良作がちらほら出てきているが、この『裏切りの獣たち』も立派に良作たりえていると思う。個人的にアフリカはバイオレンスアクションとすごく相性がいいと思うので、これに次ぐ良作がどんどん出てきてほしいものである。
追記:
「ヨハネスブルグのガイドライン」が流行ったのは10年くらい前で、当時はそのヤバさが「リアル北斗の拳」などと言われていた。だが実際は南ア最大の都市というだけあり、高層ビルが立ち並ぶ先進都市といった雰囲気である。
『裏切りの獣たち』でも劇中で狙われる現金輸送車がヨハネスブルグ行きと説明されており、アフリカ最大の金融センターという側面がうかがえる。
ただ治安がクソ悪いことは間違いないようで、世界でもトップレベルの犯罪都市という悪名はまだまだ揺るぎそうにない。
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:52:05 No.237267491 del
ヨハネスブルグは今どうなってるんだろうか
治安はちょっとぐらいマシになったのかね
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:55:37 No.237268150 del
>ヨハネスブルグは今どうなってるんだろうか
>治安はちょっとぐらいマシになったのかね
マリや中央アフリカ、南スーダンに比べたら天国やで
街灯があるから強盗が近づいてくるのが見える
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:57:38 No.237268537 del
>マリや中央アフリカ、南スーダンに比べたら天国やで
>街灯があるから強盗が近づいてくるのが見える
なにそのアフリカンジョーク
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:58:37 No.237268737 del
>街灯があるから強盗が近づいてくるのが見える
うわああああとっても安全安心だああああ
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:59:46 No.237268976 del
>ヨハネスブルグは今どうなってるんだろうか
>治安はちょっとぐらいマシになったのかね
相変わらず強盗殺人が日常茶飯事だけど、少なくとも戦争状態ではないってだけでだいぶマシである
「紛争地帯よりはマシ」というのも大概だと思うが、実際シエラレオネあたりのいざこざについて書かれた本を読むと冗談抜きに北斗の拳もかくやというレベルの話が山ほど出てくる。当たり前の話だが、内戦になると治安がどうのという話ではなくなるからな…。
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:21:08 No.237261645 del
ここでボツワナ防衛軍が颯爽と登場(左)

無念 Name としあき 14/01/04(土)19:30:44 No.237263475 del
>ここでボツワナ防衛軍が颯爽と登場(左)
(左)という説明書きが要ると思ったその編集の頭の中をのぞいてみたい
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:32:08 No.237263756 del
>(左)という説明書きが要ると思ったその編集の頭の中をのぞいてみたい
いや右かもしれんだろ
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:32:19 No.237263782 del
>>ここでボツワナ防衛軍が颯爽と登場(左)
>(左)という説明書きが要ると思ったその編集の頭の中をのぞいてみたい
アフリカだと右も兵士の可能性があるのだ
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:56:11 No.237268248 del
>ここでボツワナ防衛軍が颯爽と登場(左)
言わなきゃ右かと思うよ
どういう流れでボツワナ国防軍が貼られたかは忘れたが、ボツワナ自体は比較的安定した国であり、内戦やクーデターなどとは無縁らしい。
アフリカについては学ぶことがまだまだ色々あるので、今後また関連作品に触れたら紹介しておきたい。第一候補は『ゾンビ大陸アフリカン』かな。
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ここでボツワナ防衛軍が颯爽と登場(左)

無念 Name としあき 14/01/04(土)19:30:44 No.237263475 del
>ここでボツワナ防衛軍が颯爽と登場(左)
(左)という説明書きが要ると思ったその編集の頭の中をのぞいてみたい
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:32:08 No.237263756 del
>(左)という説明書きが要ると思ったその編集の頭の中をのぞいてみたい
いや右かもしれんだろ
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:32:19 No.237263782 del
>>ここでボツワナ防衛軍が颯爽と登場(左)
>(左)という説明書きが要ると思ったその編集の頭の中をのぞいてみたい
アフリカだと右も兵士の可能性があるのだ
無念 Name としあき 14/01/04(土)19:56:11 No.237268248 del
>ここでボツワナ防衛軍が颯爽と登場(左)
言わなきゃ右かと思うよ
どういう流れでボツワナ国防軍が貼られたかは忘れたが、ボツワナ自体は比較的安定した国であり、内戦やクーデターなどとは無縁らしい。
アフリカについては学ぶことがまだまだ色々あるので、今後また関連作品に触れたら紹介しておきたい。第一候補は『ゾンビ大陸アフリカン』かな。
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