09.07/05 その85 BattleStations:Pacific――大空が俺を呼んでいる





俺もいよいよここで最期か。それもよかろう。俺も戦闘機乗りだ。いつかはくる順番――それが回ってきただけだ。(中略)誰も知らないこのガダルカナルの海の底へ消えてゆく、たった一人で……。
 その考えはとても誘惑的だった。微笑して死んでゆけそうな気がした。

――坂井三郎「大空のサムライ」より


 大日本帝国海軍屈指の零戦乗りであった坂井三郎。数々の撃墜記録を残し、そのうえ列機を一度も失うことがなかったという。
 上の引用箇所は、彼がガダルカナルで重傷を負った時の回想である。敵機の銃撃を頭部に受けて左半身が麻痺し、眼もろくに見えず、出血にともなって体力もどんどん奪われていく。死への誘惑と断続的に襲ってくる睡魔を振り払いながら基地へと帰還するまでの描写は、彼の「撃墜王」というより一個の「戦闘機乗り」としての真価が如実に表れているようにみえて興味深い。
 勇ましく戦って敵を撃墜するのが戦闘機乗りの本分だが、それを支えるのは常日頃から培ってきた技術と、作中でも触れられている「機上で頼れるのは自分ひとり」「決してあきらめないこと」といった心構えであろう。それがあってこそ、これだけの重症を負った状態で4時間も飛び続け、帰還できたのだろうと感じる。



 …という具合に太平洋戦争関連の本を拾い読みしつつ「Battlestations:Pacific」(以下BSP)プレイ中の味之介@二等水兵です。
 これまで管理人のWW2ドンパチ生活は欧州戦線が主戦場で、野砲の炸裂する平野や狙撃兵が潜む荒廃した市街地で走ったり這ったり吹き飛んだりしていたわけだが、今度の舞台は大平洋の大海原ですよ。
 どこまでも広がる海と白い雲の浮かぶ大空! 夏にふさわしいゲームだね! 梅雨も明けたしね! 日陰でもそもそゾンビ退治してるよーな不健康なオタク野郎とは一味ちがいますよヒャッホウ!

 …Left4Dead、買おう買おうと思っているうちにもう2が出るとか…。
 こんなことなら積みゲー覚悟で買っておくんだった…。


 ごめんごめん、愚痴っぽくなっちまったね! えー、BSPの話だったね。
 以前の雑文でも触れたが、改めて紹介するとBSPとは太平洋戦争を舞台に艦船・航空機が入り乱れて戦う、リアルタイム方式のSLGだ。
 全体マップを見ながら各ユニットに指示を出すほか、自分でユニットを操作することもできる「RTS+STG」という珍しいゲームでもある。

 つまり自分で零戦を駆ってドッグファイトしたり、伊58潜水艦で敵巡洋艦を沈めたり、戦艦大和で沖縄の海岸に乗り上げたりできるわけですよ。

 このSTG要素に惹かれて購入に踏み切ったわけだが、腰を入れてプレイしてみるとなかなか面白い。H.A.W.X.など派手な現代戦フライトシューティングに慣れていたせいもあって、最初は地味だなと感じていたが、それにも慣れるにつけWW2のレトロな…現代戦よりも鉄と火薬の臭いが強い世界観に魅了されるようになった。
 碧空を裂いて飛ぶ超々ジュラルミンの翼と、紺碧の大海原を征く鋼鉄の艦隊。これまでほとんど知らなかった世界なだけに、こういった情景が妙に心に染みる。

 あと、あれだね。基本的にアクションゲーム脳な管理人にとって、このゲームはある意味で戦闘の「リアル」を教えてくれた。
 大げさな言い方になったが、別に畏まった話ではない。
「戦闘機一機で戦艦を倒すのはムリ」とゆーことに気づいたというだけの話だ。

 オイオイ味之介くん? テメーいい年ブッこいてまだそんな認識だったの?

 いや分かってましたよ! 分かってたけどしみじみ思い知らされたってだけの話で! 攻撃機で巡洋艦・駆逐艦数隻の艦隊に突っ込むと、とたんに火を噴く対空砲撃の逆スコール。これが真の弾幕シューティングか! 助けてショーティア! と、いもしないエレメントドールに助けを求める始末。
 いやー、1942シリーズや1945シリーズなら真っ正面から突っ込んで倒せたんだけど。エスコンやH.A.W.X.でも洋上艦なんぞちょっと気のきいた置き物みたいな扱いだったし。
 まぁ、それが戦闘というかSLGの正道だってのは分かってはいるのだ。小数の敵には多数の兵力を、弱い敵には強いユニットをぶつけるのが用兵の正しいあり方ってもんだろう。
 だが、俺たちアクションゲーマーはいつだってそういう「数の正義」に逆らい続けてきたのではなかったか。雲霞のごとく襲い来る圧倒的な数の敵機、視界を覆いつくす巨大戦艦…。そんな戦場を俺たちは戦い、勝利してきた。戦うことだけが自分の存在証明だと信じて…。なぁ、そうだろうビル・ライザー…。

 そこでゲリラ戦と言いつつ敵要塞に正面から突撃するヒトに同意を求めるのがそもそも間違っています。じゃあお前、バクテリアンの軍勢を指揮して超時空戦闘機を撃墜してこいって言われたらどうする。

 絶対嫌です。そんなチート野郎の相手は御免です。

 ほら見ろ。結局やってることはお前も同じだよ。戦いってのは勝ちゃいいんだよ。美しくじゃなくて効率的にやるもんなんだよ。

 関係ないけど、日本軍がビックバイパー配備してたらアメリカに勝てた気がする。

 いや、米軍機倒してもパワーアップカプセル出ないと思うが…。


 話がだいぶ脇にそれたが、このゲームの航空機…つまりレシプロ機の戦闘はなかなか良い。機銃のみのシンプルなドッグファイトがかなり熱いのよ。それに加え、敵機のフォルムがはっきり識別できるほど戦闘距離が近いのも味があっていい。ここらへんは、数千メートル先からミサイルをブッ放すのが常道のジェット戦闘機の戦いとは全く別の魅力がある。
 また、先ほど醜態ぶりをお見せした対艦攻撃だが、ルールさえ分かれば(=魚雷も積んでない戦闘機で突っ込むようなアホな真似をしなければ)、これもまた楽しい。対空砲火を低空でくぐりぬけつつ接近し、海面スレスレで魚雷を投下して離脱する時の緊張感がたまらん。

 というかですね、レシプロ機のフライトシューティングをもっと出すべきですよ。こんなにも独特の魅力にあふれた素材をなぜ誰も手をつけないのか不思議でならない。先ほども述べたが、交戦距離が短いってのはビジュアル的な魅力を強く打ち出せる分、ゲームに向いていると思うのだが。キャンペーンモードでは爆撃機の護衛任務などがあるんだが、多数の長距離爆撃機や護衛戦闘機が翼を並べて雁行してるのはすんごい絵になるのよ。

 航空機ばかり触れてきたが、潜水艦もたまらん。2キロ先から敵艦の動きを読んで魚雷をバラまき、うまく当てた時の快感。敵の戦艦に接近し、全発射管を開いてありったけ魚雷をブチ込む時のあの高揚感。
 潜水艦で敵の艦艇を撃沈したときの実績名が「眼下の死神」というのだが、海面下から忍び寄り致命打を叩き込む様はまさしく死神といえよう。
 あと、あれだ。駆逐艦の「シュッシュッシュッ」というスクリュー音が聞こえてきたときの恐怖とかな! むっ、海面に突発音! 爆雷防御!(←ゲームでは詰んでる状態です)

 …ドイツがUボートの集団で輸送船団を襲う戦法はウルフパック(群狼戦術)と呼ばれたが、潜水艦の天敵である駆逐艦はさしずめ牧用犬だろうか?
 逆の立場だと、駆逐艦を操って潜水艦を狩り出して沈めるのもまた楽しかったりする。速度を活かして魚雷をかわし、頭上を取って爆雷投下。海底のオブジェにしてやるぜヒャッハー!!

 まあそんなこんなで操艦に夢中になっていると全体の指揮がおろそかになり、気が付いたら他のユニットがマップの端でぼけっとしてたりするんだが。
 何だお前ら! 指示待ち人間か!(当たり前です)

 こんなんだから対戦で勝てないのかな。
 ついこの間タイマンで2連戦する機会があったのだが、2戦とも負けた。双方同じ条件で、最初は管理人が帝国海軍(日本軍)。次はアメリカ海軍でやったので、言い訳無用の完敗である。中盤までは押していたのに、いつの間にか劣勢に追い込まれていた。
 敗因がいまだによくわからないのだが、まぁ精進あるのみということか。とりあえず全体の戦況を見る、先を読むということを意識すべきなのだろう。…アクションゲームではあんまりそういうの気にしなくよかったんだが。

 オマエFPSの対戦も弱いよね? キルデス比は1:2が普通だよね? ラウンド終了後のリザルト画面はいつも一番下から自分の名前探してるよね? そんなんでアクションゲーマー代表みたいなクチ聞くってどうなの? 申し訳ないと思わないの?

 すいません。超ごめんなさい。こんな万年三等兵が機動部隊の指揮とかしてホントすみません。


 …さ、いい感じに卑屈になってきたところでそろそろ締めようか。
 冒頭でも紹介した零戦のエース・坂井三郎だが、海軍の伝統なのかユーモアにあふれた人物だったようで、Wikipediaにも晩年になってテレビ出演したときのエピソードが紹介されていた。


当時の彼の愛車、スカイラインGTを引き合いに出され、「自動車と零戦はどっちがいいですか?」の質問に、「そりゃあ、車の方が良いに決まっています。車はバックが出来ますから」と答え、周囲を笑わせたこともある。 (Wikipedia-坂井三郎/その他)


 これを見て、管理人が思い出したもの↓


515 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:04/12/06 21:15:03 ID:???
  第2次世界大戦終結後、ドイツは一切の航空機開発・製造を禁じられてしまった。
  そんな中、戦闘機メーカーの雄、メッサーシュミット社は、会社存続のため、
  自動車を作って売り出すことにした。

  メッサーシュミット伝統? の横開き式キャノピー、タンデム複座という
  飛行機テイストのKR200の開発は順調に進んだのだが、実車がほぼできあがる頃、
  設計者たちはとんでもないことに気づいた。

  バックギアを取り付けるのを忘れていたのである。

  飛行機ならばバックができなくてもいいが、自動車にとっては致命的な欠点である。
  結局、メッサーシュミット社の技術陣は、バックの際はエンジンを逆回転させるという荒技で、
  この問題を解決することにした。

  かくして、メッサーシュミットKR200は、トップギアのままバックができる、
  世界一バックが速い車として、市場に売り出されたのであった。


――2ch軍事板「信じられないが、本当だ」まとめサイト ドイツ編/兵器より




 「メッサーシュミットKR200」という車らしいが、バックしたい時は一度エンジンを止め、スターターキーを押しながら回すことでエンジンが逆回転するのだとか。
 なんというか、ドイツ人はあなどれねぇな。


追記1:
 Batllestationsシリーズにはこのまま海戦を極めてもらうとして、どこかこれの地上戦バージョンを作ってくれませんかね。つまり「RTS+FPS」。歩兵になって銃撃戦したり、戦車を動かして機関銃陣地を吹き飛ばしたり、地上攻撃機で逃げ惑う歩兵や車両を蜂の巣にしたりするわけ。きっとすごい面白いと思うのだがどうだろう。

 従来のミリタリー系FPSは、歩兵中心の局地的な戦いのみに焦点を当てているので、歩兵が戦場全体の中でどのような働きをしているのか分かりづらい。一方、従来の戦略SLGにおける歩兵は「最弱だが唯一都市を占領できるユニット」という扱いがほとんどだ。しかし、歩兵は本来そんなオマケみたいな存在ではないはずだ。だってやりようによっては戦車にも勝てなくはないし。
 ナニ? 戦車が恐れるのは攻撃機? するってぇと何かい? お前さん歩兵は恐くないと、そう言いてぇわけかい? 上等だコノヤロウ! この刺突爆雷を食らえ!
 まぁ刺突爆雷(Wikipedia)は特攻みたいなもんなんでアレだが、他にもバズーカやらパンツァーシュレックやらの対戦車兵器はちゃんとある。地上最強の戦車とはいえ、死角の多い市街地などでそういうものに狙われれば容易く撃破されるわけで、それを防ぐため随伴歩兵がついてくるのが普通だ。

 毒虫さんも「スタンダード大戦略(PS2)」のレビュー(T−34が倒せない 其の弐)の中で、上のような歩兵の扱いについて遺憾の意を表しつつも「歩兵がそんなに強かったらゲームにならん(他のユニットの意味がなくなる)ので、この措置は仕方ない」とまとめておられるが、「RTS+FPS」なら歩兵の強さも戦車の脆弱さも自然に表現できるわけですよ。

 考えてみれば、戦車と歩兵の連携を重視したゲームってあまり見ない気がする。MOHやCOD、BIA:HHなどで戦車を操縦するステージがあるが、そっちは歩兵が出てこない。
 COD2は平野での戦車戦だからまだいいとして、MOH:AAは戦車単独で市街地を突破するという今考えれば相当に無茶な代物だった。…まぁあのゲーム自体が「戦争版007」と言われるように主人公がヒーロー的な兵士だから仕方ないのだが。

 上記の希望に近いゲームとして、GCとWiiで出た「突撃! ファミコンウォーズ」があるが、そこをWW2でお願いしたい。WW2モノの戦略SLGもFPSも山ほど出ているが、RTSとFPSを組み合わせることで、戦術レベルでさらに深化させたウォー・シミュレーションが誕生すると管理人は信じて疑わない。


追記2:
 本文中で述べた「このゲームなら大和で沖縄の海岸に乗り上げたりできる」という部分だが…大和の最後の作戦が「沖縄の海岸に突入、自力座礁して固定砲台となり陸上戦を支援する」というものだったという話がある。
 史実では米海軍艦載機の猛攻を受け、沖縄にはたどり着くことなく撃沈させられるわけだが…BSPの米軍側キャンペーンモードではこの沖縄特攻をマジでやってくる。もしもし、第58機動部隊は寝てたんですか?
 この大和が沿岸に到達する前に撃破することも可能なのだが、それができなかった場合は座礁した大和を「撃沈」することになる。座礁した艦に魚雷を撃ち込みまくるというシュールな情景は、何か悪い冗談でも見ているようでもあった。


追記3:
 そんなわけでのんびりBSPで遊んでいる管理人だが、夏からのソフト発売ラッシュはちょっと戦慄ものだ。
 7/8にはBSPと同じく大平洋戦争を舞台にした「Battlefield1943」がXBLAで配信されるし、月末にはこの夏ド本命の「Gears of WarW2(日本語版)」が出る。8月は夏にふさわしい心霊ホラーFPS「F.E.A.R.2」、9月には待望の「HALO ODST」だ。
 まだ発売時期は未定ながら、「Modern Warfare2」「OperationFlashPoint:Dragon Rising」の日本語版も年内に出るかもしれない。…あとL4D2もな。
 1943とGOW2へのハマり具合によっては8月はソフト購入を自重することになるかもしれないが、それでも楽しみが増えるのはいいことだ。ドンパチ野郎にとって熱い夏になるのは間違いない。
 管理人としては、これ以上ギャラリー更新の頻度が落ちないよう心がけたい。なるべくは。



洋ゲー[1]へ   TOPへ戻る