09.09/23 その97 タイ製ギャルゲー「Re Angel」――今日も目玉焼きごはん





 ムエタイと目玉焼きごはんの国、タイで生まれたギャルゲー「Re Angel」体験版の日本語バージョンが出たぞー!(公式サイト)

 ちなみに上の絵はサブヒロイン(推定)のカンラヤー。体験版タイ語バージョンの時からくるくるとよく動く表情が魅力的なキャラだったが、今回セリフも日本語になったことでぐっと魅力が増した。まぁそのへんはおいおい述べるとして、先に全体的な感想から行こう。

 おおまかなストーリーは「運命の法理(ラボーブ・チャタカム)」と呼ばれる超越的な力をめぐって天使と妖魔が争うというファンタジー風味のものだが、体験版に収録された冒頭4日間は主人公の平和な日常がメイン。巨乳の実妹にベタベタされたりツンデレにどつかれたりと、驚くほど日本の萌えカルチャーを踏襲している。
 翻訳による台詞も実に自然で、この手のゲームなりライトノベルなりに触れていればほとんど違和感は感じないだろう。逆に違和感がなさすぎて異国情緒はほとんど感じられないのだが、実は細かい所で結構ご当地ネタが入っている模様。





 主人公がカンラヤーをバス亭まで送るシーンなのだが、会話の中にさりげなく出ている「戦勝記念塔」は、首都バンコクにある戦勝記念塔(アヌサーワリーチャイ)(Wikipedia)のことだと思われる。
 体験版のフォルダ内にあるテキストファイルにはスタッフによるタイならではの地域ネタ解説があり、それによるとゲーム中の背景もバンコク周辺をモデルにしたものが多いという。ちなみにタイトルに使った「目玉焼きごはん」はタイで広く食べられている「カオ・カイダオ」という料理のことで、ヒロインの一人、ファー(主人公の妹)の得意料理でもある。
 サムライフジヤマ的に分かりやすい(わざとらしい)異国ネタはないが、逆にリアルともいえるだろう。

 さて、キャラクターについて。
 この体験版に先立って公式サイトでは登場人物の紹介やあらすじが日本語化されており、キャラ設定なども大体分かってはいたのだが、実際セリフ付きだとやっぱ違うね。思っていたより良い感じでしたよこれは。タイ人やるじゃねーかというべきか、それとも翻訳スタッフを讃えるべきか。まぁ両方かな。
 一部前回更新のくり返しになるが、キャラごとの感想いってみよう。


ファー



「ファーは、お兄ちゃんを叱らなきゃなりません!」



 メインヒロイン(推定)で主人公の実妹。敬語でしゃべり、一人称はファー。公式のキャラ紹介に極度のお兄ちゃんっ子とあるが、実際その通りに甘々なキャラ。
 しっかり者で、グータラな兄を監督する役目を自らに課しており、毎日愛情一杯の目玉焼きごはんを作ってくれる。学食で人目も憚らず「はいお兄ちゃん、あーん」などとやってきたり、腕を組む時にその十分に育った胸を押し付けてきたりと、自覚がないぶんタチが悪い。
 タイは日本と違って性的なものへの規制が厳しく、エロゲーは作れないそうだが…この実妹、傍から見る分にはかなり性的です。
 兄・プラート(主人公)もその無邪気さと発育ぶりのギャップに少なからず悶々としている様子。死ね。

 ただ、体験版の短い話の中でも、彼女がこのゲームのファンタジー的な部分に強く関わっているらしいことは感じ取れる。なので、実妹という設定も鵜呑みにはできんかもしれん。



カンラヤー



「いいかい、こーいうときは、女の子に合わせるものだぞっ!」



 主人公の幼馴染み。同い年ながら主人公のことを「自分がついてなきゃダメなやつ」と見なしており、暴力まじりのお節介を焼くこともしばしば。なお主人公は「普通の人には見えないモノを見る力」を持っているが、カンラヤーも同じ力を持っているとのこと。その縁もあって彼はカンラヤーに頭が上がらない。
 見た目通りのツンデレ要員で、その意味では第一印象とさほど変わらなかったが、セリフの日本語化で明らかになった新事実が。





 ボクっ娘でした。

 さしてボクっ娘てのが好きじゃない管理人だが…快活なしゃべり方ともマッチしてるし、これはこれでいいかも、とも思う。うん。可愛いんじゃない?
 ツンデレぶりも堂に入ったもので、主人公のデリカシーの無さに「キミは一生結婚なんてムリ」と批判しつつも、「もしどうしても彼女ができなかったら…ボ、ボクが面倒見て…あげるからさ」とデレる。

 こんな感じで↓



 うん、微笑ましくて実にいいね!
 とりあえずツンデレはアジア圏共通ということがこれによりはっきりした。

 余談だがカンラヤーとはタイ語で「美しい子」みたいな意味だそうで、日本語で言うなら「美子(よしこ)」という感じになるだろうか。
 劇中では主人公やファーなど近しい人間は縮めて「カン」や「カン姉さん」と呼んでいる。…カンラヤーという名前は鐘の音のような美しい響きがあると管理人は思っているが、「カンちゃん」とかだとわんぱく小僧みたいな印象になるね。
 なお、彼女は主人公・プラートの名前を縮めて「パート」と呼んでいる。


 そしてパートこと主人公のプラートくん。



プラート



「確かに僕は今、ファーがもはや子供じゃないことをモーレツに実感しているっ!」



 え? それトニー・ジャーだろうって? まぁそういう見方もあるかもね。

 プラートという名前は、劇中で彼が語るところによれば「賢者」という意味だそうで、日本語なら「賢(まさる)」みたいになるかもしれない。
 常人には見えないものを見る力を持っており、その能力のために「運命の法理(ラボーブ・チャタカム)」をめぐる騒動に巻き込まれると予想されるが、体験版では特にそういった部分には触れられていない。
 プロローグの4日間は、おっぱいの大きい実妹に世話を焼かれたり、ツンデレポニーな幼馴染みに買い物に付き合わされたりと、ひたすら平和な日々を送る。

 つまり彼を中心にファーとカンラヤーを交えた三角関係が体験版のメインになるのだが…ファーとカンラヤー、仲悪いです。日頃からいがみ合ってるわけではないが、どちらかが積極的にプラートにアプローチしようとすると、片方がすーぐ角をとんがらせる。

 例えばカンラヤーが「大事な話がある」とプラートと2人だけの機会を作ろうとするのだが、毎回ファーが(偶然かもしれないが)割り込んでくる。
 体験版の最終日の場合だと、カンラヤーがプラートの見た夢について「ボクの聞いたことのある話に似ている」と意味ありげなことを言い出すが、それについて先を促そうとするとファー乱入。

「お兄ちゃん! 授業に間に合ってたんですね。よかったー」

 これは寝坊して遅刻ギリギリだったプラートに原因があるのだが、連日この調子で邪魔をされているカンラヤーはたちまちご機嫌斜めになる。

「まったく、どうして誰かさんはいつもいつも、ボクたちの邪魔ばかりするんだろうねぇ……!?」

「あら、またブツブツ言っちゃって。ファーに何か不満でも?」

「何でもないよ。年寄りが独り言を言ってるようなもんさっ!」

「あら、カン姉さんったら、もうろくするにはまだ早いですよ?」

 イラつくカンラヤーと空気を読まないファー。さすがにまずいと感じ、プラートはフォローを入れようとするが…。


「えー、ファーさんや……ここはひとつ、カンをそっとしておいてはくれまいか?」

「どうしてですか? ファーはカン姉さんが心配です」

「いや、それには及ばないぞ。カンはいつだってこんなふうに、ぼやきババアみたいな話し方なんだ。だから――」

「どうせボクは、ぼやきババアだっ!」





 見事なまでにテンプレ通りのボケと突っ込み。
 とまぁこんな具合で実妹と幼馴染みを交えた不毛な三角関係を抱えたまま、いいところで体験版は終了する。

 まとめるに、日本のギャルゲーと比較してもそう遜色ない出来ではないかと思う。キャラの描写については上で紹介したように日本の萌えカルチャーをしっかり踏襲しているし、ファンタジーっぽい設定も見慣れたものだ。日本のそれとあまり変わり映えしないと言ってしまえばそれまでだが、「世界の危機はとりあえず日本かアメリカに集中する」という既成概念を覆す試みとしては面白いのではないだろうか。
 それと、翻訳のレベルの高さにはビックリした。マジで違和感まったくない。地の文章もそうだが、キャラごとの喋りも、今回触れられなかったお隣のお姉さん・アッチャラーとその妹のアプサラ、女妖魔のマナリィなども、特徴的なキャラ立ちをうまく表現している。
 もともと日本のギャルゲーをリスペクトしたということもあるだろうが、ここまで自然な仕上がりになるとはちょっと予想外だった。どこぞの昇順安定メーカーは猛省していただきたい。あ、もう日本法人なくなったんだっけ? ハハハ。

 真面目な話、これフルローカライズしてDL販売してくれんものかなと思う。翻訳のコストと折り合いがつけば不可能ではないと思うが、どんなものなんだろう。
 どっかのメディアが大々的に取り上げて話題になればその可能性も高まると思うし、個人的には期待したい。当サイトはStudio Guを応援しております。



追記:
 前回更新でちらっと触れたタイのアクション映画「チョコレート・ファイター」だが、その主演女優ジージャー・ヤーニンの最新作がこちら。なんと今回はカポエラと酔拳を組み合わせた独自の武術で大暴れしまくるらしい。


Raging Phoenix(原題:Due-Suai-Du)



 カポエラは格ゲーではちょくちょく出ているが、映画などではあまり見かけないのでその意味でも楽しみだ。トニー・ジャーの「トム・ヤン・クン!」でカポエラ使いと闘うパートがあったが、あれがとても良かっただけにこっちにも期待が高まる。
 本国のタイでも8月に公開されたばかりらしいので日本公開は当分先だと思うが、今から楽しみである。



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