08.10/17 釘バットの男
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 どうもこんばんわ。いつもこんな妄想してる管理人です。

 選ぶとすれば2番かなぁ…。当サイトはゲーム関連ネタが大半なのでネタはいくらでもあるのだが、筆がそれに追い付いていないのが現状だ。テキストオンリーの「雑文」だけがガシガシ増え、メインコンテンツであるはずの「ギャラリー」はせいぜい月イチ更新という有様。…いや、メインのつもりなんですよ。マジで。

 というわけで、今回のテーマは「悪党」「恩返し」でいきたい。

 恩返し、と聞いて日本人が真っ先に思い浮かべるのは「鶴の恩返し」だろう。罠にかかった鶴を救ってやった老人のもとに、美しい娘が訪ねてくるっていうアレだ。鶴に限らず類似の民話は各地にあり、主人公である若い男がその娘と夫婦になる「異類婚姻譚」も数多い。
 この恩返しモノは民俗学的に多様なテーマを含んでいるのだが、当サイトとして注目したい部分は「助けた対象がかわゆい女の子になって恩返しに来る」ってところだ。民話という普遍的なモチーフを使いつつファンタジックなラブコメができるわけですよ。
 いやまぁそんな騒ぐほど珍しいものでもないけどね。そういう作品はすでに一杯あるし、ラブコメの鉱脈は今この瞬間にも全世界(主に極東の一部分)のオタの手によって掘削作業が続けられているわけだし。

 でも、そういうファンタジックなヒロインは根強い人気がある。キャラの造形にも特徴が出しやすいってのが大きいだろう。例えば「狐女房」だと狐耳と尻尾を付ければ今時の萌えキャラに早変わりだ。
 安直すぎると思うかもしれないが、この狐女房は、その尻尾を箒がわりに掃き掃除していたところを目撃され、正体を知られるというドジっ娘ぶりを発揮している。いや、その時にはもう子どももいたから、ドジ奥様とでも言おうか。いずれにせよ21世紀でも余裕でメインを晴れるキャラだろう。


 ちょっと話が逸れたが、真面目に「悪党と恩返し」について考えてみたい。現代日本では野生動物と接する機会はほとんどないが、野良猫、野良犬、カラスなど、動物はわりといる。そういった生き物が傷付いているのを助けたり、あるいは上の漫画のように無機物へ注ぐ愛情も十分恩返しネタになる。
 不良っぽい学生がこっそり校舎の裏で野良猫に餌をやっている、というシチュエーションは実に絵になるし、それを発展させてファンタジーラブコメに持っていくのは容易だろう。


 しかし、いささか物足りなさもある。すでに数多くの類例があるし、そのうえ主人公が悪党ではなく「見た目は悪党っぽいけど実はいい人」でとどまってしまう危険性が大きい。
 そこで、当サイトではそれとは違う方向性を提唱したい。平凡な町人である主人公が悪党を救い、その悪党が恩返しにくるという「悪党恩返し」はどうだろうか。
 こう書くと突飛に聞こえるかもしれないが、「ジョジョの奇妙な冒険」でも幼いジョルノ・ジョバァーナ(汐華初流乃)が瀕死のギャングを救い、以後、そのギャングが陰からジョルノを庇護するエピソードがある。
 悪党には悪党の誇りがあり、仁義があるのだ。

 というわけで実際やってみようか。とりあえず舞台設定は現代日本とし、主人公は平凡な学生・彼女ナシとしておこう。で、ある日その主人公が帰宅する途中、こんな感じの悪党に出会う↓





 尋常ならざる風体に恐れおののく主人公だが、聞けば敵対するギャングから追われているという。関わりあいになるのはまずい、と思ったまさにその瞬間、トカレフや青龍刀で武装した福建マフィアのグループが現れ、主人公に詰め寄る。

「オマエ、この近くで、青白い顔のデブ、見なかたか?」
「え、あ、は…はい。あっちに走っていきましたよ。軽快なステップで」

 動転したあまり、とっさにかばうようなことを口走ってしまう主人公。マフィアたちの猜疑心に満ちた視線が突き刺さるが、もう後には引けない。

「じゃあ、ソレ、何。オマエの後ろの、デッカイ肉のカタマリ」
「こ、これはその…ただの鏡もちです」



 なんとか誤魔化すことに成功し、デブ悪党を救った主人公。
 言葉少なに礼を述べ、軽快なステップで街へ姿を消すデブ悪党。
 そして数日後の夜…あの日の出来事を忘れかけていた主人公の家に、鏡もちのように白く艶やかな肌の娘が訪れる。





「道に迷って難儀しております。どうか一晩の宿をお貸しいただけませんか?」


 現代日本って設定はどこいったんだよこの野郎という突っ込みを聞き流し、こころよく娘を部屋へと招き入れる主人公。そして、いつしか居着いてしまった娘と甘々なハートフル同棲ライフを送ることになる。
 しかし蜜月は長くは続かない。好奇心旺盛かつ健康な成年男子である主人公は「決してのぞかないでくださいね」(←何を?)というタブーを破ってしまい、その娘の正体を知ってしまう。
 真の姿を暴かれてしまった悪党は、嘆きながら主人公の元を去ってしまう。軽快なステップで。残された主人公は、過ぎ去りし日の愛の記憶だけを胸に、またひとり人生を歩み出すのだった…(EDテーマ:女々しい野郎どもの詩)。

 やはりこの手の物語は悲しい結末がしっくりくるね。でも待てよ。悪党なら「この姿を見た者は生かしておけませんねグフフ」という流れの方がふさわしいかもしれん。で、主人公はコンクリの靴を履かされて東京湾でお魚さんと遊ぶ羽目になるわけだ(EDテーマ:こまったおさかな)。


  こまった 待って 待ってて♪
  ちょっぴり 待って 待ってて♪
  誰か 助けてくれないかな?


 やべ、今結構マジに切なくなった!(単に懐かしいだけです)
 というわけなので、ピンチに陥っている悪党を見かけたら優しくしてあげると良いことがあるかもしれません。






 まぁ恩をアダで返されても管理人は責任もてないけど。



追記:
 自分で描いてこんなこと言うのもなんだが、今回の「釘バットの精」、クライヴ・バーカーの影響受けてるのがモロバレでちょっと気恥ずかしい。でもクライヴ・バーカー的クリーチャーはイイっすよ。特にホラーフィギュアのシリーズ「トーチャード・ソウルズ」は死にそうなほどカッコいい。ヴェナルアナトミカ萌え。てかみんな萌え(でも2は除く。作者違うし)。
 そのテイストを存分に盛り込んだゲーム「Clive Barker's Jericho」は結局日本で発売されず泣いた。

追記2:
 ちなみに釘バットについてなんだが、Wikipediaの項目によればバットに打ち込んだ釘はその頭を削ぎ落とすことで凶器としての完成度が増すとある。なんでも、釘の頭がそのままだとブン殴った際に「釘が皮膚や衣服に埋没した際には抵抗となって抜けづらくなる可能性」があるとのこと。
 おっかない話ではあるが、見た目だけなら釘の頭が残った「手作り感のある不格好な凶器」の方がインパクトはあると思う。全裸より半脱ぎの方がセクシィに見えるのと同じ理屈で。



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