11.08/02 その151 F.E.A.R.3――たとえ神のようにはなれなくても




Mother
Tell your children not to walk my way
Tell your children not to hear my words
What they mean What they say
Mother...

――F.3.A.R. エンディングテーマ「Mother」



 というわけで『F.3.A.R.』(以下F.E.A.R.3)、ポイントマンでクリアしました。
 いやー面白かった。最後はアレっと思うくらい簡単だったけど基本的にバトルは熱いしストーリーも良かった。前2作はホラーらしくバッドエンド的な終わり方だったらしいが、今作は――少なくともポイントマンのシナリオはすっきりと終った。エンディングテーマの「Mother」もカッコよかったね。スタッフロール後のオマケ映像がフェッテルシナリオへの引きっぽくなっているのも上手いと思った。
 いや、ストーリーが良いというのは語弊がある。色々と説明不足で釈然としない部分もあるし、物語として上質だとは言えない。多分このゲームのストーリーを褒める人はほとんどいないだろう。だがアルマを中心とした母と子、そしてポイントマンとフェッテルの兄弟の物語に幕を降ろすという大筋は良いし、スパイスとしての恐怖演出も引き込まれる。

 つまるところアバターもXbox…じゃなくて痘痕も笑窪というわけで、ゲームとして面白いと他の部分まで良く思えてくるというのが本当の所だったりする。ポイントマンのビジュアルもありがちなマッチョ兵士風ではなくて独自の魅力があるし、フェッテルも彼なりに家族を――血の絆を大切に思っていることが感じられ、ちょっと印象が良くなった。1作目でモリモリ人肉食ってたことは水に流すよ、うん。

 そんなわけで管理人の中ではキャラも含め、すごく大好きなFPSになりましたよF.E.A.R.3。1は中途で積んで2は未プレイということもあって、それほど高い期待を抱いていたわけではないのだが、以下のコピペのようにどんどんハマっていった。


LV1 F.E.A.R.3? どうせ今回もローカライズで糞化だろ。どうでもいいよ…
LV2 今回は海外版にも日本語入ってるんだな。てか、ポイントマンてヒゲだったの?
LV3 Slo-moってやっぱ神能力じゃね? 理想のドンパチスキルって感じ…
LV4 フェッテルも新感覚でいいな。体を乗っ取れるのも楽しい…
LV5 ジンって別に可愛くないのにヒロイン扱いされててうぜぇ。ジン死ね!
LV6 アルマ結婚してくれ!
LV7 やべぇパワーアーマー最高! パワーアーマーと弾薬さえあれば生きていける!
LV8 フェイズマスターに憑依した! 俺はフェイズマスターに憑依したぞ!
LV9 やっぱ飛び蹴りは最高だわ
MAX 母さんが呼んでる…



 この改変に嘘があるとすれば、管理人はまだ飛び蹴りを使いこなせていないということだろう。まぁスライディングで事足りるんだけどさ。カバーに滑り込むのにも使えるし。

 ところでホラー部分についてだが、怖がりな管理人からしても「そこまで怖くない」という評価に落ち着いた。やっぱりアルマ全然怖くないのが問題だな…。
 1作目の彼女はほんと怖かったんだよ。例えば暗がりの中を歩いていると、少し離れた灯りの中に黒い影が。「あれ…? なんだか人のような…?」と思ったらすっと消え、一拍遅れてゾーっとするというような、精神を締め付けられるような恐怖があった。そしてたまーに至近距離で出現したりすると心臓が止まるほどビビったものだ。

 人は理解できないものを嫌悪し、恐怖し、忌み嫌う。
 その意味でアルマはすでに何者か判明し、「得体の知れない何か」という恐怖のヴェールは剥がされてしまっている。
 超ド級のテレパシー能力者であり、関わった人間の多くを惨殺した、意志を持った災厄であり、非人道的な実験の犠牲者でもあり――そして、主人公たちにとってはかけがえのない母親でもある。
 これらの知識を下地に、前述したような「ゲームが面白いと他も良く見える」という心理が働くとどうなるか? アラ不思議、アルマがとっても愛おしくなってくるではないですか。



 マッドな科学者連中に実験体として弄ばれ、人為的に妊娠させられ、そうして産まれた子供も無理矢理に引き離され……人並みの幸福は何一つ知らないまま死んでいった少女。想像するだけで張り裂けんばかりの悲しみが胸に満ちる。
 そんなアルマが顕現する姿が、年齢一ケタ台のいたいけな少女ってところがまた切なさを倍加させる。――嗚呼! たとえ神が君を見捨てても僕だけは抱きしめてあげるよ! という気持ちになって当然ではないか。息子として。
 例えばベンチで膝を抱えて体を前後に揺らすアルマなんて、もう反則級の愛おしさです。隣に座ってお話しを聞いてあげたいという気持ちになるが、側に寄るとこちらを見上げた後ふっと消えてしまう。その時のやるせなさときたら…! 弾丸を目視できる超人的集中力や肉体に憑依する心霊的パワーがあっても、彼女を抱きしめてやることさえできない! それなら…こんな腕などいらぬ!(コントローラーをブン投げつけつつ)
 しかも対戦で登場するアルマは楽しそうに笑い声をあげたりスキップしてたりする。ああもう何なのこの可愛い母親! もう波状攻撃とかどうでもいいからアルマとずっと戯れていたいね!(対戦のキャラは息子じゃないけどね!)

 つーかさー、母性と少女性を合わせ持つヒロインって最強じゃねーか? 世間じゃロリババアなんてキャラ付けがあるが、大概は言葉使いが時代がかってるだけのロリキャラじゃん。そこいくとアルマなんて実母ですよ。親子として過ごしたことはないけれど、母と子という繋がり――フェッテルに言わせれば血の絆――があれば、その空隙も埋めて全力で萌えられる(味之介くん、言ってることおかしくない? 大丈夫?)大丈夫だようるせぇな。

 こうなってくると、アルマの登場回数が思ったより多くなかったのがやや不満でもある。まぁ3のアルマは妊婦さんなので、あまりこっちに構ってくれないのは仕方ないかもしれない。その代わりに“スカベンジャー(アルマの苦痛に満ちた記憶から生まれた怪物)”が構ってくれるけど、これはあまり嬉しくはないな。




全裸で妊婦な大人アルマ。エロいけどレアキャラ。



 まぁそんなわけで、1作目では「不確定名:しょうじょのすがた」としてこちらを恐怖のドン底に叩き込んだアルマだが、今作では萌えヒロインになってしまいました。
 勘違いするアホがいるとまずいのではっきり言っておくが、F.E.A.R.3は幼女に萌えるゲームでは断じてない。ポイントマンとフェッテル、そしてアルマの家族の絆を辿るゲームだ。
 あとSlo-moとか悪霊的パワーで敵をバイオレンスにブチ殺していく快感に浸るゲームでもあります。大火力のロボットもあるよ! どこがホラーだって突っ込みたくなるけど、映画「エイリアン2」にもパワーローダーがあったから問題ないって!(あれもホラーじゃないのでは…)

 まぁ、なんだ。アルマさんも実写トレーラーではかなりホラーっぷりを発揮していたんだけどね。ていうかその時が恐怖のピークだったかも。



ポイントマンのトレーラーに映り込むアルマさん フェッテルのトレーラーに映り込むアルマさん アルマさんご尊顔



 ゲームに中で恐怖を担当しているのはむしろこいつかもしれない。




NEVER FACE F.E.A.R. ALONE



 この「クリープ」と呼ばれるおぞましい怪物は、ポイントマンとフェッテル、そしてアルマにとって根源的なトラウマと言うべき存在で、道中でたびたび襲いかかってくる。初回プレイ時は「何このウザい化物?」くらいにしか思ってなかったんだけど、2周目の今はちょっぴりだけどマジで怖い。だってこいつの攻撃喰らうと自動回復しないからね。アクションゲーム的な意味で脅威だ。出現の前兆である特殊なエフェクトが発生すると「奴が…近くにいる!」って感じで嫌な汗が出てきやがります。
 あと初回は気づかなかったんだけど、幼女アルマがこれに怯える場面もあった。そうか、母さんも苦しんでるんだね…ここは息子たる自分が守ってあげねば! さあ母さん、こっちに来るん……ごめん、思い出し萌えしてた。


 そんなわけでF.E.A.R.3はオススメなのだが、ストーリーが完全に続き物なんでしっかり予習してないと置いてけぼりにされるのが注意点ではある。管理人も2のあらすじなどをナナメ読みして分かった気になっていたが、ひとり重要人物の名前を知らず「え、誰ソレ?」となった。


ハーラン・ウェイド



アルマを元にした「オリジン計画」の責任者。15歳のアルマを身ごもらせ、産まれた子供(ポイントマンとフェッテル)もまた実験材料にした諸悪の根源。3の時点ではすでに故人。アルマの実父(!)でもある。



 2周目で分かったが、ステージ冒頭で流れる「観察室のポイントマン兄弟」のムービーで、時おり訪れる科学物風の男がこいつのようだ。キィ! フリーマンみたいな眼鏡かけやがってムカつくんだよ!
 じゃあ今日はこのへんで。敵兵を悪霊的に爆死させるお仕事に戻ります。


追記:
 フェッテルで2周目をプレイしてるんだけど、思ったとおり悪霊プレイはいいぞ! 特にサスペンドから出せる爆殺攻撃(近距離で格闘ボタン)が良い。ごついアーマー兵士も木っ端微塵に飛び散ってくれる。素早い動きと耐久力の高さで手を焼いたスカベンジャーも、とっ捕まえれば一発処刑っすよ。
 兵士に憑依すれば基本的にポイントマンと同じプレイ感覚になるが(当然Slo-moは使えないが)、体を気遣う必要があまりないので戦闘スタイルはやや大胆になる。無駄に温存しがちだった手榴弾もポイポイ投げるようになるし、かなり爽快ですよこれ。
 シングルプレイの出来としては相当いいんじゃないかな、このゲーム。なのにあまり人気がないのは前作がいまいち不評だったためか、それともポイントマンのヒゲ面が悪いのか…。カッコいいと思うんだけどなぁ。



※過去のF.E.A.R.更新
雑文その150・F.E.A.R.3――もう夏だし恐怖でも克服するか
雑文その27・恐怖<FEAR>を克服せよ。心霊ドンパチFPS「F.E.A.R.」



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