13.12/31 その199 FarCry3――この美しい島はもうスッカリ地獄です





ああ。何という恐ろしい責め苦でしょう。この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です。

――夢野久作『瓶詰地獄』




 2013年のFPS/TPSライフを振り返ると…ガッカリさせられたゲームが多かった。
 「悪くはないはずなのに今一ハマれない」とか「「期待してたものと違った」とか「期待してなかったけどやっぱりダメだった」というのは毎年一定数はあるものの、今年はそれに加えて「すげー期待してたんだけど非常にダメだった」というモノもあった。オマエのことだBF4。
 糞の山のようにあふれ返ったバグと頻発するフリーズ、キャンペーンのセーブデータが飛びまくるという製品としてありえないレベルの不具合が山盛りマンボウであり、発売日を心待ちにしていた戦争中毒者(管理人含む)のピュアなハートに冷水をぶっかけてくれた。すでに何度もパッチが当たっているものの完治には程遠いあたり、問題の根深さが見て取れる。
 言いたいことは山ほどあるが、中身そのものは(巷で言われているほど)悪くはないと思うし、今後のパッチでもう少しはマシになる可能性もある。なので、BF4を血祭りにあげるのはまたの機会にし、今回は2013年のFPSの中で個人的に最も良かったゲームについて触れたい。

 青い海と空、緑豊かな自然、そこに息づくたくさんの生き物たち――輝かしい生命力あふれる島を舞台にしたオープンワールドシューターであり、ある意味では『DOAエクストリームビーチバレーボール』の衣鉢を継ぐエクストリームビーチゲーとも言えるゲーム……。もうお分かりですね。







 FarCry3でございます。

 FarCry3はいいぞー。ビキニ姿の美女はいないがAK47で武装した海賊が山盛りたくさんいるし、ついでに言うと野山には虎や熊が、川にはワニが、海にはサメがいてこちらを餌食にしようと待ち構えている。美しい楽園のような景観とは裏腹に、血なまぐさくインモラルな空気が漂う洋ゲー的瓶詰地獄。それがFarCry3だ。
 つまりいつもの洋ゲーだろって? ああそうだよ。何か文句でもあんのか。

 この寒い日にバカンス気分を味わうにはうってつけのゲームでもあることだし、今年の締めはこれでいこう。


・総評――わくわく動物アイランド
・戦闘――ナイフって……いいよね……
・物語――あなたが知らないあなたの狂気
・対戦――罰と慈悲の狭間で
・Coop――やっぱりドンパチは最高だな!






■総評――わくわく動物アイランド

 主人公のジェイソン・ブロディくんはスポーツ好きのナイスガイ。兄弟、彼女、友人らとともに常夏の南国へバカンスにやってきたけど、その島が海賊たちのアジトだったからさぁ大変。
 みんなまとめて悪い海賊に捕まっちゃうけど、危ういところで脱出できたジェイソンくんは島の原住民たちの力を借り、悪い海賊たちをブチ殺す冒険に出発する。さぁ――狩りの時間だ。

 で、始まるFarCry3。
 序盤こそ面倒なお使いが続くイメージがあるが、やれることが増えるにつれて飛躍的に楽しくなってくる。動物を狩り、その皮でアイテム収納袋や弾薬ポーチを作ったり、送電鉄塔を修理してマップをアンロックしたり、特定の動物や海賊の幹部を狩る依頼を受けたりと、主人公・ジェイソンくんはワンパク全開でこの狂気と自由と暴力のファッキンパラダイス“ルークアイランド”を冒険するわけだ。
 中でも楽しいのが、海賊の拠点を襲撃して開放するミッション。離れた所(高台が望ましい)から基地の様子を観察し、どう攻めるか考えるのが毎回ワクワクする。
 正面から乗り込んで撃ち合いをするにしても、敵が何人いて、警戒すべきスナイパーや重装歩兵の場所を把握しておくのは大事だし、猛獣が囚われていたら檻から出して敵を襲わせることもできる。また増援を呼ばれないよう警報を無力化する手段も考えておく必要がある。なお本作はレベルアップによって様々なスキルを習得できるので、先に進むほど戦術の幅が増えるというRPG(ロケランじゃない方)っぽい楽しみもある。

 もちろん時には海賊に発見されてテクニカル(銃座付き車両)で狩りたてられたり、猛獣に襲われて死んだりもする。むしろ死因としてはそっちが多いだろう。



【PS3】Far Cry 3 part14【360】

488 :なまえをいれてください:2013/04/17(水) 11:44:15.15 ID:v6Mv53qf
  今から始めるんだけど難易度はどれがいいかな
  やっぱり最高難易度?

494 :なまえをいれてください:2013/04/17(水) 12:53:21.81 ID:u6YdxFzG
  >>488
  撃ち合いに慣れた人にはノーマルではヌルイかもね
  ただ多分あなたに最初に死をもたらすものは多分海賊や銃弾ではない



【PS3】Far Cry 3 part14【360】

408 :なまえをいれてください:2013/04/16(火) 09:27:04.22 ID:pj+Vb+MU
  昨日買ってきた
  ヒクイドリにリンチされた
  なにこれ楽しい

410 :なまえをいれてください:2013/04/16(火) 10:34:47.77 ID:DugnAaoW
  >>408
  あてもなく航海したり潜水するのも楽しいぞ

412 :なまえをいれてください:2013/04/16(火) 11:47:05.08 ID:pj+Vb+MU
  >>410
  サメにかじられたじゃねーか!w




【PS3】Far Cry 3 part14【360】

294 :なまえをいれてください:2013/04/15(月) 13:57:51.98 ID:f891vRWD
  ヒクイドリってこんな危険な生物だったのかよw
  そして何故背後から忍び寄る…

296 :なまえをいれてください:2013/04/15(月) 14:41:27.77 ID:XvyMpV2A
  >>294
  石ぶつける
  ぷるぷるする
  かわいい

499 :なまえをいれてください:2013/04/17(水) 14:18:20.68 ID:GmMFlESx
  ヒクイドリを観察してると結構面白い
  NPCに近寄る時なんか忍び足になるのな
  で、両足キックで仕留めるw

500 :なまえをいれてください:2013/04/17(水) 16:39:29.39 ID:u6YdxFzG
  落ちた果実しか食べないらしいがあの動きは完全に肉食獣




 ヒクイドリもさることながらコモドドラゴンも怖いぞ。見た目に反して動きが素早いし攻撃力も高いもんだから、体力の少ない序盤で不意打ちされると死に直結しかねない。
 野生生物たちは当然ながら海賊とラクヤット(原住民)どちらにも組しないので、時には海賊が動物に襲われたりもする。


【PS3】Far Cry 3 part14【360】

549 :なまえをいれてください:2013/04/18(木) 18:25:31.12 ID:kFUFiVBZ
  牛ゾーンの基地に突入しようと様子見てたら
  野犬に追われた牛ヒクイドリに追われた牛虎に追われた牛が乱入してきて
  何もしないまま解放されたでござる。なにこのカオス。




 この手の「海賊の拠点が動物に襲われて壊滅」という報告はいくつもあがっていた。管理人はここまでドラマチックな光景に遭遇したことはなかったが、自分を追いかけていた海賊がコモドドラゴンに次々と襲われて全滅していくのは目にした。
 海賊3人に追われて送電鉄塔の上に逃げ、さてどうするか…と双眼鏡で下を見ていると、こっちに向けて発砲している海賊たちの後ろからコモドドラゴン(×2)が。おやおやと見ているうちに一人また一人と襲われ、あっという間に全滅。大自然の恐ろしさをまざまざと見せ付けられた瞬間だった。

 というかこの島の動物たちは総じて脅威度が高い。例えば序盤のミッションで数種のハーブを集めるものがあるが、そのうち水中に生えているものを採取しようと川に入ったらいきなりワニに襲われたことがある。管理人はこれがトラウマになって、終盤になるまで水の中には入らないようにしていたくらいだ。
 あと、あれだ。ファストトラベルで隠れ家(セーフハウス)の中にワープしたら、外から熊のうなり声が聞こえてきて出るに出れなくなったりとか。
 まぁそういうアクシデントも込みで、動物たちと触れ合えるゲームだということだ。



■戦闘――ナイフって……いいよね……

 以前ステルスアクションについて書いた時(→
)にも少し触れたが、FarCry3はステルスアクション寄りのゲームだ。
 弓矢やサプレッサー付きの狙撃銃など遠距離から仕留める武器も用意されているが、最も基本となるのはナイフでのサイレント・キリング。最初は後ろからグッサリやるだけだが、経験値をためることでバリエーションが増えていき、敵の上に飛び降りつつグッサリやったり、後ろから敵を刺しつつその腰からナイフや手りゅう弾を奪って別の敵に投げたりできるようになる。
 また小石を投げて敵の気をそらしたり、死体を引きずって人目に付かない場所に隠したりなど、地味ながらとても有用なアクションも用意されている。ジェイソンくん=プレイヤーはこれらを駆使して海賊たちを始末していくわけだ。

 反面バリバリ撃ちまくる要素は控えめだが、ガンアクションの出来はそんなに悪くない。銃声に重みがあるし、スライディングやカバーなどの要素が意外にうまく出来ている。後の方で述べるが、アサルト重視なCoopモードが楽しいのもこのへんの基本デザインが優れているからだろう。
 また武器がやたらたくさん持てるのもよろしい。最近のシューターは銃×2に手榴弾のみというシンプル極まる装備を強いられることが多いが、本作は最大で銃4種及びその弾薬、手榴弾12個、火炎瓶12本、C4爆薬と地雷を6個づつ持てるようになり、人間弾薬庫のごとき様相を呈するようになる。こんなのが敵で出てきたら即被弾引火で花火になるところだが、幸い主人公にそんなペナルティはない。
 冗談はともかく、やっぱり武器をたくさん持てるのは素敵だ。特に本作はステルスあり、正面突撃ありと多彩な戦闘が持ち味なので、いちいち拠点に戻ったりせずとも全局面に対応できるのはありがたい。

 ひとつ残念なのは、正面から突っ込んでドンパチしてもOKな作りになっているのに、ゲーム的にはあからさまにステルス推奨になっているところ。
 特殊なステルスキルを決めたり、敵に発見されずに拠点襲撃を成功させるとEXPにボーナスがつくが、アサルトライフルをブッ放しつつ手榴弾をぽいぽいして派手に戦ってもボーナスは一切ない。それどころか消費した弾丸・爆薬は自腹で補充せねばならないので、逆に赤字の計算になる。 ドンパチ大好きなトリガー野郎としてはちょっと納得がいかない。

 解放した拠点はファストトラベルの移動先として使えるようになるわけだが、どうせならこの拠点を防衛するイベントも欲しかった。防衛戦ならステルスにこだわらず派手にドンパチできるし、今一つ使いどころの難しい地雷やC4も活躍できたはずである。

 まとめるに、不満点はあるが戦闘要素はおおむね良くできているといえる。戦闘が薄味になりやすい箱庭ゲーとしてはかなりレベルの高い仕上がりだと思う。
 特にナイフでズブシュ! とやる際の快感は、他のゲームのナイフキルと比較しても頭ひとつ抜けている。この「殺しの快感」はストーリーにも密接にかかわっているので、今からやる人は思うさまその悦びを堪能してほしいと思う。



■物語――あなたが知らないあなたの狂気

 本作は“狂気”についての物語だ。
 主人公のジェイソンは海賊から逃れた後、デニスと名乗る男に助けられてこの島で戦い生き延びる方法をレクチャーされる。「戦士の道を歩め」とい彼の導きに従い、ジェイソンは動物や人を殺す方法を身につけ、戦士として頭角を現していく。

 タフな男たちであふれるFPSの中で、平凡な青年が徐々に強くなっていく物語は珍しい。だが、物語は徐々に成長譚ではない暗い色彩を帯びてくる。ジェイソンはやがて戦いそのものにのめり込むようになり、一般的なモラルから次第に逸脱していくのだ。
 「戦士のタトゥー」を身に刻み、平気で殺人を行うようになるジェイソンに対し、友人たちは気遣いと警戒がない交ぜになった眼を向けるようになる。

「自分が人を殺すなんて考えもしなかった。でも、今は――快感なんだ」

 ジェイソン君がポロっと本音をこぼした時の、あの友人の目! 完全に異常者を見る目だったよね! 幸いにもジェイソン君は友達だということを思い出してくれて「ジェイソン……あなた大丈夫?」と言ってくれたけど、正直ちょっと痛かったよ。

 単純な冒険ロマンではなく、ひとひねりして「戦いに取り憑かれた者の異常性」に踏み込んでいるのは面白い。……が、本作のシナリオはさらにその裏がある。以下のサイトさんに考察があるが、ネタバレを気にしないという人は是非読んでみてほしい。

※ネタバレを見たくない人は
ここを押してスキップ



・Far Cry 3 暴力の国のゲーマー (地球には帰りません)

・FARCRY3のお話 (箱丸の故障に怯える作業)




 戦いの中で充足感を得て、この島こそ自分の生きる場所だと感じるようになるジェイソンの姿は、ゲームにのめり込み現実から逃避するゲーマーの鏡像でもある、というのがFarCry3のテーマといえる。

 管理人は諸事情によりクリア前にこの「隠されたメッセージ」を知ってしまったわけだが、プレイしていると確かにそれを匂わせる個所がある。
 ゲーマーへの皮肉がさりげなく、かつ秀逸なやり方で感じられたのが、あるイベント戦闘の直前に恋人から電話がかかってくるシーンだ。話す内容は他愛もない、だがジェイソンの身を案じた電話である。しかし爆薬の設置などで忙しいジェイソンはそっけない返答で早々に会話を打ち切ってしまう。
 ジェイソンの気持ちは実によく分かる。……自分がゲームに熱中している際に水をさされた時の気持ちと同じなのだ。

 そして、劇中である人物が語る「“異常”の定義」――変化を信じて延々と同じことを繰り返す――はアインシュタインの言葉から来ていると思われるが、「ゲームに熱中しているゲーマー」を客観視した表現ともとれる。
 FPSより単調なルーチンワークを強いられるゲームはいくらでもあるが、これは同じようなドンパチゲーをリリースし続けるメーカーと、それを延々遊び続けるゲーマーたちへの皮肉も兼ねているのかもしれない。
 ついでに言うと、個人的には対戦を繰り返し遊んでいる自分のことを言われているようにも感じた。何度も何度も撃ち殺されながら、それでも次こそはマシな成績になることを信じて再チャレンジする。今度こそ、必ず、変わるから、と。頼む、今度は、今度こそは、と。

 ああ、そうか――やっぱり俺は異常だったんだ。

 何だか急に髪型をモヒカンにしなきゃいけない気になってきたが、冗談はともかく本作のメッセージは暴力ゲームを愛してやまないゲーマー(まさに管理人のような!)にチクチク刺さる。
 こんなにもエンジョイフルな地獄の楽園を提供しておきながら、夢中になっているプレイヤーへ「こんなゲームにマジになってどうすんの? 他にやることあるだろ?」と掌を返すわけで、少なからず苛立ちを感じるのは確かだ。正直、21世紀にもなってたけしの挑戦状みたいなメッセージを頂けるとは思わなかった。
 もちろんアレほど直接的ではない。むしろ「鏡の国のアリス」を引用するなど表現方法はあくまでもひそやかで、クールですらある。またプレイヤーだけを一方的にお説教するのではなく、暴力的なシューターに偏った現代ゲーム業界への皮肉――『FarCry3』自身も含めて――もまた感じられる。

 一ゲーマーとしては「うるせぇハゲ! 俺はドンパチが好きなんだよ! 文句あっか!」という気持ちが真っ先に出るものの、ゲームについての自己言及的な作品という意味で興味深くもある。
 ややもするとシューターばかり量産されているように見える海外ゲーム業界だが、近年では脳筋ドンパチゲーへのカウンターになるような動きも出始めている。『Portal2』や『風の旅ビト』のように戦闘要素を含まないゲームが高く評価されているのもそのひとつだと思うし、『SpecOps:The LINE』のように「ゲームにおける無邪気なヒーロー礼賛」を真っ向から否定してみせた作品も登場している。
 ゲームにおけるストーリーテリング、またゲームそのものを改めて問い直そうとする実験的な試みとして、FarCry3のシナリオはとてもユニークだと思う。

 ま、そういう批評家好みの部分は別にしてもバイオレンスなアクションゲームとしてハイレベルであり、「ゲームの中の暴力」を思うさま楽しめる一本であることは間違いない。


大虐殺は極上のエンターテイメントであって良いのだろうか?
恐らく良くないだろう。だが、実際は非常に楽しいのである。

――『Far Cry 3』海外レビュー/IGNのコメントより抜粋(Choke Point)




 そんなこんなでシナリオ的には大満足とは言いづらいが、それでも(表層的な)ストーリーは演出面も含めて管理人好みの部分が多い。陰鬱で暴力的で、どこか不安を掻き立てるような空気は全編通して変わることはなく、それが南国の楽園を思わせる景色と強烈なコントラストを作り出している。
 また2種類あるエンディングのうち1つは(裏のメッセージを勘案しても)一抹の救いを提示する終わり方なので、プレイ後の印象は決して悪くなかったりする。エンディングテーマの美しさもあいまって、管理人は心地よい感傷に浸ることができた。
 不満点としては、パッケージにもデカデカと登場しているバースさんの出番が思ったより少なかったことだな……。



■対戦――罰と慈悲の狭間で

 FarCry3は対戦も地味に面白かった。ぶっちゃけると典型的なCODコピーなのだが、今のCODと比較するとかなり遊びやすいと感じる。少なくともサブマシンガン野郎が回遊魚よろしくマップ内をマラソンしていたりはしないし、キルストリークもそこまで強力ではない。この辺のバランスはCOD4に近い気がする。
 加えてユニークなのが、味方の能力を上げる「バトルクライ」だ。効果範囲は狭いが、体力の上限を引き上げたりなど上手く使えばかなり有効であり、ささやかながら共闘感を出してくれる。ちなみに倒れた味方の蘇生もデフォルトで行えるので、個人主義に陥りがちなCODコピーの中ではかなり助け合いを重視している。

 対戦そのものは順当な出来だが、FarCry3らしいどぎつさが顔を出すのは試合の終了後だ。「ファイナルムーブ」と名付けられた演出がそれで、勝利チームでスコアトップになったプレイヤーが敗北チームのトップに<罰>または<慈悲>いずれかのアクションを行うというものだ。



 <罰>なら殴る蹴るの暴行や乳首をつねる等の嫌がらせを行い、<慈悲>なら相手の健闘を称えたり一緒にダンスしたりして親睦を深めるような内容になる。

 最初にこの要素を知った時はその悪趣味さにちょっと引いた。対戦で横行している罵倒や侮辱行為を誇張しているようで、制作者の意地の悪さを感じたからだ(これはあながち間違いではないと思う)。
 しかし実際見ると<罰>の数々はその誇張っぷりがギャグになっていて、苦笑こそすれ本気で不愉快にはならない。GOWの「処刑」と同様に演出の一つとして「あー、やられちゃったか」くらいの気持ちで見ていられる(管理人は、だが)。
 逆に<慈悲>のお互い握手して別れたりというフレンドリーな演出の方が「え、キミらさっきまで殺し合いしてたよね?」と突っ込まずにはいられない違和感があるし、制作サイドから「所詮お遊びだよ」と水を差されているようで気分が良くない(管理人は、だが)。

 とはいえ試合終了後に高ぶった気持ちを和らげてくれる寸劇としては悪くないので、他のシューターでも取り入れてほしいくらいだ。ファイナルムーブはギャグ的なものがほとんどだが、やりようによってはシリアスでカッコいいものも用意できるはずだ。こう、敵のリーダーをフェイタリティな感じに処刑してみるとかね(問われるカッコよさの定義)。




Far Cry 3 ファイナルムーブ FINAL MOVES 罰編




Far Cry 3 ファイナルムーブ FINAL MOVES 慈悲編





■Coop――やっぱりドンパチは最高だな!

 本編を遡ること半年――とある船が海賊に略奪された。私欲に走った船長が海賊と結託し、自らの船を売り渡したのだ。
 その船に乗り合わせていたレオナルド、ミハイル、チシャ、カラムの4人は即席のチームを組んで船を脱出し、船長を追う。この落とし前をつけさせ、汚れた金を奪い取るために。

 で、始まるFarCry3のCoopモード。
 本作のシングルキャンペーンは基本的にステルス重視だ。しかしCoopは一転してステルスのスの字くらいしか見当たらない、脳筋ドンパチ撃ちまくりゲーになっている。
 これは主人公の設定によるところも大きいだろう。キャンペーン主人公のジェイソン君はほとんど一人で海賊と戦わねばならず、囚われた友人達の命運も彼の双肩にかかっている。となれば慎重な立ち回りを要求されるのも無理はない。
 そこへいくとCoopの主人公たちは、元警官・元殺し屋・元兵士・元ギャングといういずれもスネにキズある荒くれぞろい。自分たちを陥れた「船長」をブッ殺してついでにお宝もゲットし、ゴミ溜めに落ちつつある自分の人生をやり直そうと目論んでいる。そんなギラギラした野郎共(うち1名女性)が主役とくれば、厄介ごとは全部銃弾と爆薬で片付けようという流れになるのも自然なことだ。ゆえにCoopは思うさま撃ちまくってガンガン進む、実にアーケードライクなシューターになっている。





 キャンペーンでも銃撃戦はあるが、ガンファイトを楽しむなら断然こっち。武器は2つまでしか持てないが、わらわら出てくる敵を相手に弾丸の費用など考えず撃ちまくれる。

 この手のCoopを導入するシューターは珍しくないが、出来はかなりいい方だと思う。メンバーが4人かつ途中参加もアリなので、実質フレンド限定になりがちな2人Coopよりも敷居が低く、気軽に始められる。
 ついでに言うとCoopで得られる経験値は対戦と共通なので、対人戦ではなかなか勝てないという管理人みたいなタイプでも、Coopをこなしていればそれなりに新たな装備が入手できるのもうれしい。

 ただ、不満点もいろいろある。途中参加だとステージや難易度を選べないし、参加できるタイミングはチェックポイント到達時のみのため、間が悪いとかなり長いこと観戦しているだけになったりする。
 贅沢を言うなら、BOTを採用して途中参加の際に入れ替わるようにしてほしかった。といっても、今のところそこまで至れり尽くせりなのはL4Dシリーズくらいしか思いつかないが。


 対戦にせよCoopにせよ発売からかなり時間がたった今、人の減少は避けられないところだろう。ただ先日起動してみたところ、対戦もCoopも普通にプレイできたので、どうしようもなく過疎っているというわけではなさそうだ。実績をコンプリートしないと気が済まないタイプの人には勧められないが、Farcry3は未体験という人には手にとって欲しいゲームではある。
 シングルとマルチの両方が面白いというゲームはわずかだ。大抵はどっちかがおろそかになるし、特にマルチは出来が良くても人が集まらないというケースが往々にしてある。そんな中でFarCry3は両方とも高水準にまとめ、ちゃんと遊べるマルチプレイを提供できたという意味で傑作の仲間入りを果たしたといえる。

 願わくば――DLCの「Blood Dragon」もローカライズされんことを…。




※過去のオープンワールド更新
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