「2段ジャンプや壁走りによる3次元機動」「ロボット兵器がガシガシ歩く戦場」と、ひとつでも十分個性になるような要素を豪勢に2つもブチ込んだ新世代FPS。ゲームライフの8割をFPS/TPSに注ぎ込んでいる管理人としては、FPSを次のフェイズに移行させうる存在として穴の開くほど注目しているタイトルだ。
それらの要素に加えて管理人が期待しているのは、制作のRespawnがインタビューで度々強調していた“プレイヤーの生存性のアップ”である。それは単純に死ににくするということではなく、すぐにやられてしまう非エースのプレイヤーもゲームを楽しめるように、という配慮から来ており、AI兵士を多数参加させることで「キル数の底上げ」を狙っているという。このコンセプトは“プレイヤーはコンスタントなキルを得ることが好きだが、コンスタントに殺されることは好まない”という彼らの言葉によく表れている。
管理人は深く感動したね。一見当たり前に見えるこの言葉は、ほぼ全ての対戦ゲームに共通する
「狼は生きろ。豚は死ね」というドグマに挑戦するものだからだ。
そう、まさしく挑戦である。TitanFallのAIはプレイヤーの穴を埋めるBOTではなく、独立した要素としてゲームバランスの根幹に関わっている。TitanFallが新世代FPSになり得るか否かはこのAIかかっていると言っても過言ではない。考えようによっては3次元機動やロボット兵器よりもよっぽど重要な要素だろう。
管理人的には、彼らの試みを全力で応援したい。毎回デス数がキル数を上回るような人間にとって、このAIによる挑戦は福音となる可能性があるからだ。
CODのデスストリークのように、弱者救済のシステムはこれまでいくつもあった。しかしその多くは「ないよりマシ」という程度に過ぎず、本当の意味で救済になっていたとは言えない(COD:BOの『ダッシュ可能な距離が伸びる』というデスストリークは悪意すら感じた)。だがTitanFallの目指す“キル数の底上げ”は、それとは全く違うアプローチでヘッポコプレイヤーに手を差し伸べようとしている。
「えーマジK/D1以下!? OMG Noooob!!」「1以下が許されるのは小学生までだよねー」「キャハハハハ!」なんていう連中に俺の心は分かるまい。だが、エースプレイヤーや求道者だけがFPSをやっているわけではない。
デスストリークは「ヘッポコプレイヤーの強化」であるため、強くしすぎれば上級者が理不尽なリスクを負うことになり、対戦ゲームの基本構造を壊しかねない。しかしTitanFallのシステムは強化ではなく、初心者にキルの機会を提供することで心理的なストレスを和らげ、いたずらに頭を押さえつけられるのを防ごうとしている。この切り口はFPSに限らず多人数対戦ゲーム全般に応用が可能ではないだろうか。
その可能性を開く意味でも本作には期待するところ大である。
・Wolfenstein:The New Order――ヒーローは常に独り