つまるところ、頭部の健全性こそが、生物学的に想定するならば人間の核心だろう。頭部こそが、ひとをひとたらしめているすべての秘跡の収納所、聖骨箱であり、貴重な宝石をおさめる箱、金庫なのだ。それが破壊された光景を見ると、だれもが心穏やかではいられなくなる。 |
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「この世の中で」ザイツェフはそういいながら、モシン・ナガン狙撃銃をつかんで照準スコープを目に当てた。「もう一人の狙撃手と生命をかけて対決することくらい刺激的で危険なものはない」 |
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本作はこの2人のスナイパーによる対決に絡んで、ヴァシリ・ザイツェフと女狙撃手タニアとの恋や、ニッキの目を通して滅びゆくドイツ軍の悲哀も描いている。ドラマも狙撃の美学も上下巻に山盛りで詰め込まれており、大満足の作品だった。もっと早くに入手しなかったことが悔やまれる。 |
映画『スターリングラード』が物足りなく感じた人には是非おすすめしたい。劇中で照準を指す「黒い十字線」という語はちょっと使ってみたくなるぞ。 |
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追記2: |
「――まず、パニックに陥らないようにすること。そしてすぐ地面に伏せる。それから電話ボックスを探して、そこまで這って行く。電話ボックスに辿り着いたら、職業別電話帳で“S”のページからスナイパーを探す。誰かひとりを選んで、そこに電話をする。つまり『泥棒を捕まえるには泥棒を使え』だ。あいにく(東フォークランド島の)グース・グリーンには電話ボックスなんてものはなかったが、私たちには無線があった。もちろん、それでスナイパーを呼んだとも」
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