洋ゲー[2]へ  
16.11/03 その248
Titanfall2――マン・マシン・ザ・フュージョン





Welcome to the future
Man, machine - the fusion
Welcome to the future
Lightyears ahead of evolution



 マン! マシン! ザ・フュージョン!
 「Welcome to the Future」いい曲ですよね。この曲は2次元アクロバットバイクゲー『Trials Fusion』のテーマソングなのだが、「人と機械の融合」という歌詞はTitanfallにもハマる。

 そんなわけで『Titanfall2』のシングルキャンペーンをやっておりました。最初に結論から言うと最高でしたね。
 今年のFPSシングル部門ではすでに『DOOM』という俺が死んだら棺桶に入れてほしいリスト入りの超傑作があるが、本作はそれに迫る出来だといえる。むしろ、キャラクターの成長やマップの探索要素がないリニア(一本道)なFPSとしては、ここ数年でも5指に入るだろう。

 本作を作ったRespawn Entertainmentにはこの分野の傑作COD4を作ったスタッフが在籍しているので、この完成度も納得である。だが、それでも新しい環境、新しいゲームデザインで、いきなりここまで完成度の高いものを出してくるとは思わなかった。
 パイロットのアクロバットアクションとタイタンの重量級バトルをおりまぜたゲームプレイは遊び応え十分で、相棒のタイタン「BT-7274」と頑張るシナリオも引き込まれるものがあり、ひたすら楽しかった。プレイ時間はおよそ8時間ほどで大ボリュームというわけではないが、純粋なアクションゲームとしてはむしろこれくらいでいいのではないか?とすら思わされる。
 とりあえず今回はシングルキャンペーンで管理人が感じた魅力について書いていく。


●魅力1:ハイブリッドバトルとアスレチック
 前作『Titanfall』は開発規模の都合上マルチオンリーだったわけだが、管理人含め「この世界観でシングルキャンペーンやりたい」という声は少なからずあった。パイロットの超人的な機動力や、ロボット兵器の夢を詰め込んだタイタン戦はシングルでこそどっぷり浸かれるはず、というのが主な理由だ。キャンペーンはそのへんをきっちり汲み上げた作りになっている。
 ウォールランや2段ジャンプを駆使し、常に先手を取っていくパイロットのアクション。ごっつい武装にものをいわせる重量級のタイタンバトル。この2つを巧みに組み合わせたハイブリッドバトルが心ゆくまで味わえる。誰にも邪魔される心配なしに。



タイタンとの戦闘。敵もしゃべりまくる


 「ハレルヤ、俺は跳べる!」と気分よくジャンプしてたら横合いから撃ち落とされたり、意気揚々とタイタンに乗り込んだら向こうから敵タイタンが3体くらいやってきたり、物陰からチマチマ狙撃してたら後ろからAI兵士に蹴り殺されたりすることはないのだ。いや、最後のはあるか。

 ゲームデザインとしてはパイロット主体でところどころタイタン搭乗シーンが挟まる形だが、上手い具合にメリハリがきいており、ダレることがない。落ちたら死、みたいなところをウォールランで駆け抜けるアスレチックも豊富にあり、「そうそう、こういうのがやりたかったんだよ!」と管理人のテンションは常時上がりっぱなしだった。



こういう地形見るとワクワクするよね



 ちょっとしたパズル要素も出てくるが、これがまたアスレチックとうまくかみ合っており、古き良きアクションゲームをプレイしているような気持になった。

 このように面白い要素がいくつも盛り込まれているわけだが、感心するのはRespawnのバランス調整の巧みさだ。個々の要素が面白くとも、配分を間違えると「アスレチック多すぎ」とか「もっとタイタンに乗りたかった」といった不満が多くなるものだ(『Batman:Arkham Knight』でバットモービルが批判されたことを思い出そう)。その点でTitanfall2のシングルにおけるバランス調整は実に巧みだ。

 もうひとつ強調しておきたい長所が、クソったれなステルスパートが一切存在しないことだ。クーパーはデフォルトでクロークの能力を備えているが、これも敵への先制攻撃や体勢の立て直しに使うことが専らである。このへんの攻撃的なゲームデザインも、全編に渡って高いテンションが持続するのに一役買っているだろう。

 シングルにおいて強いて難点を挙げるなら…パイロットが生身で敵タイタンとやり合う場面がないところか。
 やろうと思えば可能だが、リスクを冒してまでやるメリットはない。だがマルチプレイでは生身で敵タイタンに対処せねばならない場面は多々あるため、対タイタン兵器の使い方やロデオ戦術のイロハを学べるシーンがあればなお良かっただろう。


●魅力2:シナリオとキャラクター
 いっけなーい!降下降下! 俺、ジャック・クーパー。ミリシア・ライフル大隊の一兵卒! パイロット昇進を目指して訓練を受けてるの! でもある日、惑星タイフォンでの作戦が失敗して1人取り残されて…! 一体俺、これからどうなっちゃうの〜!? 次回『BT-7274』。お楽しみに。

 …で、幕を開けるTitanfall2。部隊が壊滅した中で1人生き残ったクーパーは、そこで上官が乗っていたタイタン「BT-7274」と出会い、共に闘うことになる。



BTとの出会い。カメラアイが思いのほか表情豊か


 普通に一人前のパイロットが主人公かと思いきや、訓練を終えてもいない半人前(階級は3等ライフルマン)が主役というあたり、すごく感情移入しやすいですな。まぁクーパーのキャラは薄味だが、相棒のタイタン「BT」がいい味を出している。
 劇中ではちょいちょいBTの言葉に対してプレイヤーが選択式で返答するわけだが、BTがとの微妙にズレた掛け合いが微笑ましい。



クーパーの「俺に焦がれたか?」との台詞に対してこの返答である


 このシナリオはアクションゲーム的にも大きな役割を果たしているように思う。キャンペーンのステージ構成は「パイロットのパート」と「タイタンのパート」できっちり分けられているが、露骨な――いかにもゲーム的な切り替えに感じないのは、BTと常に協力し合うシナリオ進行が自然であること、無線通話などを通して常にBTの存在を感じられる影響が大きいと思う。

 キャラクターに関していえば、敵陣営のパイロット連中もいい味を出している。それぞれ個性的なタイタンを駆ってクーパーとBTの前に立ちふさがるわけだが、ほとんどの奴は戦闘開始前にタイタンのハッチを開け、顔見せして口上を述べてくれる。これはSFであれ現代モノであれ、FPSではあまりお目にかかれない演出だ。



1stボスの「ケイン」。傭兵部隊エイペックス・プレデターズ所属のイカレ野郎


 考えてみればFPSでボス戦があるゲームの方が少ないわけだが、やっぱりボス戦があると熱くなれる。そいつらが個性豊かな悪党であればなおのこと、コントローラーを握る手にも力がこもるってもんだ。

 個人的には女幹部ポジションの「アッシュ」がお気に入りです。あの冷たい口調がゾクゾクくるね。もう管理人の脳内ビジョンでは「クールでサディスティックな色白美女」で上書きされてしまった。
 なおマルチプレイでは所属陣営ごとにリーダーキャラが戦闘状況をアナウンスしてくれるのだが、レベル20でこのアッシュさんがアンロックされるのだとか。マルチでは相変わらず狩られる側の管理人だが、レベル20までは頑張ろうと心に決めた。「いい戦いぶりよ。その調子」って耳元でささやかれたいね!




人造人間のアッシュさん。黒い瞳も素敵



●まとめ
 とりあえず声を大にして言いたいのは、シングルキャンペーンだけでも買う価値はあるということだ。プレイ時間はそう長くないとしても短すぎるわけではないし、何度も繰り返し遊びたくなる面白さがある。
 前作でシングルがあればと思っていた人はもちろん、これが初タイタンという人にもオススメできる。「ロボットと人間の絆」というシチュエーションが好きな人はさらにオススメだ。

 なおトロフィー/実績については、マルチプレイでのみ取得できるのは3つのみで、あとはすべてシングル用とのこと。この辺もシングルが単なる「添え物」ではなく、しっかり力を入れて作られていることの表れではないだろうか。

『Titanfall 2』発売後も全DLC無料、シーズンパスは不採用。マルチプレイヤーの実績は簡単なものが3つだけに (Automaton)

 …と言っといてなんだが、どうせ買ったのならマルチにも挑戦してほしいと思う。シングルキャンペーンで徹底的に叩き込まれるウォールランの技術はマルチでも活かせるし、タイタンの多彩な武器、アビリティについても一通り触れられるので、どれをアンロックするかの指標にもなる。前作はマルチオンリーのため実戦の中で試行錯誤せざるを得なかったが、それと比べて格段に入りやすくなっている。

 また前作と同じく、ゲームモードによってはマップ内にはAIのザコ歩兵も登場するので、初心者はそれらを殲滅していくことでもスコアアップにもなるし、味方にも貢献できる。上級者ではないプレイヤーにも配慮されているのは本シリーズの長所に数えられるだろう。これもゲームモードによるが、試合結果でデス数が表示されないのも初心者に優しい。

 対戦モードは色々あるが、お薦めは上記の条件を満たしている「消耗戦」モードだな。
 今作では歩兵に混じって「リーパー」というミニタイタンみたいなやつ(キャンペーンでアッシュさんが仕掛けてきたアレ)も登場するし、前作よりも派手さが増している。
 局地的な戦闘の派手さでいえばおそらく本作がナンバー1だろう。この派手さは一度体験してもらいたい。敵タイタンから逃げ回ったり、逆に対タイタン武器で返り討ちにするのはマルチならではの楽しみなので、そのへんもお勧めしておきたい。


追記:
 Respawn Entertainmentは、前作が作られた当時から「本来ならシングルキャンペーンを実装したかった」という旨のことをインタビューで述べていた。だが新興スタジオの1作目とあって開発規模も小さく、シングルとマルチの双方に十分な力を注ぐことができなかったため、マルチオンリーに絞ったというのがことの経緯だ。

 本作をプレイすると、これこそ『Titanfall』の本来あるべき姿であり、Respawnが作りたかったゲームなのだということがよく分かる。
 ロボット兵器と歩兵が混在する未来の戦場というテーマを、シングルキャンペーンで深く心に刻みつけ、マルチプレイでそのメカニックを対人戦に落とし込む。言うのは簡単だが、これは非常にハードルが高い。それを成し遂げたあたり、Respawnの開発力の高さがうかがえる。

 とりあえず…『Titanfall2』も死んだら一緒に埋めてほしいリスト入りだな。間違えて『タイタンの戦い(CLASH OF THE TITANS)』とか入れられたら怒りのあまり棺桶からニュークリアイジェクトするかもしれんけど(一人で死んでください)。




洋ゲー[2]へ   TOPへ戻る