潮騒に 足をとられて 雪女
――高橋謙次郎
夏といえば雪女ですよね。
冬はおっかない絶対零度のクールビューティーも、陽光の照りつける夏にはそのひんやり具合が好ましい。この時季を一緒に過ごしたい妖怪なら雪女一択といっても過言ではないだろう。
暑い時こそ熱いモノ食うのが美味いんだ、などとぬかすタフガイ気取りは火前坊あたりと同衾して好きなだけ汗を流せばよろしい。管理人は涼しい方がいいので雪女をリクエストさせていただく。
冗談はさておき本題だが、雪女はヒロイン系妖怪としてとてもメジャーな存在だ。昔話にとどまらず、妖怪を題材にとった作品のほとんどに顔を出している。ゲームでも忍者じゃじゃ丸くんのおゆき、ライトニングレジェンドの銀雪(しろがねゆき)、モータルコンバットのサブゼロ……は、忍者か。とにかく色々いる。
管理人もそういった作品はある程度おさえているが、最近新たなフロンティアを発見した。上でも紹介した「俳句」である。
雪女(雪女郎)は冬の季語として歳事記にも載っており、古典の時代から現代まで雪女を登場させた句は数多い。そういう意味では今更フロティアなどと騒ぐようなものではないのだが、個人的には新たな驚きですよ。
多くは雪の比喩、または冷たい女性、美しい女性の例えとして用いられているように感じるが、中には「雪女郎 イナバウアーをしてゐたり」(喜龍けん)のように、雪女の一般的イメージを逆手に取ったユーモラスなものもあったりして面白い。
やっぱり雪女萌えはスタンダードなんですねとズレた方向に納得した管理人だが、雪女という妖怪のイメージが親しみやすい方向へ変化しているのは確かだろう。上で紹介した「潮騒に〜」も、管理人の脳裏には海辺ではしゃいで転ぶ雪女が浮かんでくるんだよな。