『喧嘩番長 乙女』。2005年に第一作が出た喧嘩番長シリーズ最新作で、シリーズ初の
乙女ゲーである。（
公式サイト）
なぜ女性向け恋愛ゲームに食指を動かしているかというと、主人公である女の子が男装美少女だから。もう一度言います。主人公の女の子は男装美少女です。念のためもう一度言うね？ 主人公のこの子はぁーー男装のぉーー 女の子でぇーーーーっす！！ フゥーーーーー！！！（蛮族の踊り）
中山ひなこ（偽名：鬼ヶ島ひかる）
ハシャぎすぎ？ うん、すまんね。つい嬉しくて。単に男装というだけならここまで躍り上がったりはしないが、これ、舞台が不良が集まるヤンキー高校なのよ。
主人公はのっぴきならぬ事情により男装してこの高校に通うことになり、腕自慢の荒くれどもと時には拳で語り、時には友情を深め、最終的には恋愛関係にまで発展するという次第。学園アウトロー＋男装ヒロインとか管理人の経絡秘孔を狙い撃ちしてるとしか思えない。そりゃ蛮族風に喜びのダンスもしますわな。
男装シチュについては過去にも長文で語ったが（→
）、一番キュンキュンするポイントは本人と周囲の葛藤だと管理人は考えている。本作はプレイヤーが男装ヒロインとなって周囲の男たちに可愛さを振りまき、ドキドキさせたりムラムラさせたりして手玉に取るわけですよ。ワーオ、超楽しそうですね。いやマジで。
実際のシステムだと「話しかける」「メンチを切る」「喧嘩バトル」でコミュニケーションしていくようだ。メンチを切る場合は表情を選べるようだが…
恋する乙女の顔！ よーーし可愛いぞぉーーー！ 男だと思い込んでいてもこれなら揺らいじゃうねってくらいには可愛いよなぁオイ！ テンション上がってきたぞオラァ！
思春期の男子ってのはギャルゲーヒロインよりもチョロい生き物なので、こんな可愛いカオでちょっかい出してやればすぐグラグラするんじゃないでしょうか。
キャラによっては「こいつ（主人公）は男」という心理プロテクトの固い奴もいるかもしれないが、そこは女子力の見せ所だろう。こっちのことを親友と思っている奴を惑わして「くそっ、なんでアイツの顔見るとドキドキするんだ！？ 俺はホモだったのか！？」と葛藤させてほくそ笑んだりできるかもよ？
また逆に、チャラいおバカ男子だと思っていた奴の頼りがいある一面を発見し、こっちがドキっとしちゃったり？ そういう繊細な心の動きも乙女ゲーなら描けるだろう。
そこへ行くと男性向け作品の男装ヒロインはどうも即物的なんだよな。パッと見で「いやどっからどう見ても女だろ？」というくらい男装がおざなりだったり、男装バレも風呂場で鉢合わせになるとか言い訳不可能な状況に追い込むケースが多い。
そこまで行っちゃったらさ、もう後が続かないじゃん。「アイツやっぱり女なんじゃ…？ いやまさかな…。あー気になる！ いっそ聞いちゃうか！？ カマかけるか！？」みたいな駆け引きの面白さも出せないし。
昔の遊郭だって、遊女と押したり引いたりの駆け引きの遊びがメインだったわけでしょ。いきなり結論はどうなんだと詰め寄るような無粋はしないでしょ？
「オッパイ揉ませれ！」
「いやどす！」
「よし！ 帰る！」
じゃあ遊びにならないわけでね。男装ヒロインも、その恋愛対象になる男のほうも、大いに葛藤してもらいたいわけですよ。
（男装がバレちゃうかもしれない！でも好きって気持ちは止められない！）
（男友達なのに妙に可愛くてドキドキしちまう！俺はホモじゃないのに！）
時には気持ちがすれ違ってギクシャクしたり！ なんだかんだで友情が深まったり！ そのせいでますます恋愛成就が遠ざかったり！ そんな感じに甘酸っぱくなーれ☆って管理人はいつも思ってます。
公式サイトのギャラリー見る限りだと、そのへん結構期待できそうな雰囲気がある。
なに？ 両方男の格好だとホモっぽくて嫌？ お前ナメてんのか？
男装がそうホイホイ解けるワケねーだろうが！！ 男装して学校通ってんだから下手にバレたら社会的に死ぬって分かってんのか？ イベント会場でコスプレしてんのとはワケが違うんだよコラァ！
学ランをビシっと着こなした上で、それでもにじみ出る女っぽさ！ 女の子なのにカッコいい！ 男装なのに色っぽい！ そうあってこそ男装の麗人だろうが！
…と、いうようなことを過去に書きました。ま、若気の至りというやつでお恥ずかしい限りです。
ただ、男装の麗人にかける思いは今もそう変わっておりません。男装少女にとって男装とはいわば鎧のようなもの。重く窮屈だけど身を守るため不可欠な装いです。言うまでもありませんが、好きで男装しているのは“コスプレ”であり、意識してないけど自然に男の子っぽくなるのは“ボーイッシュ”で、それぞれ男装の麗人とは異なるジャンルです。
男の格好なんて本当はしたくない。普通に女の子として生活したいけど、複雑な事情がそれを許さない。男装という鎧に押し込められ、それでも時おり隙間からのぞく乙女らしさ。男装の麗人の魅力とはそういうところにあるのではないでしょうか。
では、どんな時にその鎧に隙間ができるか？ 言うまでもなく、それは“恋”に他なりません。恋する乙女の秘めた――否、秘めきれぬ想いが視線、表情、仕草、言葉、立ち居振る舞いに現れ、社会的に演じている“男”という役柄にほころびを生じさせる。その役柄が、例えば中性的な美少年という風に様になっていればいるほど、その脆さ、危うさがひとつの愛らしさにつながるわけです。
誤解のないよう言っておきますが、決して男装ヒロインが女の子の格好をするのを否定するわけではありません。それはここぞという時の必殺技のようなもので、気軽にほいほい出すべきではないというだけのことです。
たとえば休日に女の子の格好でこっそり街に出かけた時、あるいは文化祭の出し物で“女装”させられた時に、その姿を意中の男の子に見られてしまう。そういう際どいシチュエーションも男装ヒロインならではの魅力でしょう。女の子であることがバレないかとヒヤヒヤしつつ、でも心のどこかで男装していない素の自分を見てほしいとも思う、そんな乙女心が発揮される一大イベントとなるはずです。
ここで相手の男の子が
「お前って女装似合わねーな！ ガハハ！」なんてぬかしやしがったらパンチしても構いません。怒りと哀しみの乙女ぱんちは相手だけでなく自分のハートも傷つけるでしょうが、そんな痛みを乗り越えながら男装ヒロインの恋路は続いていくのです。
…というわけで、男装ヒロインという観点からこの『喧嘩番長 乙女』はとても気になるタイトルである。
ただ、見逃せないマイナス要素もある。登場する男衆がちっとも不良っぽくないという点だ。上記の画像を見ても分かる通り、爽やかイケメン君ばっかりである。体つきもほっそいし、とても喧嘩が強そうには見えない。
まぁ乙女ゲーなのだからイケメン中心になるのは当然だが、格好だけでももう少しワルそうとかチャラそうにできなかったのだろうか。不良はカッコが第一だろうが？ なんだお前ら、今はやりのマイルドヤンキーか。
一人くらいは「不良っぽくない不良」キャラがいてもいいが、どうもこのキャラデザ担当者は不良への…というかアウトローへのこだわりが無さすぎる気がする。こんなお上品な殿方を並べて「県内の猛者が集まる不良学園」とか言われてもちょっとな…。『クローズ』の鈴蘭男子校と比べると猛獣の檻とペットショップくらいの差があるぞ。
前作『喧嘩番長６』にはこんな堂に入った不良キャラがいたのに。
（注：高校２年生）
なに？ こんなオジサンと恋愛なんかしたくない？ あ、ハイ。ごもっともですな。管理人は門外漢だし、あれこれケチつけるんじゃなくて黙って見守ろうと思います。
そんなわけでVita持ってる人は購入を考えてみてはいかがかな。具体的には男装ヒロイン萌えの人。もしセールスが好調だったらPS4に移植されるかもしれないし？ その際には是非とも男性ユーザーも楽しめるようキャラクリエイト（男キャラのみ）とか付けてくれるとありがたいなぁ。
追記：
あとあれだな。女性向けゲームのイケメンキャラって、みんな女慣れしてて上から目線で「抱いてやる」みたいなのが多い気がする。こういうキャラって、同性としては今一つ感情移入しにくい。
ま、男性向けゲームの美少女キャラも媚びてるわチョロいわそのくせ処女だわで女性からすれば噴飯ものだろうし、そのへんはお互い様だろう。
でも、本作でもこちらの男装をあっさり見破って「俺の女にしてやるよ」的に迫ってくるキャラがいたらツラにグーパンチ入れちまうかもしれん。
それはさておき、「気に入らない奴は殴る」という選択肢が用意されているのは好印象だ。恋愛アドベンチャーとしては破格にバイオレンスな仕様であり、ヒロインたる中山ひなこ嬢の雄度の高さを示しているともいえる。あんな可愛い顔してるのに喧嘩強いとか惚れいちゃいそうです。
イケメン連中があの細い体で喧嘩強いって設定には釈然としないが、女の子は別ですよ。男装ヒロインはこのくらい強いくてもいいと思います。その強くて可憐な乙女が恋心に揺らぐとき、男装という身を縛る鎖が（以下略）
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