平凡な男子高校生・涼馬は異世界からやってきた王子に見初められ、不思議なテクノロジーで女に変えられてしまう。
涼馬を妻にしようと強引に迫る王子、実は兄に懸想していた涼馬の弟、その他クラスメイトも巻き込んで展開するドタバタコメディ。
性転換モノとしては主人公・涼馬の葛藤があまり描かれてないのが惜しい。王子にはたびたび肘鉄を食わせているものの、性別を変えられたことにはそこまで深刻に考えていない節がある。
ただ、涼馬の弟は非常に良い。もともと兄に対し生物として不適切な想いを抱いていたが、その兄が女になったところでリミッターが外れ気味になり(真性のホモではないようだ)、煩悶の度を深めつつ「兄貴は俺が守る!」と王子といがみ合う役どころである。
女体化した主人公の周辺を彩るサブキャラとしてまことに正しい。この他にも涼馬のクラスメイトである男子連中なども期待を裏切らない反応を見せてくれるあたり、作者は実にワカっていると思う。
軽いタッチでさくっと読めるのが魅力ではあるが、舞台が半分ファンタジーなんだからもっと悪党と怪物が出てきてもいいのにというのは管理人の我がままだろうか。だろうな。
・問題ないね!? ヒデユキくん(滝沢ひろゆき/単行本・松文館→ぶんか社)
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