洋ゲー[2]へ  
14.12/31 その218
Shadow of Mordor――世紀末復讐者伝説




 皆、オークは好きか?
 管理人は好きだ。嫁にしたいとは思わないが、ファンタジー版モヒカン悪党のポジションとして愛しさを感じるし、アクションものにおいて悪党がイキイキしているとこっちまでテンション上がってくる。
 最近はオークに焦点を当てたゲームもかなり目に付くようになったので、管理人が知る範囲でいくつか挙げてみよう。



Orcs Must Die!

オークの群れをトラップで虐殺しまくる、アクション要素高めのタワーディフェンス…だったが、3作目『Orcs Must Die!Unchained』ではMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)に路線変更した。





Of Orcs and Men

マッチョ巨漢のオークと小柄なゴブリンのコンビが人間たちの帝国に立ち向かうアクションゲーム。相方のゴブリン「Styx」を主人公にしたステルスアクション『Styx:Master of Shadows』もリリースされた。






Orc Attack:
Flatulent Rebellion


環境を汚染する人間たちにオークたちが立ち上がる4人Coop可能なアクションゲーム。腕力のみならずゲップやオナラも武器にするというヘンテコさも特色。



JKとオーク兵団
〜悪豚鬼に凌虐された聖女学園〜


ノーコメント。










 とまぁ色々あるわけだが、オーク好きのためのオークゲーとしては上記作品はほぼ過去のものとなったといっていい。現在のオークゲー決定版は『シャドウ・オブ・モルドール』だ。





(日本語版公式サイト)



 以前の雑文でも述べたが「指輪物語」の世界観をベースにしたオープンワールドアクションで、妻子もろとも殺害されながら蘇ったレンジャー「タリオン」を主人公にした復讐の物語だ。
 舞台となるモルドールは指輪物語の邪悪の根源とされる冥王サウロンの支配地であり、そのせいかどこもかしこもオークだらけ。エルフやホビットといった種族の出番はゼロに等しく、人間といえばオークたちに使役されいたぶられる奴隷がほとんどという荒涼たる世界である。この荒みっぷりはファンタジーというより世紀末荒野に近い。ぶっちゃけ指輪物語ファンより北斗の拳ファンの方がすんなり入っていけるんではとすら思う。

 なお本作のオークは厳密には“ウルク”と呼ばれる上位種なのだが、どいつもこいつも邪悪で野蛮で残忍で、悪役としての魅力にあふれている。






 これはほんの一部に過ぎないが、どいつもこいつも悪カッコ良くてキュンキュンしますね。こんな連中と派手にバトルできるってだけでもう血が沸き立ってきますよ。
 ちなみに上の奴らが強そうなのは小隊長以上の幹部級だからで、普通のザコオークはもっと雑兵チックな格好をしている。ただしプレイヤーがそういうザコに負けたりすると、そのオークは小隊長に昇格して「名前」と「二つ名」を持ち、装備もカッコ良くなる。





 で、小隊長クラスになるとプレイヤーと戦った時のことを逐一覚えてるわけですよ。主人公のタリオンは呪いによって死んでも蘇る(というか死なない)ので自分を殺したオークとまた顔を合わせるわけだが、「殺したはずなのに、どうなってんだ?」とか「また蘇ってきたか! 何度でも殺してやるぜ!」という具合にちゃんとリアクションしてくれる。







 いかがでしょう。恋愛ゲームのヒロインばりにコチラのことを深く想っている様子が見て取れますね。ブチ殺すモチベーションがモリモリ湧いてきますよ。

 「小隊長の昇格」や「記憶の保持」は戦略的に大きな意味があるわけではないが、個々の敵キャラにこういう形で個性をもたせているのは面白い。リベンジする意欲が増すし、また自分を倒したやつがどんどん出世していくと「あの野郎、頑張ってるじゃねぇか」と敵愾心と嬉しさがない交ぜになった複雑な気分になる。
 本作は基本的に戦闘を繰り返すゲームであり、「オークを殺す」「オークを脅す」「オークを洗脳する」以外に何もないと言ってもいいくらいオーク尽くしのオークゲーなのだが、それが単調にならないだけの深みを与えている。

 なお戦闘システムはBatman:Arkhamシリーズまんまだが、ダウンした敵にトドメを刺したりステルスで仕留めたりする際のするアクションはかなり残虐です。倒した敵の胸に短剣を刺してから、柄に思いっきり拳を振り下ろして突き入れたり、顔の真ん中に剣を突き立ててから首を斬り飛ばしたりする。本作のオークは見るからにゴツくてタフそうな奴ばっかだが、それでも「こりゃ死ぬわな」ってくらい念入りに殺している。




 ステルスキルでも派手にズドブシャア!ってやるので、効果音で気付かれないか毎回心配になります。
 一方で、「見せしめ」という周囲の注意をひきつけるステルスキルもある。どんなものかというと、何度もザクザク斬ったり刺したりして悲鳴を上げさせて殺すというもの。周囲の敵をひるませ、なおかつコンボ数(特殊技を出す条件)も稼げるので、敵集団を奇襲する時に重宝するのだが……超エグいよね。絶対に敵に回したくねぇよこの主人公。


 本作のジャンルは「アクションRPG」となっているが、普通に「オープンワールドのファンタジーRPG」を期待して買うと相当ガッカリすると思う。オープンワールドではあってもお世辞にも広いとはいえないし、景色といえば岩だらけの荒地ばかりで美しい風景はほとんどない(終盤で少しマシになるが)。多彩なNPCとやり取りする要素もないし、アイテムも謎解きももない。
 だが、管理人のようにひたすら戦闘だけやっていたいというタイプには理想的なゲームだ。そこら中に敵があふれているから、いつどこで斬り合いを始めてもまったく問題ない。巡回中の小グループ、焚き火を囲んで談笑している集団、奴隷をいじめている監視役、砦にたむろする大集団、全部片っ端から殺していい。
 またオークは他の小隊長と決闘したり、手下の士気を上げる為に宴を開いたり狩りを行ったりと特殊なイベントを頻繁に開いているので、そこに横槍を入れるのもいい。宴の酒樽に毒を入れて同士討ちさせたり、狩りを邪魔して小隊長が獣に食われるのを眺めるのもいい。自分で手を下すのとは別の暗い悦びを感じる。
 実際、これらのイベントが頻繁にポップアップするので「今度はあっちの決闘を邪魔しに行こう」とか「宴を開いてるから皆殺しにしよう」という具合に、なかなかやめ時を見つけにくい。
 とにかく敵を始末するという点おいては底抜けにフリーダムだ。ここまで戦闘に特化したオープンワールドゲームは稀有ではないだろうか。このまずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとオーク達と戦い続けていたいという気持ちになってくる。


 …とまぁベタ褒めしてきたが、不満点もないではない。特に残念だったのは、オークを洗脳し味方につける能力<ブランド(烙印)>が終盤にならないと使えないこと。ザコ同士で同士討ちさせたり、小隊長に裏切りを指示したりといった遊び方はずっとおあずけを食う形になる。
 ただ、この能力が使えるようになるとプレイスタイルもガラっと変わるんだよな。ザコ相手の乱戦でも洗脳して手勢を増やした方が有利だし、小隊長もなるべく殺さずに手下につけるような戦法になる。これはこれでもちろん楽しいのだが、バリエーション豊かな「処刑」アクションを堪能するためにも、また物語的にも、最初は「ひたすら殺しまくる」というプレイが必要だろう。タリオンにとってオークは仇敵である<黒の手>の配下であり、何度殺しても飽き足らない相手だ。経験値を得る必要もあるし、とりあえずは死んでもらわねばなるまい。
 ありがたいことに日本語版でも規制無しという仕様なので、まずは斬り合ったりステルスキルったりしてその恩恵を噛みしめたい。その過程で逆に殺られ、そして復讐を果たすという悦びに浸る。本作の核となる面白さはそこではないかと思う。

 すでに膨大な数のオークをあの世に送ってきたが、まだ全然飽きないのでしばらくはモルドールに入り浸ろうと思います。
 死んでいった全てのオークたちに胸いっぱいの感謝をこめて。



追記:
 今回の出だしで画像のみ紹介した「JKとオーク兵団」だが、日本におけるオークの立ち居地を如実に表している。ただ、オークとエロを結びつける発想が海外に無いわけではないようだ。あれこれ検索していたところ、洋書でこんなものが見つかった。




 ……うん、なるほどね。マッチョならそっち方面だよね。分かった分かった。もう何も言わなくていいから。やっぱ管理人はオーク×エルフみたいなのでいいや。無邪気なエルフ少女に懐かれてなし崩し的に一緒に冒険に出るオーク兄貴みたいな話でいいです。






洋ゲー[2]へ   TOPへ戻る