男子の三大欲求をオープンワールドに山盛り詰め込んだ世紀末アクションゲーム『MAD MAX』をプレイしておりま……なに、三大欲求のエロが抜けてるって? 実際無いんだから仕方ないだろ。映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ではイモータン・ジョーの子産み女(ワイブス)が繊細な美と健康的な色気を提供していたが、ゲーム版は目の保養とかそういう要素はないからね。
キレイめのおネーちゃんもいないことはないけど(→■)チョイ役だし、基本的には世紀末荒野に適応した悪党と荒くれと狂人がほとんどを占めている。ある意味マッドマックスらしいともいえるが、洋ゲーのオープンワールドゲームって基本そんな感じだよね。ていうか狂人は固定枠だろ完全に。多くのゲームで大抵一人は独自の世界観を展開しているマッド野郎がいる感じなんだけど。
で、本作の面白狂人枠がこちら↓
マックスの相棒を務める“チャムバケット”さん。
ブラックフィンガーと呼ばれる腕利きのメカニックでありつつ『自動車のメカニズムを拠り所とする独自の奇妙な信仰を持ち、自らをその預言者と信じ込んでいる』(ゲーム内設定集より)という多分にイカれたおじさんである。なお彼に言わせればマックスは「神から遣わされた聖なる使徒」だそうで、共に神の使命――究極の世紀末マシンを完成させる――を果たす相棒ということになっている(あくまでチャム視点です)。
和ゲーなら高確率で美少女がおさまるポジションに平然と狂人がキャスティングされていることに今更ながら戦慄するが、マシンの修理や整備だけでなく様々な用途に使用するハープーンの射撃もこなすあたり、有能なのは間違いない。冗談抜きに彼なしではゲームが成り立たないくらいの重要な相棒で、そのせいもあってか一部ではヒロイン扱いされている。
カラス@ご注文はうなぎです @Raven48K
今作のヒロイン(?)のチャム、マックスが出る時には着いてきて、炎上して走行不可能になった車も短時間で直すスーパーメカニック、こいつもしっかり頭はおかしい、でもだんだん可愛らしくみえてくることがないこともない。
おりゅんりゅん! @luneaunl
ゲーム版マッドマックスのヒロインはチャム。異論は認めない
じょん @John__Vt
Mad Max
第1幕クリア。
些か地味に思えるゲーム性だが、それなりには楽しめそう。
物語のヒロインたる存在が世紀末おじいさんなところがまたそれらしくて良いと思う。
チャムという名前を聞くとこの人物よりオーラちからの方が先に脳裏に浮かぶ
ヒロインの定義について問いただしたくなるが、よく考えるとマックスとチャムの関係はラノベなどに見られる「ちょっと痛いヒロインに付きまとわれるやれやれ系主人公」と似ていなくもない。
さらに言えばチャムの「自身の妄想をもとに一方的な関係を押し付ける」という行為は重篤な中二病患者のそれと同じであり、昨今ではそういう気質の美少女キャラクターも珍しくないことを思えば、チャムバケットも美少女ヒロインとそう変わらないと言えるのではないか。
こうして並べてみるとそんなに変わらないよね。むしろチャムの方が可愛くね? とすら思えてくる。
冗談はこれくらいにしてゲーム本編の話に入ろう。
『MADMAX』はご存知世紀末爆走映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の前日譚にあたるゲームだ。といっても映画のキャラクターはほとんど出てこないので(マックスもトム・ハーディーとは全然似ていない)、ストレートに映画のファンに訴えかけるものではないが、「荒れ果てた大地を武装したマシンで爆走する」という映画の根幹部分を自分でプレイできる意義は大きい。
特に敵の輸送車列を襲撃するのは本作ならではのシチュエーションだ。随行する護衛車両のケツにニトロブーストで突っ込んで弾き飛ばしたり、ハープーンでタイヤを引っこ抜いて無力化したりする。時には敵がこっちの車に飛び乗ってきたりするけど、そういう時はショットガンの出番です。
移動中でも車列を発見するとムラムラと闘争欲が湧いてきて、モヒカン的歓声を上げつつ襲いかかるのがこのゲームの日常である。敵を追いまわしているうちに、「俺はどこに行こうとしてたんだっけ?」という疑問すら彼方にすっ飛んで行く。
この荒々しいカーコンバットが一番の特色だが、それと並ぶもうひとつの柱が格闘バトルである。
ゲームでは荒野に点在する敵拠点を順次潰していくことになるが、ここではマックスが単身乗り込んで敵を壊滅させることになる。主に殴り合いで。
邪魔する奴は全力グーパンチでダウンです。
システム的にはバットマン:アーカムシリーズのそれとほぼ同じだが、演出的には泥臭く野蛮な喧嘩ファイトを貫いており、荒んだ世界によく馴染む。最近パンチやキックでボコるゲーム少ないよな…と嘆いていた人にはお薦めだ。時にはショットガンや映画でお馴染みのサンダースティックも使うけど、基本は殴り合いです。
要するに本作は拳骨でガッツンガッツン殴り合ったり車でガッツンガッツンぶつけ合ったりするゲームというわけで、ブッ殺したりカッ飛ばしたりするのが好きな人ならきっと楽しめるだろう。
ここまでの書きぶりだとすごく面白いゲームのように聞こえるだろうが、実際はいくつか惜しい点があったりする。
まず、ゲームプレイの大半が「スクラップ集め」という作業に追われること。車のチューンナップやマックスのスキル習得はこのスクラップを消費して行うため、敵の居住地を家探ししたり、車の残骸などからコツコツ集めねばならない。
またゲームプレイの肝となる敵拠点の攻略も、出てくる敵を順次倒していくというリニアな方式であり、変化に乏しい。
「とにかく片っ端からブン殴る」という男らしさは評価してもいいが、問題は「オイルポンプの破壊」または「全ての燃料タンクの破壊」がクリア目標になっている点だ。特に後者は拠点が無駄に入り組んでいることもあって、面倒くささが先にたつ。敵を全滅させた後、無人の拠点内でタンクを探してウロウロするのは正直言って楽しくはない。
売りである格闘にしても、本家バットマンのようにコンボをつなげる爽快感はないし、多彩なガジェットがあるわけでもない。あちらと違って殺す気マンマンの格闘は見ていて気持ちいいが、ゲームの面白さとしては2段くらい落ちるというのが正直な感想だ。
例えばの話、ステルスプレイも許容するくらい攻略に幅があれば、また違った評価になっていただろう。マッドマックスらしさという点では疑問符がつくかもしれないが…。
ついでに言うと、初期は「全体マップが開けなくなる」という、ゲーム進行に深刻な影響を与えるバグがあった。Amazonレビューで☆1がついているものの大半はこの点を指摘している。
セーブデータが複数作れるので随時バックアップを取っておくという手段もあるが、メニュー画面のセーブ項目も表示がバグっていて新規セーブできないという面白仕様。いい加減にしろと言いたくなった。
ただ幸いにも先日パッチが配信され、新規セーブもちゃんとできるようになった。なので、バグ関係はひとまず安心していいと思う。
いろいろ難点はあるのだが、映画の世界観が好きならそれなりに楽しめるゲームではある。なんだかんだでウォーボーイズと殴り合う戦闘は中毒性があるし、細かいコーナリングなどを考えずにすむカーコンバットも楽しい。スクラップ集めは面倒だが、マックスの協力者たちの「砦」を強化していけばかなり軽減できる。
それに何より、暴力的な格闘アクションと暴力的なカーコンバットを兼ね備えたゲームとしては、現状これ以上のものはないだろう。もし今後DLCとして、体力が続く限り敵と戦い続けるモードと燃料が続く限りカーチェイスできるモードが追加されれば、管理人にとって絶対手離せないゲームになるのは間違いない。
まぁ現状でも大好きなんですけどね。練り込みが足りないとはいえ独自の魅力は出せているし、その魅力がバイオレンス方向に突き出ているので、管理人としてはこのゲームに生まれてきてありがとうと言いたい。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のBDも当然買ったし、映画とゲームを合わせて楽しめる至福を味わおうと思います。V8!(例のポーズ)
追記:
今回の雑文タイトルは、本作の体力回復ツールにウジ虫が採用されていることに由来する。
PVをチェックしていた人は知っていると思うが、死体に湧いたウジ虫を手づかみでムシャムシャ食う。れっきとした人間が主人公のゲームで、これほど衝撃的な体力回復シーンはちょっと他に思い当たらない。
深見 真 @fukamimakoto
マッドマックスのゲーム版。プレイ中に、主人公マックスが体力回復のためにいきなり死体の肉を食べ始めたんで、「おいおい大丈夫かこのゲーム」と思ったんですが、よく見たら死体にわいたウジ虫を食べているだけだったので一安心。トロフィーももらえた。
これほどまでに世界の終わりを感じさせるフードもそうはあるまい。『Fallout3』ではラッドローチ――放射能汚染された巨大ゴキブリの肉を食うハメになったが、個人的には採食するビジュアルが用意されている分、MADMAXの方に終末感を覚える。
…まぁイタリアではウジの湧いたチーズ(カース・マルツゥ)を珍味として食する文化があるし、次世代の食糧資源として昆虫は有望視されてもいる。2013年の記事だが、オーストラリアで「食用ウジ虫の養殖キット」なんてのも造られたそうだ。
食用ウジ虫養殖キット「Farm 432」 − ウジ虫は高タンパクで高カルシウム
上記ページの調理例「ウジ虫を使ったトマトリゾット」はなんとか食えなくもないと思うが、生食はさすがに厳しいな…。まぁゲームじゃそんなの関係なく頂きますけどね。瀕死状態の時にウジの湧いた死体見つけたら大喜びでご馳走になりますよ。
ただ、「砦」の強化要素としても「ウジ虫養殖セット」が用意されているのはちょっと文句を言いたい。マックスの体力を全快にしてくれるありがたい設備なんだが、一応はコストかけて作ってるんだし、もうちょっといいもん食おうぜ…。スクラップ必要ならいくらでも集めてくるからさ…。
洋ゲー[2]へ TOPへ戻る
上記ページの調理例「ウジ虫を使ったトマトリゾット」はなんとか食えなくもないと思うが、生食はさすがに厳しいな…。まぁゲームじゃそんなの関係なく頂きますけどね。瀕死状態の時にウジの湧いた死体見つけたら大喜びでご馳走になりますよ。
ただ、「砦」の強化要素としても「ウジ虫養殖セット」が用意されているのはちょっと文句を言いたい。マックスの体力を全快にしてくれるありがたい設備なんだが、一応はコストかけて作ってるんだし、もうちょっといいもん食おうぜ…。スクラップ必要ならいくらでも集めてくるからさ…。
※過去のマッドマックス更新
雑文その230・男の乳首は贅沢品――マッドマックス 怒りのデス・ロード
雑文その229・愛・おぼえていますか――マッドマックス 怒りのデス・ロード
雑文その228・兇獣は荒野を奔る――マッドマックス 怒りのデス・ロード
※過去のオープンワールド更新
雑文その225・夏色パルクール★青春白書〜昼は狩れ。夜は祈れ〜
雑文その219・Shadow of Mordor――モルドール成り上がり伝説
雑文その218・Shadow of Mordor――世紀末復讐者伝説
雑文その198・バットマン:アーカム・ビギンズ――全部若気の至りです
雑文その181・Sleeping Dogs:香港秘密警察――孤独で凶暴な犬の箱庭
雑文その164・Batman:Arkham City――俺の拳骨がゴッサムを救う
雑文その131・Red Dead Redemption――もうずっと荒野でいいや
雑文その129・Red Dead Redemption――愛は荒野の彼方に
雑文その95・Red Faction:Guerrilla――デストロイ・オール・EDF!!
雑文その62・FALLOUT3――世紀末悪党伝説はじまるよー☆
雑文その61・FALLOUT3――ひとりで殺れるもん
雑文その230・男の乳首は贅沢品――マッドマックス 怒りのデス・ロード
雑文その229・愛・おぼえていますか――マッドマックス 怒りのデス・ロード
雑文その228・兇獣は荒野を奔る――マッドマックス 怒りのデス・ロード
※過去のオープンワールド更新
雑文その225・夏色パルクール★青春白書〜昼は狩れ。夜は祈れ〜
雑文その219・Shadow of Mordor――モルドール成り上がり伝説
雑文その218・Shadow of Mordor――世紀末復讐者伝説
雑文その198・バットマン:アーカム・ビギンズ――全部若気の至りです
雑文その181・Sleeping Dogs:香港秘密警察――孤独で凶暴な犬の箱庭
雑文その164・Batman:Arkham City――俺の拳骨がゴッサムを救う
雑文その131・Red Dead Redemption――もうずっと荒野でいいや
雑文その129・Red Dead Redemption――愛は荒野の彼方に
雑文その95・Red Faction:Guerrilla――デストロイ・オール・EDF!!
雑文その62・FALLOUT3――世紀末悪党伝説はじまるよー☆
雑文その61・FALLOUT3――ひとりで殺れるもん
洋ゲー[2]へ TOPへ戻る