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17.01/07 その249
Battlefield1――中間地帯(ノーマンズランド)で会いましょう





アメリカ兵など恐れるに足りない。所詮は、剣と弓で戦うおとぎ話の戦争しか知らない、何も知らないひよっこどもだ。
火と煙に覆われ、タイヤとエンジンが唸りをあげ、そして榴弾に引き裂かれ、毒ガスに喉を焼かれる戦争など、連中は知りもしないだろう。
この塹壕を掘る時、俺たちが掘ったのは人の手足や頭がい骨やヘルメット、激しい殺し合いの名残りを含む土だ。
連中もすぐに現実を思い知ることだろう。

――Battlefield1 オペレーション『地獄の制圧』
ドイツ軍兵士のモノローグ



 やっぱりドイツ軍は凄味が違うぜ…。WW1のドイツ軍を使う機会はこれが初めてなわけだが、不思議と「アイツらが帰ってきた」感があるね。やっぱりFPSの悪役はドイツじゃないとな!

 さておき、昨年はFPSの当たり年といえるほど話題作が多かった。管理人も地獄の底から宇宙の果てまで方々で戦争に明け暮れていたわけだが、今のところ一番時間を費やしているのは『Battlefield1』だ。
 いろいろ体験版やフリープレイのタイトルも落としてはいるのだが、まったく手を付けられない有様。今日こそはFF15の体験版やるぞ! イケメンパーティでドライブしてリア充気分を味わうんだ! と意気込んでいても、ふと気づくとこんなことになっている。





 …まぁこれも(攻撃目標までの)ドライブには違いないし、そんなに変わらないかな。BF1の兵士はわりとイケメン率高いし、もうこれが俺にとってのFF15でいいやという気になっている。
 画像の兵士はオーストリア=ハンガリー帝国軍だが、他の陣営も味があっていいなと思う。




大英帝国軍。看護兵(右から2番目)は英印兵がモデルだろう



ドイツ帝国軍。なぜか偵察兵(中央と右端)は黒人兵。アスカリ



イタリア王国軍。マント率高くてオシャレ



オスマン帝国軍。看護兵(右端)のタケノコみたいな帽子がキュート



 これらの画像は分隊の確認画面なのだが、4兵科が均等にそろうとすごく見栄えがする。自分や他の兵士のキャラモデルを観察できる機会はめったにないから、こういう演出はとてもありがたい。何よりカッコいいしね。

 上に載せていないアメリカ軍とオーストリア=ハンガリー帝国軍はそれぞれ英国・ドイツとかぶり気味なのが少々惜しいが、いずれも従来の古臭いイメージを覆す魅力あるキャラモデルだと思う。個人的な感想だが、オシャレ度でいえばFF15のイケメン達よりBF1のソルダート(イタリア語で兵隊)連中の方が上だと思います。個人的にはね。あくまで管理人個人としては。

 あとFF15にあってBF1にないものは……胸の谷間を強調する美少女整備士?くらいか。幸い戦車兵の見た目が整備士っぽいからこれで我慢するか。




ドイツ軍戦車兵。わかりづらいけどツナギ着てます



 仮面が不気味? バカ言えカッコイイだろ。これは戦闘中に破片から目を守るためだそうだが、顔が見えないってことは「実は女の子」という説も成り立つと言えなくもないわけだ。もうお色気担当はこいつでいいや(投げやり)。

 こんな感じでいろいろ精神的に脱線しつつもBF1を満喫しております。BFシリーズはBFBC(2008)からずっとやっているが、今作はすごく楽しい。時には5キル15デスでスコアはケツから2番目、みたいなことになって「ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙ん゙!!!」と転げ回りつつ煩悶したりするが、たまには「お、今の俺ちょっとカッコよくない?」的なプレイができることもある。そういうプレイはビデオクリップに撮っておいて、あとから見返してニヤニヤします。いい時代になったもんだぜ。

 今後あれこれBF1ネタを出していく予定だが、それに先立って2カ月遊び続けてきた感想をまとめておく。BF1とFF15どっちを買おうか迷っている人は参考になるだろう。
 もちろん嘘なので本気にしないように。


 (1)銃撃戦――より近くなった戦場
 (2)キャラ萌え――戦いの犬が野に放たれる
 (3)巨大兵器――差しのべられた手
 (4)コーデック――今日から使えるWW1うんちく
 まとめ――しばらくは塹壕生活でいいや




(1)銃撃戦――より近くなった戦場
 WW1が舞台というわりに「良くも悪くもいつものBF」といわれるBF1だが、微妙に変わったところもある。ひとつは交戦距離が近くなったことだ。
 前作まではアサルトライフルが近〜中距離をカバーできたし、近距離型のSMGもそれなりに中距離でも戦えたが、今作はそうもいかない。フルオート武器は弾の拡散が大きかったり発射レートが低かったりで、軒並み中距離では決定打に欠ける(百年前の銃だから仕方ないね)。
 特に攻撃の要となる「突撃兵」は基本装備がSMGかショットガンと近接特化になっており、いきおいそのサポートに回る援護兵と看護兵も戦場に近づくことになる。その結果、奪い合いの焦点となる拠点周辺には敵も味方もわらわらと集まり、集団vs集団の大規模なぶつかり合いが起きやすくなった。マップにもよるが、ドンパチの賑やかさではおおむね4より上ではないだろうか。

 これは各兵科の連携がしやすいというメリットも同時に生んでいる。周辺に味方が多いため弾薬パックや救急パック(正確には包帯ポーチ)の補給もしやすいし、蘇生してもらうチャンスも多い。おかげでラジオチャットで「ありがとう」を言う回数が増えました。ドイツ語でありがとうは「ダンケ」ですね。今の管理人ならネイティブ並みの発音で言えそうです。あと「ザニテーター(衛生兵)!」(←涙声で)も上手に真似できる自信がある。ドイツ旅行で急病になった時に使えるだろう。

 冗談はさておき、今作は弾薬や救急キットを要求するアイコンが見やすくなったこともあって野良でもそれなりに横の連携ができる(気がする)ようになった。WW1において過酷な塹壕体験を共有した兵士同士のつながりを「塹壕共同体」というそうだが、BF1でもプレイヤー(野良含む)のつながりが強化されたのは大きな進歩といえるだろう。


(2)キャラ萌え――戦いの犬が野に放たれる
 各陣営のキャラがかっこいいというのは冒頭でも書いたが、今作から登場となった3種の「エリート兵」もそれぞれ特色があって最高だ。鎧に身を包んで機関銃をブッ放す「警戒兵」、鋼鉄をも貫く対戦車ライフルを携えた「対戦車兵」、説明不要の掃除屋「火炎放射器兵」と、ゲームにメリハリをつけるだけでなくキャラクター的にも光るものがあり、BF1の世界観をさらに魅力的にしている。




このパーティーで冒険に出たい



 特に「警戒兵」は管理人が長年シリーズ登場を待ち望んでいた重装歩兵キャラであり、それだけで管理人がBF1を愛する理由になる。警戒兵になって4人連続で倒した時はテンションうなぎのぼりでしたよ。

こういうテンション



 個人的に2016年のベストゲームキャラクターは『DOOM』の主人公だが、総合でのキャラ萌えという点ではBF1がベストだ。ゲーム中に目にするキャラクター(敵も味方も)すべてが魅力的というのは大きな長所といえるだろう。
 ただ不満点もないではない。多くの人が言っていることだが、WW1で大きな役割を担ったフランス軍とロシア軍が未登場というのは不可解極まる。途中退場のロシアはともかくフランスはドイツとずっと第一線で戦ってきた主役ともいえる役どころなのに、なぜスターティングメンバーからハブられているのか。
 まぁ今後のDLCでフランス・ロシア共に参戦予定らしいので、そっちに期待しよう。他の国の使い回しとかではなくちゃんとデザインしてくれることを祈るよ。


(3)巨大兵器――差しのべられた手
 BF1は、管理人がここ数年BFシリーズに求めていた3つの願いを実現してくれた。1つ目の願いは「第一次大戦を舞台にしてほしい」というもの。2つ目の願いは「重装歩兵を出してほしい」。そして3つ目が「負けている側に救済措置がほしい」というものだ。
 1と2はロマンの範疇だが、3つ目はわりと切実な願いだった。勝率が常に5割を切り、ワンサイドゲームもしょっちゅう経験している身としては「世界はもうちょっと俺に優しくしろ」という思いが常にあった。そんな管理人の目にBF1の巨大兵器――戦場を睥睨する飛行船や轟音をたてて迫る装甲列車――が、どれほど輝いて見えたことか!




軍用飛行船「エアシップL30」。気嚢にはきっとロマン(可燃性)が詰まっている



 COD:MW2、3にはデスストリークという弱者救済措置があったが、あれは手を差し伸べるというより舌打ちしつつ手を出すフリをするような代物だった。なに? リスポンしたら7秒だけ移動速度が上がる? アホか! 三途の川の渡河時間が短くなるだけだろうが!
 このデスストリークを考案したカスは一度も最下層を味わったことがないか、真正のサディストかのどちらかに違いないと管理人は思っている。

 話がそれたが、BF1の巨大兵器はまことに頼もしい。圧倒的な火力と装甲を備えた巨獣の援軍は劣勢に追い込まれた人間を奮い立たせてくれる。
 ただし強そうに見えても、公式が強調しているほど「一発逆転のチャンス」にはなり得ていない。現状では大体200チケットくらい引き離された時点で巨大兵器が登場するが、それだけの差がつく戦力差は巨大兵器でもそうそう覆せないのが現実だ。
 だが、それでもいい。というか、だからこそいいと思う。巨大兵器が果たしている最も大きな役割は、負けている側の「萎え落ち」を防ぐことにあるからだ。全部の拠点を敵に取られているような場合でも、巨大兵器が上手く動いてくれれば多少は盛り返すことができる。自分が巨大兵器に乗ればいくらかキルを取ることもできる。
 たとえささやかな反撃であっても、ボコられている側としてはそれだけでかなり慰められるものだ。それに、逆転することが絶対ないとは言い切れないという程度には希望もある。そのくらいでちょうどいいのだ。そもそも巨大兵器でホイホイ逆転が起きたりしたら、誰も最初から真面目に戦おうとはしなくなるではないか。

 個人的にこの巨大兵器こそBF1最大の挑戦であり、他にない稀有な長所だと思うが、難点もある。3種の巨大兵器のうち、ドレッドノート(戦艦)だけ空気化していることだ。




弩級戦艦。威容に反して空気のような存在



 まず移動範囲が海上のみと限られるため、積極的に拠点占拠に絡めない。そのぶん火力は高いものの、操縦担当が前線まで動かさないとその火力もフル活用できない。勢い存在感が薄く「気が付いたら沈んでた」というケースがあまりにも多い。
 ぶっちゃけ飛行船と差し替えた方がいいくらいだが、戦艦というカテゴリはなくしてほしくないのでパッチでテコ入れしてほしいものだ。出現したら自動的にマップ中央まで移動するとか、「艦これ」にならって美少女化するとか。『Overwatch』のザリア姐さんみたいなビジュアルならしっくりくるんじゃないでしょうか。何? 文句あんの? あの人20代だからOverwatch女性陣の中では若手だし、美少女といっても別に差支えないでしょ?
 あ、飛行船を擬人化するなら美貌の貴婦人ぽい感じでお願いします。


(4)コーデック――今日から使えるWW1うんちく
 BF1について「WW1っぽくない」という批判は少なくない。だがゲーム的な割り切りを別にすれば、本作のWW1への入れ込みは相当なものだ。マイナーな銃や兵器を揃えている点もそうだが、「コーデック」というWW1のうんちく記事がやたら豊富で読みごたえがある。
 管理人がFPS・TPSをはじめとする洋ゲーアクションに親しんでいるのはそのキャラクターや世界観(戦場や暗黒街)が大好きだからだが、その意味でBF1における「第一次世界大戦」も同様に管理人好みだ。コーデックはその魅力――史実に裏打ちされた芳醇なバックボーン――を伝えてくれる。




エースパイロットのモテっぷりを解説するコーデック



 アンロック条件にはキャンペーンで「全ての○○を収集」という面倒な作業を強いられるものも多々あるが、ロード画面中のヒントにも省略版がちょいちょい出てくるので、普通にプレイしていても豆知識ていどのうんちくは得られる。ロード中の退屈さを軽減する手法としてはなかなか悪くない。少なくともサルにお手玉させるよりよっぽどいいな。

 2014年にUBIが出したADV『Valiant Hearts The Great War』もこの種のうんちくが豊富にあったが、さすがに銃器・兵器類の情報はBF1が圧倒的だ。塹壕戦だけではなかった戦場の様相、ボルトアクションライフルだけではなかった歩兵火器など、第一次大戦が驚くほど多面的で、驚異的な変容を遂げた戦争だったことが見て取れる。

 管理人もBF1を機にWW1関連の本や映画に触れるようになったわけで、ミリタリー趣味の幅を広げてくれたことにも感謝したい。


まとめ――しばらくは塹壕生活でいいや
 シングルキャンペーンについては惜しいというか不満点の方が多く目に付いたBF1だが、マルチに関しては申し分ない傑作だといえる。控えめに言ってここ数年のBFシリーズでは一番の出来ではないだろうか。
 もちろん欠点もある。以前から一向に改善される見込みがないが――兵士・ビークルの装備カスタマイズが不親切すぎる。ちょっと前のパッチでタイトルメニューから兵士の装備変更は可能になったが、ビークル関連は未だに試合中でないとアンロックもカスタマイズもできない。それも自分がパイロットとして出撃可能でないとできないという有様だ。
 公式アプリ『Battlefield Companion』からならいつでも変更できるが、これを選択すると装備類がデフォルト状態に戻ってしまうという謎の不具合が存在する。一体どこのマヌケがこんな仕様にしたのか、スプリンターセル・コンヴィクション方式で問い詰めたいところだ(→)。
 まぁBF4の時のようにゲームに深刻な影響をあたえるものではないし、全体的には破綻なくまとまっている。各兵科の武器も飛びぬけて強すぎるものや産廃呼ばわりされる死に武器もないし、マップの出来も悪くない。一部にやたらワンサイドゲームになりやすいものがあるがな。具体的にはスエズ。

 何もかも完璧とはいかないが、100点満点で80点以上は付けられる出来なのは間違いないだろう。キャラ萌えなど管理人個人の好みを加点すれば110点くらいにはなる。遊びたいゲームは他にも色々ありはするが、もうしばらくは塹壕暮らしでいいや、と思うほどには惚れ込んでいる。
 ちなみにEAのえらいひと曰く、2017年は『Star Wars Battlefront』に注力するためBFの新作はしばらく出さないとのこと。いいことだと思います。BF4やBF3もいまだに遊んでいる人がいるわけだし、2年に1度くらい出れば十分だと思う。…BFHはそっぽ向かれたけどな…(これは何度でも繰り返すが、管理人はBFHは独自の魅力ある良作だと思っている)。

 BF1は今後DLCも続々出るだろうし、長く遊べるFPSになると思う。またナンバリングに「1」を冠していることだし、これを機に日本でも今以上にプレイヤーが増えてくれればと思う。基本は泥臭い歩兵戦のゲームだが、戦車を乗り回してガールズ&パンツァー気分を味わったり、戦闘機で飛び回ってストライクウィッチーズ気分になったり、魚雷艇やドレッドノートに乗って艦これ気分を味わったりと、多彩な楽しみ方ができるのもこのシリーズの魅力だ。本当だよ。嘘は言ってないよ。あくまでも主観だけど。
 じゃあ塹壕に戻るんであとよろしく。