12.04/15 その168 アメコミのススメ――『ウォーキング・デッド』


無念 Name としあき 12/02/26(日)21:55:17 No.104149844 del
  ヴィレッジのリツイートより
  ・みんな… そんなにゾンビが好きか!? RT @villagebooks_PR: 大好評につき『マーベルゾ
  ンビーズ』まさかの重版決定!!
3月上旬出来となりますので、少々お待ちください!


無念 Name としあき 12/02/26(日)21:57:47 No.104150399 del
  >大好評につき『マーベルゾンビーズ』まさかの重版決定!!3月上旬出来となりますの
  で、少々お待ちください!


  ゾンビーズ売れてるんだな

無念 Name としあき 12/02/26(日)21:58:36 No.104150605 del
  >ゾンビーズ売れてるんだな
  意外性というかそんな感じで
  普段アメコミ読まないような層にもウケてる?みたいだ

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:29:35 No.104158560 del
  ゾンビーズ読んでたんだけど
  うん、なんだな、ちょっと読んだの後悔した

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:30:23 No.104158780 del
  >うん、なんだな、ちょっと読んだの後悔した
  た、例えば・・・?

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:32:58 No.104159436 del
  >た、例えば・・・?
  やっぱヒーローたちのあんな姿見たくなかったなあって感じ
  酷い言い方だと悪趣味な同人読んじゃった時の気分

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:36:52 No.104160490 del
  グロ耐性とかはいるけど
  著名キャラ大量出演でアメコミ初心者にも嬉しいゾンビーズ
  ギャラクタスって案外小さかったのね

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:40:18 No.104161391 del
  >やっぱヒーローたちのあんな姿見たくなかったなあって感じ
  >酷い言い方だと悪趣味な同人読んじゃった時の気分

  それは確かにわかるなぁ
  別アースでパロディみたいな物だと理解してても
  好きなヒーローが人肉貪ってたり共食いするのを見るのは辛いものはあるね

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:41:54 No.104161803 del
  プリキュアゾンビーズってのが出たらキツイだろうしな

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:45:59 No.104162909 del
  >>プリキュアゾンビーズってのが出たらキツイだろうしな
  >せめてライダーゾンビーズとかで許してもらえませんかね

  そう考えると向こうのファンは寛大だな
  普通なら幾らパラレルでもシリーズファンとかブチ切れるわこれ

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:47:24 No.104163275 del
  >そう考えると向こうのファンは寛大だな
  寛大というより単にゾンビが好きなんじゃねーかなあいつら

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:48:25 No.104163556 del
  >そう考えると向こうのファンは寛大だな
  対象年齢からぜんぜん違う

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:48:28 No.104163572 del
  >普通なら幾らパラレルでもシリーズファンとかブチ切れるわこれ
  存外ブチ切れてるんだぜこれ
  まぁジョークとして受け取った層とやはりゾンビ信奉の層は厚かったってだけの話で

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:55:11 No.104165286
  >まぁジョークとして受け取った層とやはりゾンビ信奉の層は厚かったってだけの話で
  ああ日本人がキン肉マンや戦国武将を美少女にされても怒らないようなものか
  アメリカのゾンビ=日本の美少女だからな(俺の脳内では)

無念 Name としあき 12/02/26(日)22:59:05 No.104166276 del
  >アメリカ人はなんであんなゾンビ好きなのかを研究した本とかねーかな
  >これは本当に真面目に疑問なんだ

  ゾンビ対策をガチで考える国だからな
  ゾンビになったらとか対策のマニュアル本が出てたな




 「アメリカのゾンビ=日本の美少女」はすんごい納得してしまった。確かに仮面ライダーの美少女化みたいなモンだと言われれば「マーベルゾンビーズ」のノリも分からなくはないな。

 そんなわけで、例によって遅い話題だが『マーベル・ゾンビーズ』が売れているそうだ。
 普段なら見向きもされない邦訳ヒーローコミックも、ゾンビという変化球を使えばこれこの通りってか。なんだかんだいって日本人もゾンビ好きなんじゃないのさ。
 なんでも今やってるアニメ「さんかれあ」ではゾンビがヒロインに抜擢されたというし、管理人的には世界のすべてに裏切られたような思いすらこみあげてくる。
 だってゾンビですよ? 作品によって差はあるものの、基本的には腐臭をまき散らし人肉を貪るおぞましいリビングデッド。醜悪なクリーチャーを愛する管理人でもゾンビだけは嫌悪感が先に立つ。もっと言えば、あまり視界に入れたくない。
 ゾンビファンの人に一度問うてみたいものだ。貴方はなぜ、あの醜悪で不潔で汚らしく厭らしく神の祝福から最も縁遠いファッキン死体人形どもを愛することができるのですか? 死体にムラムラしちゃう性癖の持ち主なの? それともゾンビでも愛せる大慈悲心の持ち主なの? 聖母マリアなの? と。
 問いたい。問い詰めたい。石を抱かせて問い詰めたい(懐かしいフレーズだ)。

 …という具合に管理人はゾンビが大嫌いなわけだが、一方で『Versus』『Left 4 Dead』などゾンビものの枠内にありつつも大好きな作品もあることはある。
 つまり完全にシャットアウトしているわけでもないので、たまにはこちらから歩み寄ってもいいかもしれないと最近思い始めている。というわけで、以前からちょっと気になっていたコレを買ってみた。




『ウォーキング・デッド』(1巻)



 主人公の警官、リック・グレイソンが病院で昏睡から目覚めた時、見慣れた町は一変していた。ゾンビが徘徊し、文明の恩恵を失った人間たちを貪り食らう悪夢のような世界に。幸運にも妻子と再会したリックは、わずかな仲間と力を合わせてこの世界を生き延びようとする――。

 という大人気海外ドラマの原作アメコミ(正確にはグラフィック・ノベル)である。
 「目覚めたら世界が一変していた」という導入部はエタメロなどの異世界ラブコメでもおなじみだが、その後に待ち受けるのは美少女達とのファンタジックな大冒険ではなくナイトメア全開のゾンビサバイバル。生ける死体がうろつく世界で、文明の残りカスを拾い集めて命を繋ぎながら安住の地を求めて彷徨うことになる。

 社会体制が崩壊し死と暴力が日常となった世界というのは、核戦争後の世界と同じくバイオレンスアクション的にワクワクさせられるのだが、メインがゾンビというだけで一気に陰鬱なムードになってくるから不思議なものだ。劇中で最初のゾンビが登場したあたりでもう管理人はホームシックならぬホクトシックを発症し、ジード軍団のモヒカン連中がいとおしくてたまらなくなった。凶暴で下品で卑劣な悪党でも、奴らにはまだ人としての温もりがあったし(生物学的な意味で)、同じ言葉で分かりあえた(言語学的な意味で)。
 そんな郷愁を胸の奥に押し込めて読み進めていくうちに、遅まきながらあることに気付いた。
 ――意外と、地味なのだ。

 管理人はずっと、ゾンビものというのは腐肉と腐汁にまみれた吐き気を催す残酷描写がウリなのだと思っていた。人間がポリ袋さながらに腹を引き裂かれて臓物を食われるとか、ゾンビとジャガイモの区別もつかなくなった肉屋の親父がチェーンソーを振り回すとか、そういうスプラッターな惨劇がジャンクフードにケチャップをぶちまけるがごとく押し寄せるものと身構えていた。
 …のだが、そういう描写は思っていたより多くなく、むしろ主人公を含む生存者たちの人間模様に重点が置かれている。キャンプの顔ぶれはさまざまだが、皆わりあい穏健に、力を合わせてゾンビだらけの世紀末世界を生き抜こうとしている。このへんエタメロとはえらい違いだ。

 考えてみれば当然ともいえる。いつ助けが来るか分からない、そもそも他に生き残りがいるかどうかも分からない状況で、主人公らの小さなグループは彼らに残された唯一の「人間の世界」なわけである。彼らにとって帰る場所はもうここにしかない。ゾンビの恐怖に怯え、愛する者を失った悲しみに精神を苛まれても、お互い慰め、助け合い、力を合わせて前へ進もうとする。
 もちろん極限状況下で見知らぬ人間同士が共同生活を送る以上、諍いや不協和音は必ず発生する。本作でもそれは例外ではなく、考えの相違からくる衝突や不幸な事故が劇中で起きている。ただそこに至るまでの過程をじっくり描写しているため、安易なスプラッターホラーにはなっていない。

 中盤くらいまで読んでようやく気付いたが、ゾンビというキャラクターは悪役ではなく舞台装置だ。人間を護り、あるい縛り、時には閉じ込め覆い隠す「社会」という概念を引っぺがし、その本質を剥き出しにするひび割れた鏡のようなものだ。
 自分が生まれた時から存在していた「社会」が崩壊したらどうする? これまでの常識が通用しない世界で、生き延びるにはどう行動する? 愛する人がゾンビになったら? 自分自身がゾンビのウイルスに感染したら? 本作はそういう選択を幾度となく突きつけてくる。


本書で描かれているあらゆることは、極限状況で生じうると想定されるさまざまな出来事の自然な成り行きを提示する試みである。それはまさにキャラクターの心理や性格を語る試みである。かれらを目的地に到達させることよりも、むしろかれらがどのようにしてそこにたどり着くかの方がはるかに重要なのだ。

――『ウォーキング・デッド』著者による前書き

 救助の見込みはない、そもそも他にどれだけ生き残りがいるかすら分からない絶望的シチュエーションでの、終わりの見えないサバイバル。なんと終末的な世界観であることか。
 管理人がこれまで触れてきたゾンビもの(のゲーム)はおおむね“脱出”が最終目的だったが、『ウォーキング・デッド』に脱出の目的となるようなゴールは(1巻の時点では)存在しない。そのような過酷な状況で人がどういう生き方を選ぶかというドラマは、普遍的な面白さがあると感じる。実際管理人はゾンビのグロ描写に辟易しつつもおよそ400ページものボリュームの本書を一気に読み終えてしまった。
 2巻ではサムライソードを引っさげた女剣士が登場したり、ド外道な悪党キャラが出たりと雰囲気が変わっているそうだが、それでも買っちゃおうかなと思っているくらいには気に入った。自分の好きな本の中にゾンビものが加わるとは夢にも思わなかったが、少し世界が広がったような気がする。

 誤解されると困るのではっきり言っておくが、相変わらずゾンビは嫌いだ。日本の萌えカルチャーでは美少女ゾンビも珍しくなくなったが、ああいうのも受け付けない。生きた人間同様に感情を持っていたとしても無理。「死体風情が人間様のフリしてんじゃねぇ!」って便所用のブラシで殴りかかるね。ポカポカ叩くね。それで頭が外れちゃったりしたら悲鳴あげて失禁するね。
 だが、ゾンビ・ハザードが醸し出す終末観は気に入った。核戦争後の世紀末荒野とは違う、神に見放された虚無感の漂う死んだ世界。そしてそこに生きる――生きざるを得ない人間たちのドラマには強く心を打たれた。
 ウォーキング・デッドのような作品がまた出るかどうかは分からないが、今後はゾンビでも食わず嫌いせず試してみようかと思う。あ、映画はナシでね。実写映像で2時間ゾンビとか見せられたらほんとに失禁しちゃうから。


追記:
 実写は無理とか言っておいてなんだが、ショートフィルムならなんとかいけるかもしれない。たとえば先日知ったこの短編とか。




Rest - 目を覚ましたゾンビがめざした場所は…



 ベタかもしれないけど、いいよねコレ…。ゾンビになってでも成し遂げたかったこと、そして長い旅の終わり…。ゾンビの嫌悪感の源泉である「死体が動く」というのをここまで感動的に描写されるとやられたって気になるわ。
 こういうゾンビならOK。言葉で意思疎通できなくても助けになってやりたいと思うよ。便所ブラシで殴りかかるようなバカがいたら盾になって守るよ。

 それで思い出したんだけど、先日双葉のゾンビスレでこれと似た感動的な流れがあったので貼っておこう。



 ちょっとウルっときちゃうよね! 詳細を求めて彷徨った長い旅路が終わった時、きっと彼の顔には笑みが浮かんでいたに違いない。例えそのすべてが単なる回り道でしかなかったとしても、彼はようやく彷徨うことから解放されたのだから…。


追記2:
 そういやバイオハザードシリーズのスピンオフ『オペレーション・ラクーンシティ』、評判悪かったみたいだけど、題材は面白そうだっただけに惜しい気がするね。
 ゾンビだらけの世界で特殊部隊が激突!ってシチュエーションもハチャメチャで愉快だが、トレーラーでやってたようにゾンビを銃弾の盾にするとか、徹底して「ゾンビ=便利に使える面白アイテム」的な扱いにすれば一風変わったシューターになったように思える。
 ほら、キャラが人間なら肉盾にするくらいがせいぜいだけど、人間じゃないなら色々と無茶かつユニークな戦法にも使えそうじゃない? 例えば爆弾くっつけて敵チームに突っ込ませるとか。ワーオ、ナイスアイデア!(参考リンク:対戦車犬
 クリエイティブな邪悪さを存分に発揮できる異色のシューターになったと思うんだけどなぁ。やりすぎると日本で発売できなくなる可能性があるけど。


追記3:
 ちなみに一番上にのっけたマーベルゾンビーズの画像は有志による翻訳だが、邦訳版には収録されていないらしい。まぁ個人的にはどうでもいいけど。
 お前はゾンビーズ買わないのかって? 買うわけないでしょ。あんな見るからにグロそうなやつ。アレに金つかうくらいならウォーキング・デッドもう一冊買って布教用のプレゼントにするわ。
 これ読む前の管理人だったら、プレゼントにゾンビコミック渡されたらそいつと縁切ったと思うけど。



※過去のゾンビ更新
雑文その139・ゾンビ、ゾンビ、どいつもこいつもゾンビ!
雑文その128・Left 4 Dead 2――呻吟・イン・ザ・レイン
雑文その103・Left 4 Dead 2――ロシェルにラブ・ソングを
雑文その102・Left 4 Dead 2――ゾンビを憐れむ歌
雑文その100・Left 4 Dead 2――今夜はシュート・イット

※過去のアメコミ更新
雑文その160・映画も公開することだし「けいおん!」の話でもするか
雑文その159・アメコミ映画のススメ――バットマン・オリジナルムービー
雑文その141・アメコミのススメ――『グリーンランタン:リバース』
雑文その140・アニメ版X-MENがいい感じらしい
雑文その135・アメコミのススメ――『キングダム・カム』



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