13.09/18 その194 FPSに女兵士が増えてるよね?





 近頃の洋ゲーを見ていて感じるのだが――最近、向こうから日本に歩み寄っているような気がする。
 何でそう思うのかって? あれですよあれ。Call of Duty:GhostとBattlefield4に女性兵士が参戦するという件。





 左がCOD:Gのマルチプレイで使用できる女兵士。右はBF4のキャンペーンに登場する工作員(?)のハンナさん。ハンナさんはいまいち写真映りが良くないが、まあ十分美人といえるだろう。

 もちろんCODもBFも日本市場に迎合しているつもりは全くないだろうが、これまで日本人ゲーマー(の一部)がぼやいていた「洋ゲーの女キャラはもうちょっとどうにかならんのか。ていうか女自体が少ねぇよ」という不満点が徐々に改善されてきているのは確かだ。

 これまで海外のFPS/TPSプレイヤーは女性キャラクターを求めていなかった。必要なのは筋肉と銃と弾丸、そして弾丸をブチ込むヒトの形をした肉の塊。それが彼らの世界の全てだったと言ってもいい。当然ながらそこに女性の入る余地などほとんどない。
 Duke Nukemシリーズのように賑やかしとして露出度の高いおネーちゃんが登場するFPSはあったが、全体としてFPS/TPS文化の核にあったのは「(時にバカっぽさを兼ねた)タフガイ礼賛」だろう。90年代頃のこのジャンルのパッケージ画像はマッチョな主人公が大写しにされたものが多いが、現在はそれがリアル風の兵士に代わっただけで、基本的な部分はあまり変わっていない。『Bioshock:Infinite』のパッケージにヒロインでありキーマンであるエリザベスが登場できなかったのも、あちらのプレイヤーのタフガイ至上主義に迎合した結果だといえる。
 このへんの海外事情はChokepointのコラムでも度々紹介されているが、中でも「ゲーム市場における女性主人公の居場所」と題されたコラムの冒頭の一文は、海外と日本のゲーム文化の違いを浮き彫りにしている。



 ゲーマーというのは女性主人公が嫌いだろう?
 少なくとも、マーケティング理論ではそれが一般的な見方だ。今世代のコンソール市場は、筋骨隆々とした男が銃をぶっ放すゲームで溢れかえっている。

――Chokepoint 【コラム】ゲーム市場における女性主人公の居場所


 夢幻戦士ヴァリスやアタックアニマル学園の時代から男女の機会均等を推し進めてきた日本人からすれば、海外ゲーマーの脳筋っぷりには戦慄さえ覚える。
 日本のは機会均等じゃなくて下心だろって? ああ、そうだよ。だから何?


 開き直りはともかくとして、海外のタフガイ至上主義にも変化が現れつつあるらしい――というのが今回のテーマだ。上記のCODとBFのように、典型的なタフガイ・パラダイスだったFPSにも女性の進出が目立つようになった。
 一応CODの女性兵士はこれが初めてではなく、まだ第2次大戦を扱っていた頃はソ連の女スナイパーやフランスの女レジスタンスなどが劇中に登場していた。しかしCOD4からすれば実に久しぶりであり、かつ対戦で使用可能というのは初めてではないだろうか。
 一方BFについては(管理人はBFBCからしか知らないのだが)BF3のキャンペーンで主人公の一人に女性パイロットがいたものの、出番は1ミッションのみで容姿も確認できなかった。BF4のハンナはキャンペーンのみの登場だろうと推測されているが、COD以上に女っ気の乏しかったBFにしては大躍進である。

 この2作にとどまらず、次世代FPS期待の星である『TitanFall』でも「プレイアブルな女性キャラクターが登場する」という噂があるし、銀行強盗FPS『Payday2』でもDLCで女性キャラクターの登場が前向きに検討されているという。
 FPSではないが、今世代でトップクラスに男臭いゲームだったGears of Warも3でCOGのアイドルことアーニャさんをはじめサムなど女性兵士が登場してユーザーを驚かせた。洋ゲーにおけるドンパチの世界が「ドキッ♡ 男だらけのチームデスマッチ! 芋砂もいるよ!」という時代も終わろうとしているのかもしれない。
 正直、いくばくかの寂しさを感じないでもない。

 管理人だって日本の漫画やアニメの「戦闘美少女」文化の中で育ってきたし、クールで美人なお姉さんが大暴れするのを見るのは大好きだ。しかし「敵を制圧する」という戦闘派アクションを突き詰めると、その魅力をフルに発揮できるのは筋骨逞しい男がベストだと思う。
 マッチョなタフガイが巨大な戦斧や大口径機関銃を構えるのは様になるし、猛々しく雄叫びを上げるのも、絶叫して爆裂四散するのも絵になる。しかし華奢な女の子に馬鹿でかい得物を持たせるのは不恰好だし、せいぜいギャップ萌えを狙う程度の効果しかない。綺麗な女性がこめかみに血管を浮き立たせて雄たけびをあげる画が美しいとは思わないし、いたいけな少女が爆裂四散しても痛ましいだけである。
 率直に言って、洋ゲーならではのタフでハードな雰囲気に女性キャラはそぐわないのではないかと思うのだ。

 いや、一応分かってはいるのだ。管理人の「女性キャラクター観」は、あくまで男性視点からみた「可愛いだけ・美しいだけの萌えキャラ」だということを。
 といっても大多数のゲームキャラは程度の差はあれ男性受けを狙っているわけだし(ゲーマーは大多数が男だ)、日本のゲーム文化そのものに根ざした傾向と言うこともできる。

 一方、最近数を増やしつつある洋ゲーの女性キャラはどうか。
 日本のそれと違うのは、女性プレイヤーの側から求められて登場しているらしいという点だ。COD:Gのエグゼクティブプロデューサーは女性兵士の登場について「女性を引きつけるためではない」と言いつつも、ファンから女性兵士を要望する声が多く、また「女性キャラクターでプレーすることを望む女性プレーヤーも数多く存在する」と語っている。
 GOW3でも女性ファンの要望に応えてアーニャさんを始めとする女性兵士を登場させたそうだし、ほぼ完全に男性視点で女性キャラクターが起用される日本とはこのあたりが大きな違いと言えそうだ。

 前向きに考えるならFPSの裾野がそれだけ広がっているということで、選択肢の幅が増えるのは悪いことではない。最近じゃ米軍でも女性兵士は珍しくないそうだし、CODやBFにタフそうな女性兵士がいても雰囲気が壊れるということはなさそうだ。ミニスカ女性兵士が出る確率はほぼゼロだが、そういうのは二次創作のネタで補完できるので大した問題ではない。何より、キャラデザがどうのコスチュームがどうのといった表面的なビジュアルは萌えの本質ではないのだ。気の持ち方次第でL4DのウィッチもF.E.A.R.3のアルマも極上の萌えキャラになるし、悪党か兵隊しかいないようなドンパチゲーも萌えゲーになりうる。

 最近のヌルい離乳食みたいな萌えゲーに飽きたという人は今一度洋ゲーに目を向けてはどうだろうか。きっと新たな出会いがあるはずだ。
 とりあえず言いだしっぺとして管理人が大好きな洋ゲー女性キャラについて語るので拝聴するように。




アーニャ・ストラウド(GOW3)
進化の過程に括目せよ。下剋上ヒロインの晴れ姿

 男臭いデルタ野郎どもの戦場に花一輪! 指令室からローディランで参戦だ! ついでにメインヒロインの座もいただきよ とばかりに登場したアーニャ・ストラウド少尉。美人で強い洋ゲーヒロインのお手本のようなキャラである。
 単体で見るとそれほど飛びぬけてはいないが「洋ゲーの駄目なモデリング」の典型みたいに言われた1作目から順当に進化し、並の上レベルに到達した頑張りを評価したい。といってもネット界隈では「GOWのヒロインはドムだよねー。アーニャ? 誰だっけ?」みたいな扱いを受けているが、その薄幸オーラも萌えポイントのひとつだろう。では皆さんご一緒に。はい、アーニャさん可愛いー。



ビショップ(♀)(Rainbow Six:Vegas2)
鋭いからこそ美しい。ソリッドな“戦うお姉さん”

 レインボーチームの教官が現役復帰で大暴れ! ベテランゆえに結構なお年だがキャラメイクには関係ねぇ! 女性バージョンなら凛々しい女上司に大・変・身! いやマジですごくいいんですよこの人。叱られたい人に超オススメ。UBIのソフトは大体日本語吹き替えだが、声優が良い仕事をしている。
 レインボーシックスシリーズはカジュアル寄りになったとはいえ、もともと硬派な雰囲気のゲームである。にもかかわらずこーんな美人のお姉さん風の主人公が登場するとはダイナミックエントリーな不意打ちであり、管理人の心臓はスタングレネードを食らったときのようにキュンとした。いや心筋梗塞じゃねえよ。



ボス(♀)(Saints Row:The Third)
町で一番ワル可愛い、唯我独尊なギャング系女子

 タフでワイルドな俺らのボスも、キャラメイクでクールな美女に早変わり! エロもネタも両方こなしてスティールポートに君臨だ! 下品? 猥褻? だから何。
 キャラメイクでいろんな女ボスが作れるはずのこのゲームだが、みんな版で押したように「銀髪ロング・前髪パッツン」のボスを作りたがる。もちろん管理人もそれにした。だって一番美人だからね! こんな美人のボスがダークスーツ+アサルトライフル2挺持ちで大暴れしたり、エロい格好で街中歩いたりしてるだけでなんだか幸せな気分になれる。日本語吹き替えがないのが実に惜しい。
 一部のカットシーンでは急に男言葉になるが、これは字幕担当の怠慢だろう。男装キャラっぽい魅力があるといえなくもないが、担当は処刑が妥当に思う。


 F.E.A.R.3のアルマは入らないのかって? いや、母さんは自分で操作して戦うキャラじゃないから除外してるだけです。綺麗とか可愛いとかじゃなくて、見守り慈しむ対象、かな……。



追記:
 洋ゲー女性キャラの躍進については、登場する機会が増えただけでなくモデリングが全体的に美人になってきているのも見逃せないポイントだろう。アーニャさん進化の過程を見れば、技術というより感性の面で変化が表れてきているのが分かる。

 とはいえ駄目なモデリングも相変わらず少なくないのも事実だ。最近の例ではF.E.A.R.3――管理人が愛してやまないFPSのひとつ――に出てくるジン・スワンは、悪夢とは言わないまでも不快な幻覚のようにブサイクだった。F.E.A.R.2の(美人と名高い)ストークス中尉と比較するとビーナスと泥田坊くらいの差があるし、アルマの潜在的萌えっぷりと比較するとストロベリーパフェと泥まんじゅうくらいの差がある。
 劇中、ジンがポイントマンに計画の概要を説明して「やってくれるわよね?」と顔を近づけて念を押すシーンがあるのだが、棒読みかつ偉そうな口調もあいまってイラッとくる。





 俺が紳士じゃなかったら頭突きくらいしてたね。



追記2:
 FPSじゃないけど、最近のPCゲーでも美少女がいましたよ。しかもエルフですよエルフ。


 『Divinity: Dragon Commander』という「ジェットパックを背負った巨大なドラゴンが大空を駆け巡り,母船ではスケルトンの新妻が自分の帰りを待つ――」という何だかよくわからないがスゴそうなのは伝わるというゲームに出てくるキャラクターだ。外れた肩紐がセクシーですね。こういう綺麗どころを用意しつつ「スケルトンを妻にできる」という点を売りにするのが実に洋ゲーらしい。
(参考リンク→4gamer

 洋ゲーでエルフというとスカイリムのそれが連想されるが、こちらのエルフは正統派に可愛いですな。というか洋エルフでもスカイリム以外はそんなひどい造形は見ない気がするんだが。あの連中はエルフに何か含むところがあるのだろうか。



※過去のFPS雑談更新
雑文その189・Bioshock:Infinite――提言:萌えFPSが目指すべきもの
雑文その173・「日本でミリオン出せるFPSはまだか?」
雑文その170・そろそろ第一次大戦をテーマにしたFPSをですね…
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