な行
【なんてこった…てめえ、キリストかッ!】(映画関連)
【二挺拳銃】(武装)
【ネコマンガ】(猫)(本)
【猫耳】(猫)(萌えカルチャー)
【猫リセット】(猫)(芸)
■なんてこった…てめえ、キリストかッ!
(映画関連)(出典:クロウ-飛翔伝説-)
映画『クロウ-飛翔伝説-』において、主人公エリックの復讐対象であるギャングのひとり「ファンボーイ」の台詞。
女と乳繰り合ってた最中に闖入してきたエリックに向けて銃をブッ放すが、 彼の肉体はカラスの魔力によって不死になっており、掌にあいた穴はみるみるうちに塞がっていく。驚愕しながらさらに撃ち続けるものの一向に堪えた様子のないエリックに対し、呆然としながら「Jesus Crist?(てめぇキリストか?)」とつぶやいた。
英語圏で「Jesus Crist(ジーザス・クライスト)」は驚きを表す慣用句として使われるが、掌の傷が塞がるシーンはキリスト復活譚における「磔刑の傷跡」のくだりを彷彿とさせ、それに掛けた意訳。名訳といえよう。
日常生活でも驚いた時に使うとちょっぴりバッドボーイ風なオシャレ感が出せる。殺したはずの相手が生きていた時などに使ってみよう。
関連:【クロウ-飛翔伝説-】
■二挺拳銃
(武装)
読んで字のごとく左右の手にそれぞれ拳銃を持って戦闘するスタイル。起源を突き止めるのは難しいが、創作の中に登場した例としてはウジェーヌ・ドラクロワが1830年に描いた『民衆を導く自由の女神』に登場する少年がかなり古いのではないかと思われる。
『民衆を導く自由の女神』(部分)
一般的なエンターテイメント作品としては西部劇映画までさかのぼるだろうが、本来はそれほど特色あるガジェットとして扱われていたわけではない。
『明日に向かって撃て!』(1969)
二挺拳銃がガンアクションのひとつのスタイルとして確立したのは、映画『男たちの挽歌』の監督ジョン・ウーの功績によるところが大きいと思われる。時にスローモーションを交えての激しいガンファイトはアクション映画好きを魅了し、二挺拳銃はジョン・ウー映画の代名詞となる。
ベレッタ2挺持ちはシリーズの定番ともいえるスタイル
二挺拳銃によるアクションシーンは二挺の銃で同一の標的を撃つのが大半だが、ジョン・ウーの作品の場合はそこに「激情の迸り」ともいえる要素があったように思う。ジョン・ウー作品の登場人物たちは義理や人情などの狭間で葛藤するヤクザや殺し屋、または警官であり、その内に抑えた激情が、戦闘においては二挺の銃口から迸る咆哮となる。それゆえジョン・ウー作品の二挺拳銃には他の作品にはない大きなカタルシスがあった。
一方で「別々の敵を狙って効率的に敵を殲滅する」という方向を突き詰めたのが、映画『リベリオン』に登場する武術「ガン=カタ」である。
『リベリオン』(2002)
これは器用さが極まると曲芸と化すという好例ではあったが、映画ではそこを突き抜けて独特のカッコ良さを確立しており、日本のサブカルチャー界隈でスマッシュヒットした。詳しくは別項を参照されたい。
話が前後するが、二挺拳銃が一般にも広く知られるようになったのは、(ジョン・ウーの影響を少なからず受けた)『マトリックス』のヒット後と思われる。この映画以降、日本でも「スタイリッシュ・アクション」という語が広く使われるようになり、しばらくの間「二挺拳銃=スタイリッシュ」という認識が残った。
『マトリックス』(1999)
ゲームの分野ではFPSで二挺拳銃がしばしば登場していたが、2001年に登場した『MAX PAYNE』は上記の『男たちの挽歌』や『マトリックス』の影響を強く受け、二挺拳銃が強いインパクトを伴って登場していた。
『MAX PAYNE』(2001)
日本の場合は、同じく2001年リリースの『デビルメイクライ』で初めて大々的に二挺拳銃が登場。ゲームそのものが「ジャンル:スタイリッシュアクション」と標榜したこともあって、日本のゲーム業界における「スタイリッシュ」という言葉の定着に貢献した。いわば映画における『マトリックス』と同様の役割を果たしたといえる。
現代でも二挺拳銃はある種ヒロイックなスタイルとして定着し、日本のサブカルチャーからハリウッドのアメコミ映画まで幅広いジャンルで見ることができる。
リアルに考えれば決して実用的ではないが、リアリズムとは別腹で根強い需要がある点はファンタジーにおけるビキニアーマーと似ていなくもない。
関連:【男たちの挽歌】
【ガン=カタ】
【MAX PAYNE】
■ネコマンガ
(猫)(本)
日常における様々な猫の写真に吹き出しをつけてしゃべらせたり、説明文を付加してギャグに仕立てた漫画…というよりネタ集。イーハトーヴ出版より1996年刊行。
今ならネットの各所で見られる程度の代物だが、当時はインターネットのイの字も知らない人が多数だった時代であり、この本の素人くささは新鮮でもあった。
猫好きの間でプチヒットとなり「ターボ!ネコマンガ」「ネコマンガP」「ネコマンガ4(チョキ)」「コネコマンガ」「Zzzネコマンガ」とシリーズ化する。ネタの上で勝手に名前を付けられた猫もおり、自己中心的なお調子者というキャラ付けをされた「佐藤」と、その弟分(という設定)の子猫「ピンポコ」のコンビは特に人気者であった。なお佐藤は読者応募による第2回人気投票でグランプリを獲得している(ちなみに第1回は番外編的に登場した犬が優勝をさらった)。
読者からの投稿も受け付けていたが「猫の語尾に“ニャン”を付けてしゃべらせているネタは問答無用でボツ」だの、「ネコマンガに飼い主は登場してはならない。その理由が分からない人はネコマンガなんて作らなくていい」などといった妙なこだわりを見せた。後出しかつ上から目線のダメ出しであり、反感を買ってもおかしくない言い草ではあったが、読者もそのノリに理解を示したのか、その後も愛されつつシリーズ化した。
ただし、2巻(ターボ!ネコマンガ)で下ネタを扱ったことについては女性読者から否定的なコメントが多数寄せられたようである。
■猫耳
(猫)(萌えカルチャー)
『ブラックサッド』
萌えカルチャーにおいてお馴染みのアクセサリーというか記号。
いわゆる「獣耳」のカテゴリの中で最大派閥であり、「可愛い(媚びた)アクセサリー」という点では他の追随を許さない。狐耳がやや遅れて追随しているようではあるが、あちらは尻尾(もふもふ)もセットで扱われており、耳だけで比肩しうる存在にはなりえていない。
現在ではむしろ「本来可愛くないキャラクターが猫耳を付けてそのギャップで笑いを取る」という一種のパロディで使われることが少なくない。
具体例
ただ、獣耳に限らず「萌えの記号」でこれを上回るものはほとんど存在しないのも事実である。メイド服などは猫耳に次ぐインパクトと周知度があるといえなくもないが、最低でもレース付カチューシャとエプロンドレスの2アイテムを満たす必要があるため、ワンアイテムで成り立つ猫耳にとって代わる存在とは言えない。
この圧倒的な猫耳の強さは、言うまでもなく猫そのものが「可愛い動物」としてポピュラーであることに起因する。可愛い動物は山ほどいるが、キツネやオコジョやハリネズミやシマエナガなどと比較してはるかに身近であり「猫=可愛い」という図式が一般化している。
個人的に猫の味わいは成猫のふてぶてしさにあると考えており、外見上の可愛さだけが魅力ではないというのが持論である。その意味で「猫耳」は猫を模すという方向性においては不完全だが、可愛さのみを抽出し誇張したアイテムとしては極めて完成度が高いともいえる。
だが、これは冷静に考えれば奇妙でもある。なぜなら猫を構成するパーツにおいて、必ずしも耳が圧倒的存在感を持つとは言えないからだ。その証拠に、耳を隠しても猫の可愛さは揺るがない。
具体例
例えばウサギのように耳が大きな存在感を持つわけでもないのに、耳だけで「猫→可愛い」と認識を飛躍させてしまうところがこのアクセサリーの得体の知れない強みといえる。
言い忘れたが、記号化した猫耳の使用法として「可愛くないキャラに付けて笑いをとる」というものの他に、「可愛いというよりは綺麗、またはクールなおネーちゃんに付けてギャップ萌えを愉しむ」というものも多い。
もちろんその際は「わ、私にはこんなの似合わないと思うけど…」的に照れたりするのが肝要である。ここで無理に媚びようとすると途端に痛々しい感じになるが、それはそれで笑いが取れるので美味しいといえる。
具体例
なおまったくの余談だが、猫耳がアクセサリーではなく「れっきとした体の器官」になっている獣耳キャラは、時おり「本来人間の耳がある位置はどうなってるの?」という点が議論される。
ファンタジー世界の亜人のようなキャラなら当然「人間の耳」は無いと考えるのが自然であるが、化け猫や妖狐のように“人間に化けている”ケースなら「人間の耳も付いてるけどそっちは擬態で、本来の機能を果たしているのは獣耳」という解釈が一番無難ではないかと考える。
関連:【ネコマンガ】
【猫リセット】
【裸ワイシャツ】
【萌えカルチャー】
■猫リセット
(猫)(芸)
主にファミコンで多発した「飼い猫にリセットボタンを押される」という事故。ファミコンのリセットボタンは本体上部についており、猫にとって押しやすかったことからしばしばこの悲劇が起きた。
その際、飼い主は烈火のごとく怒り狂い、きつくおしおきするのが常であったが、猫は 「学習はしても反省はしない」という生き物なので、いまいち効果は薄い。むしろ飼い主の方こそ学習すべきではないか、という意見もあった。
なおファミコン時代の対戦ゲーム(主としてスポーツもの)では、自分が劣勢になるとリセットボタンを押すという反則行為が往々にして行われていた。リアルファイトにも発展しかねない悪質なもので、これを抑制する手段として、ゲーム雑誌で「リセットボタンに画鋲を取り付ける」という案が出されたことがある。これは猫リセットを防ぐ意味でも有効な手段になりえたと思われるが、実際に採用したという例は聞かない。
現在のゲームハードは本体前面に各種ボタンがついているのが普通であり、またかつてのように床に直置きするようなことも少なくなったため、猫リセットの出番は必然的に減った。……と思われたが、2011年にPS3の電源ボタンを猫に押されるという事例が報告され、往年のゲーマーに郷愁を呼び起こさせた。
Youtube
従来の猫リセットは、猫がゲーム機の上を通ろうとした際の偶発事故がほとんどであったが、上記の事例ではラックに設置されたPS3にわざわざ手(前足)を伸ばしているため、明らかな故意犯である。
過去に幾度も行われた「なぜ猫はリセットボタンを押したがるのか」という議論の中で「リセットボタンが猫を呼び寄せているのではないのか」という説があったが、これを見るとあながち的外れな意見ともいえない。