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16.03/31 その255
今度はこれをオープンワールドにしてくれ(後編)





 前回(雑文254)に引き続き、「このゲームにはオープンワールドとしての可能性があるのではないか?」を考察する雑文その2。平たく言えば管理人の「こんなオープンワールドゲームがやってみたい」というものだが、チョイスには結構同意が得られるのではないかと思っている。
 ではいってみよう。


 ↓項目別リンク

 ・マッハライダー
 ・Spec Ops:The LINE
 ・エターナルメロディ




マッハライダー(1985)

 

・マッハで駆け抜ける世紀末荒野

 ファミコン黎明期に任天堂からリリースされた世紀末バイクレースゲーム。…といってもドライビングテクニックを競うよりも敵の車両をマシンガンで破壊しつつゴールまでたどりつくのが主眼なので、その意味ではレースというよりバイクアクションといった方が近い。
 基本をそのままにリメイクしてもよさそうだが、世紀末荒野を駆けるオープンワールドものにすればより広い層に受けるのではないかと思う。なお劇中でストーリーが語られることはないが、Wikipediaによるとバックストーリーは以下のようなものらしい。


西暦2112年。凶悪な暴徒集団の侵略によって世界は荒れ果てた。1kmをわずか3秒で駆け抜けるバイクを駆るマッハライダーは生存者と新天地を探し求め、暴徒集団の妨害をマシンガンでかいくぐりながら荒野を爆走する。

 1kmを3秒…。時速1200kmという「マッハ」をそのまま持ってくる設定には眩暈を覚えますな。なお2017年現在、世界最速のバイクはダッジ「トマホーク」で、時速676kmだとか。地上走行で音速に達した例としては、磁気コイルを備えた専用レールを用いる「超高速移動体(ハイパーループ)」の実験でしか成しえていない様子。まぁマッハライダーの時代設定は22世紀なので、見た目普通のバイクでも音速いけるんでしょう、きっと。
 ただその速度を基準にオープンワールドを作ると無駄に広くなりそうなので、この設定は無視してもいい気がする。なにより本作が持つ可能性は、スピードというより「世紀末荒野」という舞台だ。荒廃した大地をバイクで旅し、行く先々で悪党をボコって人助けをしたり、種モミを植えてみたり、北斗の拳チックなロールプレイが期待できる。

 類似のゲームを挙げるなら言うまでもなく『Mad Max』だ。荒野をマシンで爆走し、時には格闘で悪党(ウォーボーイズ)どもを叩き伏せる、暴力と暴走を詰め込んだ悪くないゲームだった。



吠えるエンジン! うなる釘バット!


 惜しむらくはパワーアップに要する資材集めが面倒なこと、そして格闘パートである敵拠点内で余分な探索を強いられることか。全体的に薄味であり、甘めの採点でも100点満点で70点台だと思うが、これ1作限りで終わらせるのは惜しいと今も思う。
 何気にフォトモードも秀逸で、寂しくも時に美しい荒野や、激しいレースやバトルの一瞬を切り取る楽しみもあった。『Horizon Zero Dawn』もフォトモードもあるが、すべてのゲームに搭載してほしいくらいだ。



お気に入りの一枚


 世紀末オープンワールドといえば『Fallout』を思い出す人も多いだろう。あちらのようにNPCと濃密な関わりを持つクエストと、『Mad Max』のように爆走&格闘のアクション要素を兼ね備えることができれば、最高の世紀末ゲーになりうるのではないかと思う。思うよな?

 これまで何度も繰り返してきたが、「エロ」「暴力」「スピード」は男の子の三大栄養素だと管理人は考えている。その意味でもマッハライダーは大きな爆発力を秘めている。力こそが唯一の掟となった世紀末荒野。そしてスピードの化身とでもいうべきバイク。こんなの男の子が食いつかないわけないでしょう。モヒカンとバイクが嫌いな男子なんていませんよ。もしどっちも興味ないという人がいたら、そいつは高確率で男装した女の子なので仲良くしておくとよいでしょう。

 それで思い出したが、マッハライダーの主人公は実は女性だそうな。アーケード版ではステージクリア後に主人公のビジュアルが表示されるが、これがどんどん脱げていき、最終的には寺沢武一チックなコスチュームの美女になる。以前その画像をいただいたので載せておこう。






両方並べるとこんな感じに。なんか等身が違うね。


 オープンワールド化するなら是非この設定は踏襲していただきたい。うまくいけばスマブラのゼロスーツサムスに次ぐ人気キャラになりますよ。俺が言うんだから間違いない。
 無理のない範囲でお色気要素も出せれば、前述した男子三大栄養素のひとつ「エロ」も満たせるわけで、全世界の男子が夢中になる最強のゲームになる可能性もある。この鉱脈掘ろうぜ。マジで。



Spec Ops:The LINE(2012)

 

・武装集団、砂嵐、渇き。脅威が一杯のドバイで極限のサバイバル。

 「砂漠の宝石」と称された近代都市・ドバイが未曾有の砂嵐で壊滅。救出のため派遣された米陸軍第33歩兵大隊も消息を絶ってしまう。事の真相を探るため、デルタフォースのウォーカー大尉ほか2名がドバイに送り込まれる……という筋書きのTPS。

 TPSとしては平凡な出来だが、「地獄の黙示録」を下敷きにしたストーリーが高く評価された1本。個人的には『F.E.A.R.3』と並び「世間的には受けなかったけど個人的には大好きなゲーム」のひとつである。製作チームはすでに解散してしまったが、この佳作が砂に埋もれて忘れ去られるのは悲しいものだ。

 本作の最大の魅力は言うまでもなくそのストーリーだが、その土台となる舞台――廃墟化したドバイもまた独自の魅力があるのだ。
 砂嵐によって通信・インフラの一切を破壊され、外界からも閉ざされたこの街は暴力が渦巻く無法地帯となっている。武力でドバイを支配する米陸軍第33大隊、彼らに抵抗するため武装ゲリラ化した住民、その裏で糸を引くCIA。時おり襲い来る砂嵐におびえながら、彼らは血みどろのサバイバルに明け暮れている。
 その頭上に広がるのは、残酷なまでに美しい青空だ。眩しい陽射しは荒廃したビルも白く輝かせ、昔日の面影を浮かび上がらせる。まるで蜃気楼のように。


 この非現実的なコントラストが、正気と狂気の境目が次第にぼやけてくるストーリーに説得力を持たせている。
 劇中で舞台について深く語られることはないが、随所で発見できるコレクタブルアイテムからはドバイの裏側を垣間見ることができる。貴金属を溶かして作られた弾丸は暴力が掟となったドバイの現状を如実に伝えているし、宝石を目にあしらった手作りの人形からは、こんな荒んだ場所でも幼い子のために何かしてやろうとする人がいることが分かる。

 本作のストーリーは基本的に一本道だが、プレイヤーが自分の意思でドバイを歩き回り、ここで生き延びようとする人々と直接触れ合いつつ「どちらの側につくか」「何のために戦うか」を選択するオープンワールドアクションにしても魅力あるゲームになると思う(その場合はもちろんウォーカー以外の人間を主役に据える必要があるが)。
 ついでにいえば、水を確保したり武器を補修したりする要素も加えることで、サバイバル的なゲーム性も付与できるだろう。本作はアクションの快適さを重視して銃のジャミング等の要素は存在しないが、サバイバル寄りならそうしたデメリットを盛り込むのもありだと思う。

 本作はリニアなTPSというありふれた枠組みの中で、ジャンルそれ自体を批判したゲームという一面も持つ。だが砂漠の廃墟で対立する武装集団という舞台立ては、オープンワールドでこそその魅力を十全に活かせるのではないかとも思う。

 暴力と掠奪、拷問と粛清。間断なく襲ってくる砂嵐。そして…刻一刻と失われていく水。この過酷な環境は、否応なしに人間の本質をむき出しにする。あなたならどう生きるだろうか? 自分が生き延びるためにエゴイスティックに振る舞うか、英雄を目指して誰かのために戦うか。
 自分が正しいと信じるなら、ためらわず引き金を引くといい。
 大丈夫――何をやってもあなたはいい人間だ。





エターナルメロディ(1996)

 

・スゴロク抜きの広大な世界で今日もミーティングだ!

 現代日本から突如として異世界へ転移してしまった青年が、願いをかなえる「魔宝」を求めて冒険の旅に出るという筋書きのギャルゲー。同じ制作スタッフによる後継作『悠久幻想曲』と並び、90年代の「恋愛シミュレーションブーム」を代表する作品のひとつである。

 誰もが認める名作というわけではないが、今も一部に根強いファンがいる息の長い作品だ。まあ90年代は今ほど「萌え」に注力した作品は多くなかったし、コンテンツ消費速度も速くなかったから、それだけ心の深いところまで根を張れたともいえる。例えば「シスタープリンセス」もそれに該当するだろう。

12/10/07(日)03:19:12 No.167939353
シスプリの怖いところはな
罹患してた連中がその過去を消したい過去とまでは思ってない事なんだ
実に恐ろしい

12/10/07(日)03:24:41 No.167939835
>罹患してた連中がその過去を消したい過去とまでは思ってない事なんだ
これ意外と珍しいよね…
と思ったけどエタメロ悠久患者もそうだった
っていうか根治してないだけじゃ…


 根治とか病気みたいな言い方はやめてほしいですね失礼な。いや管理人は別にエタメロファンってわけじゃないけどね? まあ当時のギャルゲーブームを知らないわけではないし、一般の人より知識はあるってくらいです。

 本作のゲームデザインについてざっくり説明すると、9人のヒロインから3人を選んでパーティーを組み、キャラの強化やバイトでの路銀稼ぎ、ダンジョン探索などをこなす形となる。こう書くと普通のRPGっぽいが、実際には育成シミュレーションのフォーマットに落とし込むため徹底した簡略化がなされている。
 例えば町から町への移動は各能力値を上げる育成パートに置き換えられており、ただパラメータが増減するのを眺めるだけである。「どの町へ行くか」という選択は存在せず、ゲームの進行は基本的に一方通行だ。そしてダンジョンの探索はなんとスゴロク形式。ルーレットを回し、出た数値の分だけ前進するという仕様になっている。ここではライバルパーティーと競い合うという独自の戦略要素があるものの、全体としてはチープな作りだ。


 さあ、それをオープンワールド化するとどうなるか。
 一本道の展開――いわば1次元だった世界が平面としての2次元に広がるわけですよ。広大な世界をあちこち歩き回り、町や村で情報を集めてダンジョンを探索する。時には町でバイトしてお金を貯め、アイテムや装備品を備える。超楽しそうでしょ? もう完全に別ゲーってレベルの進化ですよ。
 イメージ的には『Fallout4』に近いかな。あれのコンパニオンが3人になったと考えると、すごく楽しいゲームになりそうじゃないですか? 戦闘では個別に指示を出しつつ戦略的なバトルができ、町や村では誰かとバイトで汗を流したり、あるいはデートしてみたり。すごく楽しそうなギャルゲーになると思いませんか。

 よくある日本のRPGみたいだって? まぁそうかもね…。
 あ、でもエタメロならではの独自性もなくはないぞ。エタメロキャラにはそれぞれ相性と好感度が設定されており、悪くするとメンバー間の不和が喧嘩に発展する。そうなると「ミーティング」を行って解消する必要があるわけだが、原作ではこのへんの描写もきわめて簡略化されていた。

  こうなると手遅れ

 これがFallout4のように、フィールド中で起きうるとしたらどうだろう。コンパニオンが折々で話しかけてくるのと同じように、ダンジョン探索中に「ちょっといい?」と呼び止められ、「今までずっと我慢してたけど、私もうあの子とは一緒にはやってけないから」とパーティー離脱を切り出されたりするわけです。で、その仲の悪い相手も交えて緊急ミーティングですよ。
 原作では「ミーティング」のコマンドを選べば即解決だったが、どうせならちゃんと両方の言い分を聞きつつ、Fallout4式に主人公の台詞を選んでいく方式にしてみたい。肯定・否定・曖昧・皮肉といった何が飛び出すか分からない会話システムで女性の喧嘩を仲裁するわけですよ。ヒャッホウ!胃に穴が開きそうだね!

Falloutスレ 朝

無念 Name としあき 16/04/16(土)10:31:16 No.401405135
主人公の会話選択肢が具体的なのはどう思う?
会話声無しで肯定・否定・どっちでもないの方が良かったって人もいるんだろうな

無念 Name としあき 16/04/16(土)10:32:41 No.401405348
>主人公の会話選択肢が具体的なのはどう思う?
>会話声無しで肯定・否定・どっちでもないの方が良かったって人もいるんだろうな

むしろ具体的じゃ無さ過ぎて嫌なんですけお!
選択後そんなつもりじゃない!そんなつもりじゃない!がいっぱいあったんですけお!!

無念 Name としあき 16/04/16(土)10:37:25 No.401406105
>選択後そんなつもりじゃない!そんなつもりじゃない!がいっぱいあったんですけお!!
黒メガネ「おめー俺の子供殺しただろ!」
俺(よく覚えてないな)←知らない
111「殺した奴の名前なんて覚えてないわ(プッ」
俺(そうじゃない!)

無念 Name としあき 16/04/16(土)10:46:07 No.401407439
皮肉を選んだ時の
お前言い過ぎだよ!感



 これは確かになー。こっちとしてはチクリと嫌味を言うくらいのつもりだったのに、実際の台詞だとド直球で喧嘩を売るような感じになっていてヒヤリとしたことが幾度かあった。「お高くとまったババアめ」とか、お前そんなキャラだったの? ってなる。
 プレイヤーの意図をまったく汲んでくれない主人公が女の子とトークする……この構図、何かで見覚えあるな。
 …あ、アレだ。

 ドリームクラブ。

参考リンク:雑文その93 ドリームクラブ――傷ついた凶器ほど、優しい夢を見る



 あのゲームがダメというわけではないが、こつこつフラグを立ててきたのが主人公のサプライズトークでぶち壊しにされるのは避けたい。まぁそこはRPGっぽくスキル要素を導入し、コミュニケーション能力を鍛えるような自由度があればよしとしよう。

 そう考えると案外いけそうだな。誰か作ってみてくれない? RPGツクールMVとかで。オープンワールドでなくてもいいからさ。


追記:
 あれこれ述べてきたが、他にもオープンワールド化でいけそうなゲームは色々ある。真面目な話、『ジェットセットラジオ・フューチャー』とか絶対楽しいと思う。
 街中を走り回ってグラフィティを描くゲームだが、ローラーシューズでの移動が爽快なゲームだった。ガードレールや歩道橋の手すり、街中の壁面看板などを足場に走ったり跳んだりするわけで、最初は地べたをシャカシャカ走っていても、慣れればトリックを決めつつカッコいい走りができる。




 こういうアクションで街中を好きに走れたら…と、『Mirror's Edge:Catalyst』をプレイしていて思ったものだ。パルクールを活用したオープンワールドアクションは『Assassin's Creed』シリーズ、『Dying Light』などいくつかあるが、そろそろ飽和気味だ。JSRFのローラーシューズアクションは今だからこそ受けるんじゃないだろうか。
 またトゥーンレンダリングで描かれたストリート調のキャラクターや、舞台となる「トーキョー」の町並みも独自の魅力がある。15年前のゲームだが、ほとんど古さを感じさせない。その意味でも現代に蘇らせるポテンシャルはあるように感じる。

 『Grand theft Auto3』を先駆けに広まったオープンワールドゲームだが、十数年を経た現在、このジャンルはクライムアクション以外にも大きく可能性を広げている。莫大なコストがかかるだけに国産ゲームが潜り込む余地は少なそうだが、和製オープンワールドも今後増えればいいなと思う。




※過去のゲーム雑談更新

雑文その254・今度はこれをオープンワールドにしてくれ(前編)

雑文その240・お前の中の美少女が目を覚ます――『KiLA』

雑文その231・ゲームタイトルの中国語訳(中文遊戲標題翻譯)

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